●生藤山/陣馬山   温泉付

    神奈川県 991m/885m 2008年4月5日(土) 快晴

<参考コースタイム>

JR上野原駅(中央線)→石楯尾神社バス停→(40分)佐野峠→(30分)甘草水→(10分)三国山→(15分)生藤山頂→(60分)山神分岐→(25分)和田峠→(20分)陣馬山頂→栃谷尾根分岐→(50分)姫谷温泉→(20分)陣馬登山口バス停→JR藤野駅(中央線)

歩行時間:4時間30分

温 泉:陣馬温泉郷「陣谷温泉」
 

生藤(しょうとう)山は、神奈川、東京、山梨の1都2県に近接した山で、尾根道には、珍しく桜並木がある。 今回は、登山と花見と日帰り温泉をかねたちょっと欲張りな企画。

生藤山の桜は、例年4月中旬が見頃のようだが、街では、例年より早く3月末から桜が開花したので、その分淡い期待を抱いたのだが、果たして山中の桜の蕾はほころんでいるだろうか?

石楯尾神社バス停で降りると、進行方向に生藤山への案内表示がある。この辺りの桜はまだ蕾すらつけていない。それどころか、梅の花がまだ咲き誇る有り様で、これでは山腹の桜は望むべくもないと、はやあきらめの心境。

歩き始めてすぐに、石垣越しに民家を見上げると檻に見慣れない動物がいる。毛が長いので、羊でも飼っているのだろうかと思ったが、なんとイノシシ。野生のイノシシでも捕まえたのだろうか?

舗装された道を10分ほど歩くと、やがて登山道に出る。丁度、間伐をしている最中で、切り出した木で登山道を整備しているようだ。
 
徐々に高度が上がってきて、その日は気温が高いせいもあって、すでに背は汗ばむほどに。40分ほど薄暗い道を登ると、突然、明るい尾根道に出た。そこが、佐野川峠。


佐野川峠

緩やかな坂道を登って行くと、徐々に桜の木が増えてくる。残念ながら、どの桜の木にも蕾の気配すらない。やはり桜の観ごろは4月の中旬か? 

佐野川峠から30分ほど桜の古木を見上げて歩いていると、ベンチ脇の右脇に、甘草水に至る標識があるので、寄ることにした。脇道だが、100mほどの距離。

甘草水には有名な逸話がある。日本武尊が東夷征伐の途次、水がなく難儀をした際、自らの鉾で岩頭を穿つと、清泉が忽ち湧き出したという。その水で軍士の士気が高まったという。

確かに、このような山頂付近に清水が湧くのも珍しいから、こんな伝説が生まれたのだろう。

甘草水には確かに清水が湧く

甘草水から、本格的な桜並木を10分ほど上り詰めると、見晴らしの良いベンチに出た。そこから予期しない光景を見て、思わず歓声。 きれいな富士山がくっきりと見える。ほとんど富士山が見えるとは予想もしていなかったので、大感激。

三国山山頂付近のベンチ。桜の枝越しに、きれいに冨士山が見える



山頂までかなり長い桜並木が続く

三国山から、生藤山はもう指呼の距離。

 

生藤山の山頂付近からは、三国山と同じように富士山や南アルプス、奥多摩の山々がくっきり見えるだけでも感動もの。

生藤山は高校の3年のとき、学校をサボって来たことがあり、そのときの記憶は、薄暗い林間の印象しかないが、今回は、見晴らしもよく、なんとなく明るい雰囲気。

山頂は狭いが、4つほどベンチがあり、その二つを独占して、早目の(10時)昼食を取る。登山口から山頂までの所要時間は1時40分。
 
生藤山の山頂


山頂で20分ほど休憩して、陣馬山目ざして10時30分出発。

山頂からはかなりの急坂を下り、途中、標高1019mの茅丸を通り、醍醐丸(867m)へ。この辺りは巻き道がいくつかあり、醍醐丸山頂へは寄らず、巻き道を使って醍醐峠を経て、和田峠に着いた。この間、あまり休まず、1時間40分ほどの行程。

和田峠には、林道が通っていて、また茶店もあるので、結構な人で賑わっている。

和田峠にはロードバイク?の人も  和田峠からはキツイ登り

和田峠から陣馬山へは、本日最後の急坂。急坂というより、階段が延々とつづき、足に相当な負担がかかる、2つほどの小山を越え、20分ほどで陣馬山山頂へ・・。「やっと山頂間近・・・」、と写真を撮ろうとポケットからカメラを取り出そうとしたが、カメラがない。もしや途中で落とした? いつぞやの再現か?

