國體護持 第六章 第一節 (基幹物資の缺乏)-1
はじめに・らすかる☆より http://ameblo.jp/rascal-amb/entry-10277101543.html
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第六章 萬葉一統
第一節 世界的危機の諸相
(基幹物資の缺乏)-1
以上の檢(検)討によれば、生産至上主義は、人類が地球上に生存するにおいて、自らの首を絞める思想であつて、いづれの修正主義もこの本質的矛盾を克服することはできない。ベルリンの壁の崩壞(壊)に象徴される世界の變(変)化は、資本主義が共産主義に勝利したのではなく、生産至上主義計畫(画)經濟(経済)を全體(体)主義的に展開する歴史的實(実)驗が失敗したに過ぎない。資本主義といふ生産至上主義の將來(将来)に展望が開けたのでは決してない。あたかも、同じ親から生まれた兄弟において、弟を亡くして狼狽へる兄の姿にも似てゐる。
そこで、新たな人類と地球の安定と共生のための理念を創造するについて、先づ、國(国)家、世界、地球を政治的、經濟(経済)的に不安定化する要因が何であるのか、といふ本質について、その分析と認識から始めなければならない。
思ふに、まづ、世界の「不安定化要因」の第一に擧(挙)げられるのは、食料不足に代表される「必需物資の缺(欠)乏」である。生活必需品及びそれを生産、保存、流通させるため必要な水・食料・資源・エネルギーなど「基幹物資」が確保ができないといふ危機が最大のものである。このやうな危機は、戰爭(戦争)や内亂(乱)などの人爲(為)的なものや、異常氣(気)象や災害などの自然的な原因による凶作などもあるが、それは一次的な原因であつて、凶作などによる飢餓と貧困は、究極的には政治的要因と云へる。
前述したとほり、アマーティア・センによれば、「貧困とは自由の缺(欠)如である」とされ、全ての飢餓や貧困は、たとへ自然災害を契機とする場合であつても、終局的には不平等と自由の缺如といふ政治的要因に全て起因するとされた。それゆゑ、たとへば、北朝鮮における人民の飢餓と貧困は、「暴政」といふ典型的な政治的要因によるものであつて、それを解決するには政權(権)打倒しか解決策はなく、經濟(経済)援助で解決のできる問題ではないのである。
ともあれ、このやうな飢餓と貧困をもたらす政治的要因の根底には、水・食料・資源・エネルギーなどの「基幹物資」を他國(国)に依存するといふ基本的な國策が構造的に存在してゐると思はれるのである。基幹物資の安定供給は、國家の獨(独)立を經濟(経済)的側面から支へる重要な要素である。國家の獨立とは、基本的には政治的獨立であるが、經濟的に他國に從屬(従属)することは、結果的に政治的獨立を失ふ。それゆゑ、基幹物資を完全に自給してゐる國家こそが、眞(真)の獨立國家であり、他國にそれを依存しない點(点)において「安定國家」と云へる。なぜならば、逆に、國家が、すべての基幹物資を他國に依存してゐる場合(自給率が零)、他國の政治状況、經濟状況、食料生産状況などが變(変)化すれば、それによつて輸入ができなくなり、國民生活や國民經濟などに重大な影響を及ぼして、國家の存立が危うくなり不安定化する。ましてや、その基幹物資を輸入する相手國と紛爭(争)状態になることは、國家の滅亡を招くことになる。大東亞(亜)戰(戦)爭は、さういふ意味でエネルギー戰爭であつた。それゆゑ、基幹物資の依存率が高ければ高いほと(自給率が低ければ低いほど)その國家は不安定であり、逆に、その依存率が低ければ低いほど(自給率が高ければ高いほど)その國家の安定度は增(増)すといふことになるからである。それゆゑ、基幹物資の自給率は、そのまま國家の安定度指數(数)といふことになる。
さうすると、世界は、そのやうな安定度指數(数)(自給率)の高い國(国)家が多ければ多いほど世界全體(体)の安定度指數は增(増)すといふことになるのは當(当)然のことである。いはば、世界に占める安定國家の「占有率」が世界全體の安定度指數といふことになる。
※大東亞戰爭=太平洋戦争
(基幹物資の缺乏)-2 http://ameblo.jp/rascal-amb/entry-10285767389.html