固ゆで卵で行こう!

ハードボイルド・冒険小説をメインにした読書の日々。


時に映画やRockな日々。またDragonsを応援する日々。そして珈琲とスイーツな日々。

テロリストのパラソル (講談社文庫) テロリストのパラソル (講談社文庫)

講談社 1998-07
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20年以上身を隠し続け、今は小さなバーで雇われ店長をしている島村は、多数の死傷者を出した公園での爆弾爆発事件に居合わせる。

その犠牲者の中にかつての友や恋人がいた事から、警察に追われながらも自ら犯人を捜し始める。






史上初の江戸川乱歩賞と直木賞のW受賞を果たした本作。

画像は文庫版のものですが、自分が持ってるのは単行本の初版。

先日、著者の藤原伊織氏が食道ガンとの闘病生活の末に亡くなられたので、追悼の意を込めて久しぶりに再読。



主人公の島村は、かつて全共闘の闘士。

その時の友と偶然起こしてしまったある事件をきっかけに、将来を嘱望されたボクサーとしての未来を捨てて身を隠す生活を20年以上送ってきた。

その体はアルコール漬けの毎日ですっかりアル中に。

だが、爆発事件をきっかけに出会った奇妙なヤクザの浅井、そしてかつて愛した女性の娘塔子と出会い、爆発事件が単なる偶然ではないと確信し過去に向き合う姿は、浅井や塔子が言うように今の時代では「骨董品」のよう。

だが、そうであるがゆえに島村の言動に共感をおぼえ、一緒になった真実を追い求めるべくページを捲る事を止められなくなる。


思わずニヤリとしてしまうような島村のセリフや、浅井や塔子をはじめとする魅力的なキャラクターと、スピード感溢れる展開で最初から最後まで一気に読みきってしまう。


印象的な場面はいくつもあるけれど、最も強く残るのは冒頭と病室での少女との会話だろう。

それが何より島村の時代遅れだけれども格好いい生き方を引き立てているように感じる。



ところで本書をこうやって久しぶりに読んだのは前回は10年近く前の事だと思う。

初めて読んだ時、そして2回目に読んだ時に比べると若干の物足りなさを感じるのは、スピード感あるような展開の早さが前は良かったのが、今は逆にもう少し丁寧に描いて欲しいと感じる部分のと、自分が主人公の島村と年がだいぶ近くなってきたせいなのかも知れない。



さて、著者の作品は我が家には他に2作品あるのでそちらも再読し、また、読んでない他の作品にも手を出して引き続き著者への追悼としていきたい。




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著者:火浦 功
『スターライト☆ぱ~ふぇくと!』 (ソノラマノベルス)

地球連邦宇宙開発公団開拓者擁護局のエージェント、鳴海甲介(自称ボギー)は休暇中に局長より呼び出され、急遽辺境の殖民惑星ブライトサイドへ向かう事に。

「畑のジャガイモが全部枯れた」と入植者からの苦情があったからという。

だが、その下らないと思われる苦情により、既にブライトサイドへ向かったエージェント3人が行方不明になっているという。

鳴海はブライトサイドへ渋々向かうが、ブライトサイドへ向かう宇宙船の中で珍客を発見する。





“ボギー&ジギー”が待望の復活!

といっても、かつて出ていた「スターライト☆だんでぃ」と「スターライト☆こねくしょん」と「スターライト☆ぱにっく!」を一冊にまとめて加筆・修正を加えたものに、単行本未収録の短編一つに書き下ろしを加えたもので、シリーズ再開って訳ではなさそう。


主人公の鳴海甲介はハードボイルドおたくなエージェント。

誰からも呼ばれはしないけど、自分の事はボギーと呼んでくれなんて言うが、仕事はいい加減だし、減らず口と運だけは最強の男。

そんなボギーが任務に向かおうとする宇宙船の中で見つけた女子高生の密航者ジギーとの、ドタバタ・ハードボイルド(?)・SF・コメディ。


渋々向かった僻地の殖民惑星で偶然見付けた世界征服を企む伝統ある組織ブラックハンド。

その組織を率いる美形の総帥ビランデルや、ビランデルを補佐するアビーマン博士などの世界征服の野望を阻むために、ボギーとジギーが奮闘(?)する様子は、それはもう笑わないで読まずにはいられない(笑)。


