昨日の続きです。


問題はまだ終わりません。このドナーが所持していたとされるドナーカードが、未だに公開されていないのです。プライバシーに抵触するという理由ですが、それは名前を伏せれば済むはずです。これに関して、ひょんなところから重大な証言と言える論文が出ています。


高知赤十字病院集中治療室婦長・東洋子執筆による

「脳死による臓器提供を選んだ人への看護のかかわり」(看護学雑誌、平成11年10月、63巻10号より)です。

「カードの提示があったあと、夫から『腎バンク登録・アイバンク登録は前からしていました。臓器提供意志表示カードは平成8年5月にテレビを見て、すぐ県腎バンク協会から送ってもらったようです。その時にサインをしました』との情報を得ました」とあります。

これは、見逃せない重大な事実を示しているのです。つまり、法的には無効なカードに基づいて脳死状態からの臓器摘出が行なわれたことを示すのです。


説明します。臓器移植法が施行されたのは平成9年10月です。従って、ドナーが所持していたカードは旧式のもの。旧式のものに記載されている項目は心停止後の角膜と腎臓だけであり、脳死状態からの項目は一切ありません。もちろん、法的に認められていたのも心停止後の角膜と腎臓だけでした。東婦長の記載が事実で、また夫の記憶違いなどがなければ、そのドナーは脳死状態における心臓の提供意志を示してはいないということです。

どうりで、ドナーカードは名前を伏せたところで公表できるはずありませんよね?

そして笑ってしまうのは、これです。

看護学雑誌、平成12年4月号(問題の論文発表から半年後!!)において、[おわびと訂正]として、「平成8年→1998年」との編集部の訂正が小さく記されています。元号表示をわざわざ西暦に置き換えてわかりにくくしてあります(としか思えません)が、平成8年でなくて法施行後の平成10年だと。不自然ですよね?極めて不自然です。もちろん、ドナーカードは未だに公開されませんから、真相は闇の中です。


おまけとして付け加えるなら、「こわい話 まず」で記したように、この患者も執刀時には急激な血圧上昇があってベッド上でのた打ち回った為、麻酔を投与した上で心臓を摘出されています。


明日もこの話です。読みたい方だけ読んで下さい。