1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >>
2011-11-30 00:30:43

☆圭太サイド19☆

テーマ:ブログ

どくん…どくん…


トクトクトク…


『………』


静かな部屋に響くような心臓の音を聞きながら、僕はゆっくり腕を緩めた。





『…羽月ちゃん』


『ま、待って!謝らないで!』


え…?


『さっきも言ったけど…圭太くんがサクラちゃんを忘れてないのは分かってるから!』


羽月ちゃんは恥ずかしいのか、下をむいたまま首をブンブン振っている。


『だからっ…キスしたこと、謝らないで』



なんか…そんなに恥ずかしそうに言われると、僕もたまらなく恥ずかしくなるんですけど…。


本当は僕だってこんな状況初めてで、恥ずかしくて死にそうだけど…




『…謝ったりしないよ』


『え…?』


羽月ちゃんがとっさに顔をあげて、バチっと目が合う。


でもその不思議な瞳からは目が離せないんだ。


『僕がしたいと思ったからしたんだ。それに…』


『それに…?』


『あんな瞳で見つめてきた羽月ちゃんが悪いんだからな!』


僕の言葉に羽月ちゃんの丸い瞳が、さらに丸くなった。




『…ふふ…良かった』


そう言ってまた俯こうとする顔を優しく手で包んだ。


『圭太く…』




『ありがとう。そんで…ごめん』


『え…』


『あ、これはキスしたことにたいしてのごめんじゃないからな』


小さく笑う羽月ちゃんが本当に可愛くて、思わず自分の頬が緩むのが分かる。




『僕、自分のことしか見えてなくて羽月ちゃんを傷つけてたよね』


『そんな…』


『…僕は…』


次の言葉を言おうとすると、頭の中にサクラの笑顔が広がる。


ずっと想ってきたサクラ。


サクラが誰を想っていても、サクラは僕の”特別”なのかもしれない。





『僕は…確かにサクラを忘れられてない。』


僕を見つめたまま頷く羽月ちゃんを、もう一度腕の中に包んだ。


『ずっと…サクラは特別だったんだ。そんな簡単に…何にもなかったことになんてできない』


『…うん。分かってるよ』


諭すような優しい声に、また弱い自分に戻りそうになる。




『でも…羽月ちゃんのそばにいると幸せな気持ちになれるんだ』


”想われてる”


この感覚は、味わったことのないもの。


『サクラといた時の気持ちに似てるんだけど…そうじゃなくて…うまく説明できないけど』


『…うん』


『羽月ちゃんの目をみると…色んな感情がでてくるんだ。可愛い、守りたい、そばにいてあげたい…』


ぴくっと羽月ちゃんが反応する。


どの言葉に反応したんだろう。


『何で目を見ただけで、こんな風になるんだろうってずっと思ってたんだけど…』


軽く腕を緩めて、その不思議な瞳を覗き込んだ。


恥ずかしそうだけど、やっぱりその瞳は僕を吸い込みそうになる。



『今日キスして分かったんだ。羽月ちゃんの…瞳から…僕を想ってくれてる気持ちが…伝わってるんじゃないかって』


『えっ…!!!』


羽月ちゃんは反射的に顔を手で覆った。


『ば、ばればれってこと!?』


『いや、そうじゃなくって…』


ドキドキしたり、わくわくしたり、同じようなことをサクラとも経験した。


サクラを抱きしめて、守りたいって、可愛いって思った。


ずっと側にいたことで、色んな感情と出会った。




『彼氏としてサクラのそばにいたのに…羽月ちゃんがくれた”僕を想ってくれる視線”をサクラから感じることは一度もなかった』


そう、一度もこんな気持ちになったことなかった。


『…”想われる”ってこんなに幸せなんだね』


ギュッと羽月ちゃんを抱き締めれば、背中に細い腕が回ってきた。


その腕からも、こんなに伝わる。



『…びっくりした。』


『え?』


『圭太くんが…そんな風に言ってくれるなんて思ってもみなかった。ちゃんと…私も圭太くんの目に映ってたんだね…』


羽月ちゃんの言葉で、初めて自覚した。


もうずっと前から、羽月ちゃんを意識してたこと。


もちろん、それが恋なのかって言われたら、そうじゃないのかもしれない。


でも、サクラ以外をそんな風に意識したことなんてなかったんじゃないかな…



















AD
いいね!した人  |  コメント(9)  |  リブログ(0)
最近の画像つき記事
 もっと見る >>
2011-11-30 00:25:00

すいませぬ

テーマ:ブログ

小説を楽しみにしてくれてる方も、そうじゃない方も…


全然更新せずすいませぬ。


病んでました(-_-)


今日は書くよー!!

