Ⅲ.体のバランスと良い姿勢・悪い姿勢


1.姿勢の種類

調べてみると、姿勢の種類は下のように分類されるようです。(分類の方法は色々あるみたいですが)


A.腰を反る(脊椎前弯)タイプ

骨盤が前傾し、お尻を突き出して腰を反っている姿勢。
胸椎の曲がりが大きく、腰の曲がりは少ない、骨盤は前傾。

B.猫背+腰を反る(脊椎後弯+前弯姿勢)タイプ

上のA+胸が下向きで背中を丸めた猫背の姿勢。背骨が極端なS字になっている姿勢。
胸椎の曲がりが大きく、骨盤は前傾し、頭が前に出る。


C.スウェイバック

腰・下腹が前に出ていて背中を曲けている姿勢。骨盤は後傾。

D.フラットバック

背骨がまっすぐでS字になっていない姿勢。
頭はやや前に出て、背中からお尻が平ら。骨盤は後傾。

E.ミリタリータイプ

胸が前に出て骨盤が前傾している姿勢。


基準になる姿勢は一番左の姿勢で、
耳と肩関節と胴(腰椎)と大転子の中心、膝の中心の後ろ、足首の中心の前が垂線上に並ぶ姿勢になるようです。

大まかに言うと「骨盤の傾き」と「背中の曲がり」に個人差があるということです。

ロードバイクに乗る姿勢もこの姿勢の延長線上にあるので、自分がどの姿勢のタイプか知っておくと良いと思います。




体のバランスの重要性


体のバランスと運動の重要性は、スクワットで再現をしてみると分かりやすいです。

わざと頭を前に出したりお尻を後ろに引いたりして、つま先やかかとが浮くようなアンバランスな姿勢でスクワットしてみると、スクワットが何倍も辛くなります。

なぜそうなるかというと、アンバランスな体を支えるために余計に筋肉を使っていて、運動の妨げになっているからです。


(画像引用元:zimbio.com)


ロードバイクに乗る姿勢でも同じように、体のバランスが悪いと疲労や負担が多くなり↑運動能力が下がる↓という状態になります。

ロードバイクで走行中は、勾配やコーナーなどの路面の変化やパワー(ぺダリング)の変化、細かい所だとペダルに力を入れている時と入れていない時の体のバランス変化に常に対応しなければならないので、「体のバランスが取れている」姿勢で乗ることは大切な基礎になると思います。



3.良い姿勢・悪い姿勢


体に負担をかけずに正しく運動できる良い姿勢は、上で述べた・「体のバランスが取れていること」と、「体(筋肉)がリラックスしていること」の2つの要素で決まると思います。


× 体のバランスが悪い姿勢


良くない姿勢のひとつは、前後に(または左右に)体が倒れているバランスが悪い姿勢です。
ロードバイクではペダルとサドルに体が乗るので、体のバランスが悪い場合はペダル上とサドル上の両方から体が倒れる姿勢になります。


 下の絵の(2)のように体が前に倒れているバランスが悪い姿勢は、体を支えるために胴体(体幹)や腕や脚の筋肉を余計に使うので、ぺダリングや体のバランスを取ることに有効に筋肉を使えなくなる効率の悪い姿勢です。
このような前倒れの姿勢の場合、平地や下りで姿勢の維持が疲れます。

 逆に体が後ろに倒れている(起こしすぎている)ような場合は、ママチャリと同じように、姿勢は楽だけれどパワフルなぺダリングができなくなります。この姿勢の場合は特に上り坂でパワー不足や疲労を感じるでしょう。
ぺダリングに合わせて体を伏せるようにしないと坂を上れないような場合は、パワーと姿勢のバランスが合っていないということです。

バランスの基準は平地を平均パワーで走っている時になりますが、その時に両者の中間、体が倒れてバーに乗っからない/バーに体重が乗り過ぎないくらいがバランスが取れている姿勢です。


 


× 体がリラックスしていない姿勢


もうひとつの悪い姿勢は、「体がリラックスしていない姿勢」です。

 上の "バランスが悪い姿勢" も体がリラックスできない事に関係しますが、体のどこかに無駄な力が入っていたり柔軟性を無理していて体がリラックスできていないと、上と同じように体を上手に使えない効率の悪い乗り方になります。

 ガチガチまたはピーンと固まったような姿勢(力が入ってしまっている/柔軟性を無理している姿勢)では、体を柔軟に使えなかったり姿勢が疲れるので、体のバランスが取りづらく&バランスが崩れやすくなります。

そのような状態だと、バランスの悪さや柔軟性による疲れを直すために姿勢やポジション(座る位置やバーを持つ位置)の修正が大きくなるので、姿勢とぺダリングは安定しなくなります。

この場合、サドルに座る位置や膝の位置が変わるので、サドルの痛みや膝、腰の痛みの原因になりやすいです。
ある程度乗ると決まってどこかが痛くなるなんていう場合は、どこか柔軟性を無理している可能性大ということですね。
また、力が入っていれば路面の振動や衝撃を吸収できないので長いライドが辛くなります。



○ 筋肉を使わない姿勢


 体のバランスが取れていて体がリラックスしている姿勢の利点は体幹(胴回りの筋肉)が使えることにあります。
悪い姿勢の要約は、「体のどこかに無駄に力が入っている(筋肉を使っている)姿勢だと体幹が上手く使えないよ、」ということです。

体幹を使えるということは、体のバランス能力を上げるだけでなく、ハムストリングスや大殿筋などの筋肉をぺダリングのために使うことができるので、効率的またはパワフルな走りをするためにはとても必要な事です。

 ロードバイクの乗り方に関して "体はこうする" とか "どこそこの筋肉を使う" というように言われることが多いですが、そう意識してしまうと力んだり柔軟性を無理してしまいがちです。
なので、フィッティングや乗り方を決めるには、なるべく無駄に筋肉を使わないようにする方向で進めていったほうが早いんじゃないかと思います。