やっと必死に登った山を仕方なく、後戻り。結局、途中で見当たらず、和田峠に着いてしまったので、茶店の主人に落し物を聞くと、”ありました”。親切な人が茶店のすぐ上で拾って、届けてくれたとか、感謝、感激。

再び、急坂を上り返して、ようやく陣馬山に13;00到着。

さすがに陣馬山には人出が多く、中にはテントを張って一夜過ごした人もいる。富士山も間近に見える。山頂で20分ほど休んで、本日の第三の目的地の陣馬温泉に向かう。

陣馬温泉に向かうには、奈良子峠まで下り、そこから奈良子尾根を下るのが通常のコースのようだが、われわれは、陣馬登山口に至る陣馬山直下の栃谷尾根を下る。このコースが陣馬温泉の下の道に合流するのだが、抜け道があるだろうとあまり考えずに歩き出した。

この尾根道は、冷風が樹幹を通り抜けて気分が良い。この日は気温が16度以上に達するという、汗ばむ陽気が初夏を思わせる。その肌を、麓からの風で心地良く冷ましてくれる。

山頂から20分程下ったところで、「姫谷温泉に至る」の看板に出くわした。地図にはない、予期せぬ道だ。看板に滝見露天風呂とある。私道だが、試しに行ってみようということになった。道は隘路で不安だったが、実はこれが大正解。

ロープ伝いに急な坂道を下って行くと、なんとミツバツツジの群生を発見。それまで花らしきものは何も見ていなかったので、夢中になってあちこちと花を探す。向こうの山には、色濃いピンク色の花の大木が見える。このあたりは日当たりが良いのだろうか、満開の桜の木も1本発見した。

夢中になってミツバツツジを見つけては、写真を撮り続けた。足元にはこれまで全く見なかったスミレも満開。これは、「隠れ花の道」?。

 

ロープを伝って細い急坂を下る



写真を撮りながら30分ほど歩いて、ようやく姫谷温泉に到着。このあたりは、朝の景色とは大違いで、山吹、白もくれん、雪柳や水仙など春爛漫。

本日は桜はもうすっかりあきらめていたので、少し興奮気味。

姫谷温泉には入らず、そこから、陣渓園、陣馬の湯などを通り過ぎて、陣馬温泉最後の陣谷温泉に入ることにした。

実はこれが本日のハイライトにして大収穫。というのは、この温泉の庭園には、大きな桜の木があって、満開の桜の花びらが、まるでしだれ桜にように斜面を覆っている。その様が、檜の湯船から眺められのだからこれほどの贅沢はない。

庭園に咲く桜(左)を、温泉に浸かりながら(右)堪能

ゆっくり温泉に浸かって、「湯上りのビールを堪能」といきたいところだが、残念ながらこの旅館では飲み物はなし。

まあそれも仕方がないが、20分ほど歩いたところにバス停があり、そこでビールが買えるというので、しばらくの我慢。

湯上りの体を冷ましながら、満開の桜の山道をぶらぶらと歩く。茶畑あり、みかんあり、どこかで見た光景を想い出した。


ようやくバス停について、居並ぶバス待ちの人の前を通り過ぎ、一目散に酒屋に飛び込んで、700mlの缶ビールを買う。

湯上りとはいえないが、渇いたのどにビールがしみ通る。

JR藤野駅前には、飲み屋も見あたらい様子なので、八王子駅で降りて、居酒屋で新ためて生ビールで乾杯。

登山と桜と温泉とビール、大いに欲張った1日でした。

にほんブログ村 アウトドアブログ 登山へ
にほんブログ村