理化学研究所(埼玉県和光市)が04年12月、元男性研究員(59)が論文不正に関与したと発表したことは名誉棄損に当たるとして、男性が発表の取り消しと5500万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴していたが、理研側がホームページの該当ページを全文削除することで和解が成立した。男性側が6日発表した。所属研究者の研究不正について研究機関側が発表を削除するのは異例。

 対象となった論文は男性が同僚と執筆した、血小板が作られる仕組みや細胞分裂に関する3本。理研は2本が改ざんされ、1本も改ざんの可能性が高いとして、男性に3本の取り下げを勧告した。男性は同年9月末に理研の勧奨に従い退職後、06年に提訴していた。

 男性側代理人によると、和解内容は、論文1本にデータの訂正が必要な個所はあったが論文の結論に影響は与えないと確認。残り2本も男性が共著者として不正を見抜けなかった責任を認める一方、理研は発表内容が不適切だったとして遺憾の意を表明し、ホームページの発表全文を削除する--など。

 男性は6日、東京都内で会見し「研究者生命を絶たれる事態になったが、発表が取り消され、一定の名誉回復が図られた」と述べた。

 一方、理研は同日、該当ページを削除し、「論文に問題があったことは原告(男性)も認めており、発表趣旨に誤りはなかった」とのコメントを公表した。【永山悦子】

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