2011-05-24 08:16:17

「オーランチオキトリウム」渡邉信x田中康夫

テーマ:オーランチオキトリウム 渡邉信 藻 石油
【未来を拓く藻類エネルギー】
渡邉信(わたなべまこと)教授(筑波大学大学院 生命環境科学研究科)

      


田中康夫
「オーランチオキトリウムという石油を生み出す藻について御教授いただきたい」
渡邉信
「予算委員会でオーランチオキトリウムを言及されたことを有り難く思っております」
田中康夫
「ココナッツやパームよりも、もともと藻類はオイルの生産量が高いということですが」
渡邉信
「トウモロコシだと1ヘクタール当たり172リッターしか作れない。
 陸上植物の中でいちばん生産効率がいいと言われているパームですら
 5950リッターで約6トンになる。それに比べると藻類は58-136トンと、ケタが違う。
  世界の石油需要量が50億トンあると言われている。トウモロコシで全て賄おうとすると、
 地球上の耕作地の14倍が必要になる。パームだと40%使うことになり、事実上不可能だ。
 藻類だと約2-4%で済むし、藻類だと耕作地でなくてもいい。水を溜めておければ砂漠でも
 高地でも海面でもできる」
田中康夫
「いままで仮に藻で石油が作れるとしても、コスト的にどうなんだと言われてきた」
渡邉信
「やはりコストが大きなネックになってきた。どうしても原油とコストを比較することになる。
 原油は、もともと埋蔵されているものを採って運ぶだけ。水を溜めるところを作って藻類を
 生やして収穫する、これを同じ値段にするのは大変難しい。どんなに安く見積もっても、
 原油の3-4倍になる。下手なやり方では10倍ぐらいになる」
田中康夫
「そうすると末端価格リッター当たり150円のガソリンは600円くらいになる」
渡邉信
「しかも陸上の植物や多くの藻類がつくるのは石油ではなく植物油だから、そのままは使えずに
 変換しなきゃならない。」
田中康夫
「そのまま車には使えないと」
渡邉信
「メチルエステル化という変換をして、バイオディーゼル燃料にするわけだが、いろんな問題がある。
 石油成分をつくる藻類はいないかと探ったところ、最初ボトリオコッカスという光合成をする藻に
 注目した。炭化水素という石油系の油を作る」
田中康夫
「ボトリオコッカスはいつごろ発見されたんですか」
渡邉信
「だいぶ昔で1858年。そのころからオイルみたいなものを作ると言われていた。有名な
 藻だったので1980年代から研究が進められていたが、いまだに実用化には至っていない」
田中康夫
「コスト的な面や、繁茂させる条件が厳しい」
渡邉信
「大量生産したとしても原油の3倍以上の値段になる」
田中康夫
「450円」
渡邉信
「オイル含有率が約60%と高いからみんなが注目していたが、増殖のスピードが遅いため
 採算が合わない。それで、もう少し生産効率のいいものは無いかと、探って出てきたのが
 オーランチオキトリウム」
田中康夫
「オーランチオキトリウムは学術名?」
渡邉信
「はい。日本の研究者がつけた名前。オーランチオキトリウムは色素をもっていないため、
 光合成をしない。」
田中康夫
「そうすると、光がなくても育つ」
渡邉信
「増殖がものすごく速い。温度が30度になると2時間くらいで倍になる。20-25度になると
 4時間くらいで倍になる。炭化水素の含量は総重量の20%ぐらい。ボトリオコッカスと比べると
 含量は少ないが、増殖が36倍のスピードがある。そのため生産効率では10倍以上になる」
田中康夫
「オーランチオキトリウムは名称がいい。ボトリオコッカスだとエキノコックスみたいだけど」
渡邉信
「オーランチオキトリウムは光合成をしないからCO2を吸収はしないが、植物の作った有機物を
 吸収して炭化水素という有機物を作るから、カーボンニュートラルのエネルギーになる」
田中康夫
「培養はどうやって行われるのですか」
渡邉信
「倍加時間が4時間、1ヘクタールで深さ1.5メートルで計算。光合成しないから深さ
 1.5メートルで光が届かなくてもできる。4時間ごとに半分取って、また培養液を入れてやる。
 これを連続して行なう。このやり方で、年間1ヘクタール当たり1万トン以上の炭化水素が採れる」
田中康夫
「それは、ほぼ石油ということ?」
渡邉信
「そう。石油でいうと重油相当になる」
田中康夫
「1ヘクタールで1万トン?」
渡邉信
「日本の原油輸入量が年間約2億トンなので、2万ヘクタールだと輸入量に匹敵する量が採れる」
田中康夫
