「無雙庵 枇 杷」 むそうあんびわ お山番の日々綴り

60歳で伊豆・土肥温泉の高級旅館「無雙庵 枇杷」のお山番をおおせつかった私。

大好きな自然の中で、果樹や大樹、野うさぎやたぬき・猿・いのしし・鹿などの野生動物と出会い、
雑草刈りや伐採作業にいそしみ、季節の移り変わりを楽しむ日々をつづります。



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   あまりにもたくさんの出来事が、相次いでおこった昨年でございました。
   今も寒さ厳しい中で、復興の思いだけを胸に、
   新年にひとすじの光をみつめているたくさんの方々を思わずにおれません。

   伊豆は元旦から、いつもの年になく雲の多い年明けとなりましたが
   私は例年どうりに
   すっかり大きくなった孫たちと会い、在所の神社に初詣も出来、餅もいろいろな料理で食べて、
   平凡であることのありがたさに静かに感謝を思い正月を過ごしております。

   お山番もほんの時おり出かけてゆく冬の日々ですが
   越冬の小鳥たちのさえずりやみかんの木の様子や、自然の全てが、
   年々歳々に里山として落ち着いてきてくれているので心配も少なくなりました。

   そして、お宿の若い世代の方々が、
   年毎にお山の里山としての大事さを理解してくれるようになり
   ありがたい気持ちで、ゆっくりゆっくり仕事をさせていただいているこの頃です。
   今年も無理をせず、それぞれの果実や竹の子などの季節に、
   お客様がお山を充分に楽しんでくださるように、
   若い方々と一緒に知恵を寄せ合ってお山守りをし、
   お山の木々や実りを大切に使って参りたいと思っております。

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   行き帰りの国道沿いからの富士山も出会いがうれしい季節になりました。
   今年は、「富岳群青」というお宿がオープンし、
   私も依頼されては、自然の手入れなどのお手伝いによく参ります。

   両裾を海に浮かべた富士山との出会いも多くなりました。

   国道沿いから富士山を写していた時よりも贅沢な写真が撮れるようにもなりましたが、
   十二月に入っても例年になく雪が少ない富士山でした。
   これから五月連休くらいまでは、富士山も夕陽も素晴らしい季節を迎えるのだと思います。

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   本年が幸多い一年となりますことを
   新年を迎えた西伊豆の地より心から祈りながら
   「無雙庵枇杷」お山番の日々を松の内があける七日あたりから始めようと思っております。
















































































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   暑い夏の間、朝5時くらいから2~3時間か、夕方5時くらいから2時間ほどの出役でした。
   若い職人さんたちにも助けを借りながら、汗いっぱいになってお山を守りました。

   台風の被害で、お山の木々も何本か痛痛しい姿になってしまいましたが、
   幸いお宿には被害がなくホッとしております。
   今年の荒れ狂ったような風水害に、
   まだまだ苦悩の只中にいる多くの人々の事を考えない日はありませんが、
   その苦悩の先に必ずある喜びを信じて
   一歩づつ前進してくださることを祈るしかない老いと共に歩くこの頃でございます。

   にぎやかだったセミたちの声、海から聞こえてくる歓声や、土肥港や土肥漁港の船の汽笛・・・
   いつのまにか夕暮れが早くなり、草室で秋の虫たちの合唱が聞こえ始め、
   秋の深まりと共に、お山もすっかり涼しくなって、ずいぶんと身体も楽になりました。

   老大木のみかんの木が、根元近くで折れてしまった以外には、お山頂上果樹園に被害はなく
   なんとか無事に、今年も「みかん狩り」の季節を迎える事ができました。
   早生の黄色く色づいたみかんから順に、太陽と潮風を受けて育ったみかんの味を
   西伊豆への旅、無雙庵枇杷お宿でのご滞在と一緒にぜひ思い出になさって下さい。

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   夕焼けも夕陽も出役の日ごとにさまざまな輝きと色で感動させてくれております。

   お客様のお散歩と重なる夕暮れ時も多くなりました。
   やっと迎えた秋の毎日が、ことさらにうれしい今年のお山番の日々を過ごしております。

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   今年の秋も、良寛の詠んだ
  「こと足らぬ 身とは思はじ 柴の戸に 月もありけり 花もありけり」の心境を大切にしながら
   日々にふれあう全ての自然を感謝とともに尊びながら過ごして参りたいと思っております。

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   多くの悲しみが今まだ続く日本ですが、
   幾度の災害にも立ち上がりながら、今年の伊豆半島は明るく降り注ぐ光に包まれて
   美しすぎるほど美しい夏を迎えております。

   どんな時代に生きていようとも、世界が認める日本人の美徳は延々と引き継がれて
   必ずこの美しい国土を復興し守り続けると信じております。

   お宿でも土肥温泉でも、七夕飾りや天王祭が夏を告げておりました。
   お山に、風にのって聞こえていたお囃子の練習の音もやんで、
   時たまの出役にはセミたちの合唱が私をにぎやかに出迎えてくれております。

