●八ヶ岳・天狗岳 温泉付
長野県 2,645m 2007年7月28日/29日
<参考コースタイム>
●1日目
稲子湯→(1時間)屏風橋→(20分)ミドリ池→(1時間)本沢温泉 (宿泊)
●2日目
本沢温泉→(50分)夏沢峠→(25分)箕冠山→(20分)根石岳→(25分)
東天狗岳 →(1時間30分)黒百合平→(30分)第一分岐→(20分)第二分岐
→(1時間10分)渋の湯
歩行時間:5時間30分
<日帰り温泉>渋の湯「渋御殿湯 」
八ヶ岳に登るのは、正確に言うと31年ぶり。当時は、赤岳から天狗岳を縦走したのだが、今回は稲子湯から天狗岳を経て、渋ノ湯に至る北八ヶ岳横断コース。
小屋泊まりも数十年ぶりで、なんだかワクワクする気分でしかたがない。
1泊ともなれば、簡易ザックでは足りないので35リットルのザックとバーナーを購入。
密かな目的は、日本最高所の露天風呂「本沢温泉」に浸かること。山の本や雑誌でたびたび本沢温泉の光景を目にしてきたので、一度は体験したいと思っていた温泉である。
八王子から中央線で行くので、どんなに早くても稲子湯に着くのは10時ころになってしまう。泊まりは、やはり本沢温泉になる。
小海線小海駅からバスで稲子湯へ。そこを出発したのが10時20分。
舗道をしばらく歩くと、みどり池に至る道標があり、スタートから屏風橋まではちょうど1時間の所要時間。
小さなせせらぎに沿ってなだらかな道を進むと、少し勾配がきつくなる。もう一息でシラビソ小屋のあるミドリ池に到着。屏風橋からわずか20分程度だ。
ミドリ池とシラビソ小屋
本日は本沢温泉小屋に泊まることになっているから、随分余裕のある行程だ。
ミドリ池で少し早い昼食を取り、30分後に出発。
ミドリ池からは緩やかな道を1時間ほど歩くと、もう本沢温泉に着く。
到着時間は13:15分。稲子湯からの所要時間は約3時間。
本沢温泉小屋
さすがにこの時間に宿泊予約をする人は少ないらしく、小屋の中は閑散としたもの。
小屋の回りを少しうろうろし、本日のネグラに案内してもらう。ネグラの「カイコ棚」は、今も昔と変わらない。
相棒は、40年前にキャンプしたころを盛んに懐かしがり、小屋のおじさんに当時の話を聞いていた。どうやら大水が出てから、現在のキャンプ地に場所を移動したとか。記憶にある、大きな岩が跡形もなくなっていたのには驚いたそうだ。
中学3年当時一緒だった仲間が、下駄で八ヶ岳を登ったという武勇伝を思い出した。(もちろん途中で下駄が割れてしまったそう)*この山行には当時不参加。
小屋で荷物を整理して、いよいよ日本最高所の露天風呂に行く。タオルとカメラだけを持って、登山道を10分ほど登ると、ガレ場の下の方に降りる道があって、小さな露天風呂が見えてきた。ちょうど板敷きだけの脱着場に、素っ裸の先客が湯から上がったところ。
木組みの露天風呂は、4~5人も入れば満員となる小さなものなので、ちょうど先客と入れ替わりのいいタイミング。白濁した温泉は、熱くもなく、ぬるくもなく、ちょうど良い湯加減。冬場は少しぬるく感じるかもしれないが・・・。
露天風呂は数多くあれど、2000mの高所の見晴らしの良いこの風呂には、どこもかなうまい。
後から来た客は、露天風呂のすぐそばを流れる小川に、缶ビールを浸している。
「そうか、そういう手があった」と悔やんでみても、あとの祭り。そばに自販機があるわけでもなし・・。
そろそろ入浴客が増えてきたので、30分ほどで切り上げ、小屋に戻る。
ちょうどいい具合に小屋前に「生ビール」の文字を発見。早速ベンチに腰掛けて、冷えた?生ビールで乾杯。(気泡が抜けてこれは失敗!)
部屋に戻って、荷物を整理し、再びベンチに戻って、缶ビールを飲んでいると、二人連れの女性が露天風呂に行くらしい。「登山道からも見える露天に入るのか」、と今どきの女性の度胸に拍手。
6時ころようやく、夕食の時間。昔は、小屋泊まりとはいえ自炊だったのだが、今ではそれも面倒で、小屋のごちそうにあずかることにした。そこでもやはりビール。
夕食後、それぞれ持参の酒を持って、共有部屋で、ほかの宿泊客とちびりちびりと酒盛りを開始。
いつの間にやら、部屋の電気が消えたので、懐中電灯を照らしながらしつこく酒盛りを続け、最後は小屋備え付けの内風呂の湯に浸かりに行った。
翌朝は、あいにくの曇り空。
小屋を6時30分に出発し、夏沢峠までは50分の行程。そこから根石山まで25分。この辺りはガスが出て視界はほとんどきかない状態で、ひたすら歩くのみ。
目的の東天狗岳に着いたのはおよそ9時。小屋を出発して2時間半の所要時間。
やはり、2500mを越える山は奥多摩や丹沢の山とは違うことを再認識。
帰りは、中山峠経由ではなく、天狗の奥庭の道を選んだのだが、この岩場の道には閉口した。ルートはすべて、ごつごつした大きな溶岩の上で、傾斜もあるので、バランスをとるのにも苦労する。
しっかりした下り道でさえ、足に負担が来るのに、岩の上を飛ぶように下るのは相当足に来る。
約40分奮闘して、ようやく黒百合平に到着した。時刻は10時30分。
ここでバナーを出し、早い昼食を食べ、1時間の休憩のあと、唐沢温泉と渋温泉の分岐を通り、少し遠回りだが、パノラマコースを経て渋温泉に向かうことにした。本日は、渋温泉に浸かり、後は帰途につくだけ。
パノラマコースを選んだのは眺望を期待したのだが、どこまで行っても唐松林の中だけで、パノラマとは名ばかり。それを知ってか、1時間歩いても一人としてすれ違うこともなかった。なぜパノラマコースなのか、今もって分からない。
黒百合平から2時間後、ようやく渋温泉に到着。
登山口の直ぐそばにある渋の湯「渋御殿湯」に浸かり、2日間の無事に祝杯。
ここの渋御殿湯は、奥蓼科温泉郷の最奥にあり、鄙びているが趣がある。