死神を葬れ (新潮文庫)
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レジデント(研修医)のピエトロ・ブラウナは、過酷なER勤務をこなす毎日。
一癖も二癖もあるような患者を診る中で、ピエトロはある患者を発見する。
その患者はマフィアの一員でピエトロの知られてはならない過去を知っていた。
ピエトロは患者を診ながらマフィアからの刺客から逃れるために奔走する。
主人公は研修医。
過酷な勤務をこなす中で自身の過去を知る患者を発見する。
その過去とは・・・実は主人公自身、マフィアの殺し屋だった!
何故、殺し屋が医師に?
そんな疑問を抱きつつ読者は読み進む事になります。
現在の病院内でのパートと、主人公のピエトロがいかにマフィアの殺し屋となり、そして医師への道を歩む事になったのかが交互に語られていきます。
序盤では特に現在のパートが描かれ、病院内での様子がシニカルでブラックなユーモアまじりの描写で描かれています。
このユーモア的な部分はどこかコミカルで、次第にシリアス度を増していく過去のパートと対比されるかのようです。
実は主人公による注釈付きのこのユーモア部分てのがちょっと苦手というか、なかなか入り込めない部分はありました。
けれども主人公はどうしてマフィアの殺し屋となり、そしてどういう経緯でこの病院で勤めるようになったかが判明してきた辺りからのめり込むように読み、最後は一気読み。
特に絶対絶命の危機に陥った時にとった主人公の行動は比喩でもなんでもく・・・めっちゃ痛い!
妄想して痛みを味わった読書は多いはず(笑)。
正直な感想を言えば、主人公が過去に背負ってきたものを経て医師として働いているはずなんだけれども、そこが軽く描かれてる部分は個人的には残念。
でも、自身の命と患者の命を秤にかけて患者の命を取るところに、主人公が軽くみせている表面の影に隠れている本当の主人公の姿というのが見えるのかも知れないですね。