シネレンズとオールドレンズで遊ぶ!

カメラマンヨッピーのブログ。シネレンズやオールドレンズなどのマニュアルフォーカスレンズをミラーレスカメラに装着して遊び、試写を載せていきます。カメラ界でまことしやかに語られているうわさも再考察していきます。


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前回は収差補正時代に入ったアプラナチックレンズまで行きました。

今回は百花繚乱のレンズ設計戦国時代に入ります。


レンズ戦国時代(前編 アプラナート~アナスチグマットへ)


6.対象型レンズ


写真レンズの特性として撮影したレンズと同じレンズで引き伸ばすと、歪曲などを補正できるという特性があります。その特性を生かしたのが対象型レンズです。


1865年にシュタインハイル社(独)はペリスコープを対象型に配置したペリスコープF15を発売する。メニスカスレンズを対象型に配置したこのレンズは、画角が広く歪曲収差を補正していたが、色消しができないため色収差があった。


シュタインハイル(独) ペリスコープ F15 1865年
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翌年の1866年にシュタインハイル(独)とダルメイヤー(英)から、全く同じ構成のレンズが発売された。

トーマス・グラブのアプラナティックレンズを対象型に配置したレンズで、シュタインハイルではアプラナートと呼び、ダルメイヤーではラピッド・レクチリニアと呼んだ。


ダルメイヤー(英)     ラピッドレクチリニヤ F8 1866年

シュタインハイル(独)   アプラナート F8  1866年

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ラピッド・レクリチニア(アプラナート)レンズは理論上球面収差とコマ収差を排除したアプラナートレンズを貼り合わせて色消しにし、それをさらに絞りをはさんで対象型にしたレンズです。球面収差、コマ収差、歪曲収差を補正し色消しにも成功した高性能レンズです。発売後60年にわたり様々なバリエーションが発売された19世紀を代表する人気レンズです。




7、アナスチグマットの誕生


1891年ツァイスのパウル・ルドルフは新ガラスと旧ガラスを組み合わせ、サイデルの5収差すべての補正に成功した。サイデルの5収差の全てを補正したレンズをアナスチグマットといい、このレンズは世界初のアナスチグマットレンズである。当初ツァイスアナスチグマットという名前で発売されたが、その後アナスチグマットという呼び名が一般化したためプロター(元祖の意)という名前に変更された。このレンズ以降アナスチグマットが高性能レンズの必須条件となる。


カール・ツァイス  ツァイスアナスチグマット シリーズⅢ F7.2 1890年
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4枚構成のプロターを対象型にしたドッペル・プロターも作られたが、生産性が低く高価なため3枚構成のものに変更された。



カールツァイス  ドッペル・プロターVIA(組み合わせプロター) F6.3~F12.5 1893年


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このレンズのバリエーションの中には組み換えプロターというものもあり、絞りより前の前群だけでもF12.5のレンズとして使えた。明るさは前群取と後郡の組み変え方によりF6.3やF7.7と変化した。




8、ガウスレンズの誕生

19世紀を代表する数学者カール・フリードリッヒ・ガウスの望遠鏡のレンズを元にアルバン・クラークが1888年に発明した。


1814年にガウスは望遠鏡の対物レンズとして凸凹の構成の色消しレンズを考案します。

このレンズ自体は実用化されていませんが、シュバリエの色消しレンズの20年以上前に色消しレンズを発明していたことは驚きです。
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クラークはこのガウスのレンズを絞りをはさんで対象型に凸凹凹凸と配置します。これをガウスタイプ(ダブルガウス/ドッペルガウス)レンズといいます。


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このレンズは、色消しレンズを対象型に配置することで、歪曲収差や像面湾曲の少ない中心から周辺部までよく写るレンズでした。

その後、1895年にこのレンズの凹レンズを貼合し色消しをさらに強化したレンズが登場します。パウル・ルドルフのプラナーです。光学理論的には優れたレンズでしたが、この時代の技術ではその能力を発揮できませんでした。ガウスタイプが、その真価を発揮するのは戦後のこととなります。


カールツァイス ツァイスアナスティグマットIA F3.6~F6 1895年
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この時代、ガラスの反射を抑えるコーティング技術がなかったため、ガラス1面辺り5%前後の反射が発生していた。そのため面数多くなるガウスタイプレンズはコントラストの低下に悩まされ、より構成の少ないレンズにかなわなかった。



収差補正時代の先駆けとなったアプラナートは対象型となりサイデルの5収差のうち3収差と色消しを実現する。

その後プロターの登場で5収差全てを補正できるようになったが、その反面レンズの構成は複雑化しレンズ枚数も増える結果となった。

そのことによりレンズ反射によるコントラスト低下に陥り、対象型でのレンズ性能の向上は頭打ちとなる。

そんな1893年レンズ界に革命が起こる。

そのお話はまた次回。


1857年から1900年までの約50年間に光学技術が飛躍的に進化したのがわかります。
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レンズ進化表その2 ダウンロード


出典:カメラマンのための写真レンズの科学  吉田正太郎著  地人書館

    小西本店 六櫻社 鏡玉と暗箱  http://www2f.biglobe.ne.jp/~ter-1212/sakura/inde   

    滲みレンズ/Bokeh Lens(レンズ教室、レンズテスト) http://www.oldlens.com/index.htm

    Dr.マスダのレンズ教室 http://homepage2.nifty.com/MINOX/contents4.htm





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