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   夏を告げる天王祭では、
   今年も、無雙庵枇杷お宿のある「中浜地区」の子供たちも女衆も若者たちも
   山海の神々に笛や太鼓や神輿を捧げて、にぎやかにこの夏の無事を祈っていました。

   土肥温泉にある各地区からの神輿やお囃子も響きあって、毎年七月二週目の土曜日は
   天地に宿る神々も大喜びで一緒に踊り酒をくみかわしているのではないかと思います。

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   いつもお宿とお山のある高台から見晴らしている土肥漁港や土肥海水浴場に
   愛車の軽トラで寄ってみました。

   土肥海水浴場はもうたいへんなにぎわいで、
   たくさんのテントやパラソルが広い芝生や松林に張られて、楽しそうな歓声が響いていました。

   今年も無事に巡りきた夏の日々・・・・・それが決して当たり前ではないことを思いながら
   自然の全てに感謝しながら過ごす今夏のお山番の日々でございます。



  

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   今年も、海を見晴らすお山頂上果樹園が「土肥白びわ」の実で黄金色に輝く季節になりました。

   お山の入り口から少し登った「びわ園」のびわの実が、まだまだみどり色をしているので
   頂上に近づくにつれて熟し始めたびわの実が多くなることがわかります。

   いちばん陽当たりのいい頂上果樹園まで辿り着くと、
   そこはまるでびわの実一色・・・・・果樹園全体が黄金色に輝いているように見えます。

   春四月頃から、竹林のお世話や竹の子の様子をみたり、
   どんどん伸びてくる雑草取りのために、下ばかり見て仕事をしていましたので、
   なんとかお山全体の雑草との格闘も一段落して、竹の子もしずまって竹林も静かで寂しくなり
   ふとびわの木たちを見渡してみると、あっという間の色づきとなっていたのです。

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   それでもまだまだこれから熟していく実も多く、今年は長かった寒さの分だけ
   「びわの実狩り」もこれから長く充分にお楽しみいただけそうでございます。

   お山には土肥温泉固有の品種、円く甘く芳醇な香りの「土肥びわ」と
   少し酸味のある楕円形の「赤びわ」があります。
   良く熟している実から順に
   「無雙庵枇杷」お宿の思い出と共にお楽しみいただけることを願っております。

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   果樹園のみかんは、もう緑色のちいさな実をいっぱいにつけております。
   今年起こったさまざまな喜び悲しみを乗り越えて、伊豆の自然が紡ぐ季節が変わることなく
   「みかん狩り」の季節・秋を爽やかに迎えてくれることを
   心から祈りながらの春お山番の日々でございます。

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   お山に息づくそれぞれの春・・・・・年毎に豊かな緑と実りを守り続けてくれるようにと思いながら
   身体の動きも温かさとともに軽くなったこの頃を元気いっぱい過ごしております。


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   四月に入り、冬の続きのような寒い日が続いておりましたが、
   東北大震災以降の、日本中のあまりに悲しい思いをなぐさめてくれるかのように
   新しい門出を迎える若い生命を励まし祝福するかのように
   今年は四月五日頃からいっせいに桜が咲き始めました。

   ここ何年か入園式や入学式、入社式には
   満開の桜が散ってしまっていたり、つぼみが固かったりという繰り返しでしたが
   今年はほぼいっせいの開花となり、伊豆半島は今、桜色に染められております。

   私はというと・・・・・毎年四月恒例!!になった竹林に出没するイノシシたちの暴れっぷりに
   「うまかったろうなぁ」などと独り言をいいながら、孟宗竹林の階段の修理や
   イノシシたちが掘った竹の子の跡の後始末に追われ始めております。

   大震災以来、春を喜ぶことさえ忘れていたのですが、
   今年は、桜にもイノシシたちにも、「春を尊び春を喜んで下さい」と教えられ、
   自然の全てから手を合わされているように感じながらの日々を過ごしております。

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   これから竹の子もどんどん出てきて、竹林でのお客様の笑顔がうれしい季節がやって参ります。
   竹林の入り口には「土肥しいたけ」もたくさん顔を出しています。

   無雙庵枇杷お宿にお泊りの際には、ぜひお山の竹林にもおいでください。

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   お宿にも厨房にも花やお山の実りをお届けしながら、
   寒さが厳しかった冬、その冬の最中に辛い震災に遭った多くの人々の苦しみ痛みを思う度に
   今年の春をことさらにありがたく愛おしく感じるお山番の日々このごろでございます。

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   毎年四月二週目の日曜日に開催される
   土肥・小下田地区の曹洞宗・最福寺の「最福寺しだれ桜祭り」
   野点や琴の演奏、昔話語りなどをしだれ桜の咲き誇る下、ゆっくりと楽しむ事ができます。

   当日には妻との畑仕事に追われて行くことができませんでしたが
   お山の出役のあった月曜日に立ち寄って参りました。
   毎年、この美しいしだれ桜に出会う度に、心が洗われ清められる思いが致します。

   庵主家の菩提寺でもあるので、おだやかなやさしい笑顔のご住職とのお話も楽しみなのです。

   こうして過ごす春の日を、今年は余計に深い感慨をもって過ごしております。
   

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