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2011-11-08 00:07:26

☆圭太サイド18☆

テーマ:ブログ

『圭太!!いつの間にサクラちゃん以外の子と!!』


『…いやだから、友達だって』


飲み物を取りに降りた途端、連れてきた羽月ちゃんについて突っ込んでくる母さん。


『しかも…かなりの美人さんじゃない!』


『だーかーら。友達』


『何言ってるの!まだまだ若いんだから、これから先何があるか分からないわよ!ふふっ!』


なぜか嬉しそうな母さんの声を背に、僕はリビングを出た。


何があるか分からないか…


サクラにはユウスケっていう好きな人がいて。


羽月ちゃんのも好きな人がいる。


それが現実。


これから何があるっていうんだよ…





『ごめん。オレンジジュースしかないけど』


部屋のドアを開けると正座している、羽月ちゃんと目が合う。


『…なんで正座…』


『い、いや。なんか緊張しちゃって…。あ、飲み物ありがとう』


サクラ以外の女の子を部屋に入れたことなんてないから、改めて考えると確かに緊張する。


…てか、母さんの反応にも納得できるな。


『そんな緊張しないでよ。僕にも移るから』


『…う、うん』



シーン……


う…気まずい。


何も考えずに呼んだけど、何もやることないし、気まずい…




『あ、あのさ。さっき母さんが、羽月ちゃん美人だなって言ってたよ』


『えー!!またまたぁ…て言うかお邪魔させてもらってるのに、私何も持ってきてないよ!どうしよう…』


『そんなのいいよ。急に呼んだんだし』


『でも…』


『じゃぁ次来た時は楽しみにしてるよ。って僕がもらうわけじゃないか!』



僕がそう言うと、羽月ちゃんは驚いたように目を少し見開いた。


『…え?僕変なこと言った?』



『あ、ううん。…私…また来てもいいの?』


その言葉になぜか心臓がどきんと鳴る。


『も、もちろん。こんな部屋でよかったら』


『…嬉しい…』


羽月ちゃんは泣きそうな顔になった。


どうして…





『何で…泣くんだよ…』


その顔はずるい。


羽月ちゃんの泣き顔は本当にずるい。


抱きしめたくなる。


『ご、ごめん。嬉しくてつい…』


『僕の部屋に来れるのがそんな嬉しいの?』


冗談ぽっく聞いてみたのに、羽月ちゃんから返事が返ってこない。


『ホント泣き虫だなぁ…』


一瞬抱きしめそうになった腕を、紛らわすようにコップへ伸ばした。





『ち…違う…』


『え?』


羽月ちゃんの大きな瞳に僕が映る。


『圭太くんのそばにいられるのが嬉しいんだよ。』


ドクンドクン…


大きな瞳に吸い込まれそう。


『圭太くんがサクラちゃんを忘れてないのは知ってる。今、頭の中にはサクラちゃんと優介くんのことでいっぱいなのも分かってる。』


『羽月ちゃん…』


『でも、それでも、圭太くんのそばにいられて…友達としてでも必要とされることが嬉しいの…』


羽月ちゃんの涙を拭おうと伸ばした手が、小さな手で包まれた。





『圭太くん…す…き』






気がついたときには、僕はきつく羽月ちゃんを抱きしめていた。


長い髪も、羽月ちゃんの匂いも…


目眩がしそう。


何で気付かなかったんだろう。


こんなにも近くで、見つめてくれていたのに。


他に好きな人がいて、違う男に優しく出来る人じゃないって知ってたのに。


それが理由でユウスケと別れたのに…






『…ごめん…何も知らずに傷つけてたんだな…』


僕がサクラを想うほど傷ついてたはずだ。


それなのにそばにいてくれた。


羽月ちゃんだって、ユウスケと別れて辛かったのに。


いつも僕の気持ちを優先してくれていた。


これが…


”想われる”


てこと…?






ゆっくり腕を解いて、涙に指をあてると羽月ちゃんの身体が小さく揺れた。


『ずるいよ…その顔…』


僕を見上げる大きな瞳に、吸い込まれそうになる。


一瞬躊躇した僕の耳に僕の名前を呼ぶ羽月ちゃんの声が届いたときには…


何も考えられなくなって。


その瞳の吸い込まれるようにゆっくりと、僕らは唇を重ねた。










AD
いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >>

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。