お調子者のボギー。

しっかりしてそうで天然なジギー。

美形だけど色んな部分で抜けてる悪の秘密結社の総帥ビランデル。

その他の登場人物も含めて、なんとも愛すべきキャラクターたちへの愛情は、こうやって読み返してみても未だに薄れる事はないくらい魅力的。


考えてみれば自分がハードボイルドを読むようになったきっかけはシリーズ第一弾の『スターライト☆だんでぃ』を読んでからかも知れない。

この作品でハンフリー・ボガードの映画を観て、そしてレイモンド・チャンドラーやダシール・ハメットを読み始めたりと、自分に多大な影響を及ぼしたのは間違いない。

そう、このシリーズはある意味自分にとって原点なのだ(笑)。


それに主人公の甲介が上司である局長に休暇中に呼び出されて任務を言い渡された時にする仕草、片眉上げ。

それを見た局長が器用なもんだと感心したところ、練習したんですと甲介が答える場面を読んで、自分も練習して片眉上げが出来るようにもなったし(笑)。



まぁ、ともかく、ハードボイルドが好きで、コメディが好きで、そしてSFが好きで、さらに言うならばギャグが好きならばきっと気に入るシリーズである事は間違いない。


欲を言うならば、元々まだ続ける予定だったこのシリーズが、この復刊を機に新作を発表してくれると非常に嬉しいのだが・・・。

うーん、やっぱり火浦功にそこまでの期待はかけちゃいけないんでしょうか(汗)。



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著者:荻原 浩
『ハードボイルド・エッグ』 (双葉社)

最上俊平、33歳。

フィリップ・マーロウにあこがれ探偵になった男。

ハードボイルドに生きる為に、スタイルやセリフにまでこだわるが空回り。

依頼もいなくなったペットの捜索ばかり。

ダイナマイト・ボディの秘書を募集したかったが、やってきたのは80過ぎのお婆ちゃん。

追い返そうとするが、結局雇う事に。

そんな彼に本物の事件が降りかかって・・・!






自分にとって初めて荻原浩という作家に接した始めての作品。

ですが、最初はチョット読むのがつらかったです(笑)。


ギャグなのかシリアスなのか、そのユーモラスな描写は中途半端な感じがしたせいなんですが、イグアナ捜索の件の結末のつけ方から主人公の事が好きになり、主人公が数々のドジを踏み、事件が迷走しそうになるも真相に少しずつ近づいていく後半は一気に読みきりました。


出版当時の帯には“たっぷり笑える。1回泣ける。”とありますが、たっぷり笑えるかどうかは別として、ラストのとある一行には思わず涙腺が弛んでしまいました。


まぁ、好き嫌いがハッキリわかれそうな作品ではありますが、ハードボイルドが好きで、ユーモア小説が好きなら気に入る方も多いんじゃないでしょうか。



それにしても・・・最初に読んだ時、SF作家の火浦功を模倣したような印象を受けてしまったのは自分だけでしょうか(汗)。

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彼女はたぶん魔法を使う

著者:樋口有介

『彼女はたぶん魔法を使う』(講談社文庫)



38歳のルポライターの柚木草平の元に刑事時代の同僚の吉島冴子から持ち込まれた依頼、それは警察では交通事故として処理されている女子大生の死の真相を探る事。

柚木はその調査の過程で出会う、魅力的な女達に振り回されながらも真相に迫る。




本書はある事件がきっかけで警察を辞めてルポライターをしながら、警察時代の同僚で不倫の関係を続けている吉島冴子が持ち込んでくる事件を独自に調査して生計を立てていて、現在妻とは別居中で10歳になる娘がいる柚木草平を主人公としたシリーズの第1作。


とにかくまず魅力的なのはその主人公である柚木草平。

うだつの上がらない中年男と思いきや、その口から出る減らず口の数々は、ちょっと気障でユーモラス。

草平さんに出会う女性達も、どうしてか心憎からず思ってしまう・・・そんな主人公で、正直言うと身近にこんな男がいたら鬱陶しいかも知れないが、自分なんかは「こんな台詞を言ってみたい」「こんな男になってみたい」と思わされ、この作品で初めて樋口有介に接したのだが、それ以降はすっかり樋口ワールドにハマってしまった(笑)。


で、本書だが、不倫相手の冴子を筆頭にいい女揃い。

依頼人のOL・エリートキャリアウーマン・現役女子大生・加害者に容疑者、それに10歳になる娘までいい女だ(笑)。

それぞれが魅力的であり、いい女と見ると軽口を叩かずにはいられない草平さんとの会話にニヤニヤしながら読んでしまう。

この辺はある種、男の願望が詰まっってると言えるかも(笑)。


シャレた会話と小気味良く進む展開で読みやすく、ハードボイルドでありながら謎解きのミステリーとしても、ハードボイルドファンは勿論、そうでないハードボイルド初心者なような方でも楽しめる作品であろう。



とにかく一度樋口さんの作品に触れて欲しい。

樋口さん独特の、どこか暖かく、どこか切ない雰囲気漂う作風に一度ハマってしまえば、例え他の作品が同じようなものが多くてワンパターンなんて言われても、二度と抜け出せないかも(笑)。

(残念ながら本書を始め、絶版になっているものも多いので、興味を持たれた方は古本屋さんで探して下さい)





追記(2007/9/6):現在は東京創元社、創元推理文庫にて“柚木草平”シリーズをはじめとして樋口さんの作品が続々復刊中です。

これを機会に樋口さんに触れる人が増えると嬉しいなぁ。


彼女はたぶん魔法を使う (創元推理文庫) 彼女はたぶん魔法を使う (創元推理文庫)
樋口 有介

東京創元社 2006-07-22
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