『スターライト☆ぱ~ふぇくと!』 火浦功 | 固ゆで卵で行こう!

固ゆで卵で行こう!

ハードボイルド・冒険小説をメインにした読書の日々。


時に映画やRockな日々。またDragonsを応援する日々。そして珈琲とスイーツな日々。

著者:火浦 功
『スターライト☆ぱ~ふぇくと!』 (ソノラマノベルス)

地球連邦宇宙開発公団開拓者擁護局のエージェント、鳴海甲介(自称ボギー)は休暇中に局長より呼び出され、急遽辺境の殖民惑星ブライトサイドへ向かう事に。

「畑のジャガイモが全部枯れた」と入植者からの苦情があったからという。

だが、その下らないと思われる苦情により、既にブライトサイドへ向かったエージェント3人が行方不明になっているという。

鳴海はブライトサイドへ渋々向かうが、ブライトサイドへ向かう宇宙船の中で珍客を発見する。





“ボギー&ジギー”が待望の復活!

といっても、かつて出ていた「スターライト☆だんでぃ」と「スターライト☆こねくしょん」と「スターライト☆ぱにっく!」を一冊にまとめて加筆・修正を加えたものに、単行本未収録の短編一つに書き下ろしを加えたもので、シリーズ再開って訳ではなさそう。


主人公の鳴海甲介はハードボイルドおたくなエージェント。

誰からも呼ばれはしないけど、自分の事はボギーと呼んでくれなんて言うが、仕事はいい加減だし、減らず口と運だけは最強の男。

そんなボギーが任務に向かおうとする宇宙船の中で見つけた女子高生の密航者ジギーとの、ドタバタ・ハードボイルド(?)・SF・コメディ。


渋々向かった僻地の殖民惑星で偶然見付けた世界征服を企む伝統ある組織ブラックハンド。

その組織を率いる美形の総帥ビランデルや、ビランデルを補佐するアビーマン博士などの世界征服の野望を阻むために、ボギーとジギーが奮闘(?)する様子は、それはもう笑わないで読まずにはいられない(笑)。


お調子者のボギー。

しっかりしてそうで天然なジギー。

美形だけど色んな部分で抜けてる悪の秘密結社の総帥ビランデル。

その他の登場人物も含めて、なんとも愛すべきキャラクターたちへの愛情は、こうやって読み返してみても未だに薄れる事はないくらい魅力的。


考えてみれば自分がハードボイルドを読むようになったきっかけはシリーズ第一弾の『スターライト☆だんでぃ』を読んでからかも知れない。

この作品でハンフリー・ボガードの映画を観て、そしてレイモンド・チャンドラーやダシール・ハメットを読み始めたりと、自分に多大な影響を及ぼしたのは間違いない。

そう、このシリーズはある意味自分にとって原点なのだ(笑)。


それに主人公の甲介が上司である局長に休暇中に呼び出されて任務を言い渡された時にする仕草、片眉上げ。

それを見た局長が器用なもんだと感心したところ、練習したんですと甲介が答える場面を読んで、自分も練習して片眉上げが出来るようにもなったし(笑)。



まぁ、ともかく、ハードボイルドが好きで、コメディが好きで、そしてSFが好きで、さらに言うならばギャグが好きならばきっと気に入るシリーズである事は間違いない。


欲を言うならば、元々まだ続ける予定だったこのシリーズが、この復刊を機に新作を発表してくれると非常に嬉しいのだが・・・。

うーん、やっぱり火浦功にそこまでの期待はかけちゃいけないんでしょうか(汗)。