「2万ヘクタールなら東京ドームの4000個くらい。これは全国に荒廃農地もいっぱいあるし
 可能になる。オーランチオキトリウムは南の海で発見されたというが」
渡邉信
「最近のデータでは、耕作放棄地が20万ヘクタールというので、その10分の1で済む。
 津波で使えなくなっている農地が奇しくも2万ヘクタール」
田中康夫
「今回、塩を被った農地が2万ヘクタールある。これに対して政府は、3年間で塩を抜くと。
 本当に抜けるのか、そのときはみんなもっと高齢になっているのではないか。あるいは、
 一回塩を被った農地のコメがブランドとして売れるのか。一時補正で700億円もつけている。
 国が9割負担し、残り1割も国が交付税を出すという。自分の土地でまた農業をやりたい方は
 いらっしゃるだろうけど、また何十年後には津波があるわけだから」
ニュースと我等の生活-オーランチオキトリウムB
渡邉信
「有機物で増えるオーランチオキトリウムと、窒素・リンとCO2で光合成をするボトリオコッカスを
 上手く組み合わせると面白いことができる。
  現在、多くのエネルギーとコストを使って、有機廃水を処理している。有機廃水は
 『最初沈殿池』で固形の有機物を落とし一次処理水になる。ここには有機物がいっぱい
 溶け込んでいる。活性汚泥というもので有機物を取り除いて二次処理水になる。
 有機物はほとんど無いが、窒素・リンを多く含んでいる。これをそのまま流すと水が
 富栄養化するという状態にある。そこで、一次処理水を使ってオーランチオキトリウムを
 増やしていく。処理も兼ねて炭化水素のオイルも採れる。そこで出来た二次処理水を使って
 ボトリオコッカスを育てると、また処理も兼ねて炭化水素のオイルも採れる。そこで出た
 廃水は、有機物が増えているので、再び『最初沈殿池』にもっていく。
  こういう循環で水処理プロセスにオーランチオキトリウムとボトリオコッカスを使うことで、
 コストとエネルギーの面で相当な節約が出来るのではないか」
田中康夫
「製鉄所では、ちゃんと廃水を処理して水が飲めるなどとやっているが、そこでオーランチオキトリウムを適用すればいい」
渡邉信
「被災地で地盤沈下したところは、盛り土すると相当なコストがかかる。海水も入ってきているから、
 オーランチオキトリウムを育ててはどうか。宮城県に閖上あたりは有機廃水の処理場になっていた。
 そこが潰れてしまって使えない」
田中康夫
「下水処理場のような場所でもいいということ」
渡邉信
「上手くリンクしていくことが出来る。オーランチオキトリウムなら海水でも問題ない」
田中康夫
「淡水では無理なんですか」
渡邉信
「無理ではないが、増殖が落ちる。淡水から濃い海水まで広い範囲で育つ」
田中康夫
「温度の問題は」
渡邉信
「オーランチオキトリウムなら、10-30度超くらいでよく生える。東北地方なら
 10度以上になる5月から10月末まで可能」
田中康夫
「光合成ではないから、上は太陽光パネルにしてもいいし、工場の一次廃水も使える」
渡邉信
「オーランチオキトリウムは、いろんなものとミックスしながら使える。冬場でも
 熱廃水を出すところなら培養できる」
田中康夫
「全体で2万ヘクタールというのも、地域分散型でできるから、家庭排水でも海水があれば
 十分にオーランチオキトリウムが繁茂する。オーランチオキトリウムは世界中さがして
 見つけてきたのですか」
渡邉信
「世界中まわりはしたが、日本国内にこだわりながら採取した。生物多様性条約があるので、
 外国で採取して産業化すると制約がかかる。だから日本で自由にできる資源を確保しておこうと
 思った」
田中康夫
「石油もいずれ枯渇する。ウランだって枯渇するからエネルギーを変えなきゃならない。
 オーランチオキトリウムは荒唐無稽ではない気宇壮大なものだ。これこそ国家的な
 プロジェクトにしていかなければ、と思う。先生の研究に対して、産業界からの反応は
 どうですか」
渡邉信

「石油は燃料以外にも、様々なものの原料になっている。いろんな職種の産業界からの     
 問い合わせがきている」
田中康夫
「これまで産学官共同というと、第三セクターの天下りや不透明なお金だったりしたが、
 オーランチオキトリウムこそ実体のある夢ではないかと思う。東京電力のように
 組織を維持するという発想でなく、様々な産業が変わっていくことで、ビジネスが生まれ
 雇用がうまれ、そして生活が豊かになるのではないかと思う」


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