■対日関係促進へ政治判断

 【北京=伊藤正】日中間の外交問題に発展した中国製ギョーザ中毒事件は、中国側の容疑者拘束で解決の見通しになった。中国側が、この時期に容疑者拘束を発表したのは、日本国内で中国食品への不信ばかりか、反中感情をも招いた問題に決着をつけ、日中関係を促進する適切なタイミングとの政治判断があった、と日中関係筋はみている。

 ◆感情的対立が激化

 この問題は、2年余前に日本側で被害が相次いだ後、毒物のメタミドホスの混入で日中の捜査当局の主張が対立したことから複雑化した。双方とも混入は相手国内としたため、それぞれの国内世論が相手側を非難、感情的対立が激化した。

 中国側は「科学的検査の結果」として中国国内での混入の可能性を否定したが、この背景には、問題の天洋食品社が河北省の優良国有企業であり、同省指導部の庇護(ひご)下にあったことが挙げられる。

 地元公安当局はむろん、中央が派遣した公安省の捜査班も地元の利益擁護に押され、十分な捜査ができなかった。

 中国人容疑者拘束について、ネット掲示板には「日本側の執拗(しつよう)な追及が真実を暴きだした」との書き込みがあったが、事件発生以来、日本側があらゆる機会に事件解明を要求し続けた結果、中国政府は公安省の特別チームを結成、真相究明に動いた。

 中国側捜査関係者によると、2008年1月の事件発生から半年後には、天洋食品内部の犯行と断定、容疑者も数人に絞り込まれたという。中国側の発表では、容疑者を特定、拘束した時期を明らかにしていないが、今年初めに特定、最近拘束していたといわれる。

 しかし、中国公安当局の一時の主張を覆す容疑者公表には慎重論が強く、日本側には「迷宮入り」の観測もあった。中国側が公表に踏み切ったのは、問題の引き延ばしは、対日外交上マイナスであり、「食の安全」確保への姿勢を内外に示す上でも必要と判断したとみられる。

 食の安全は、中国でも深刻な社会問題であり、当局とメーカーの癒着が有害食品横行の一因に挙げられている。今回の事件は、待遇に不満を持った臨時従業員による刑事事件で異質だが、地方当局と企業の不透明な関係は、普遍的な現象だ。

 ◆ネットで政府批判

 「容疑者拘束」は、26日深夜に国営新華社通信が報道、中国外務省が日本大使館公使を呼び、通告したのはその直前だった。中国メディアは新華社電を地味に扱い、国内世論の反響を最小限に抑えたい政府の意向を反映していた。

 北京の日中関係筋は、全国人民代表大会が終わり、日中間で首脳訪問などの交流日程がない「静かな環境」が、発表の時期に選ばれたとの見方を示した。

 しかし中国の新しい世論であるインターネットでは、中国政府批判の書き込みが少なくなく、これで一件落着となるかは分からない。

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