2010年09月07日(火) posted by r09

二段ベッド

テーマ:ブログ
貰ったメールをそのまま書きます。

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僕には2つ下の小学4年生の弟がいる。

僕の家には僕と弟の部屋があり、その部屋に待ちに待った二段ベッドが届いた。

二段ベッドはもちろん寝床に使っているのだけど、やっぱりこういうものにも兄弟喧嘩はつきものだ。

どっちが上に寝るか。
どっちが下に寝るか。

正直、二段ベッドが家に届いたときは僕も弟も興奮したし、どっちがどっちに寝るかという話し合いもした。

けど、話し合いの結果もむなしく、結局最後は喧嘩になるんだ。
そのたび父さんに、

『喧嘩するな! 喧嘩すると二段ベッドお父さんが使っちゃうぞ!』

なんて怒鳴られていた。

だけど、どっちがどっちに寝るかはやっぱり重要で、そのあとも話し合いは夜まで続いた。

最終的に弟の『上に寝たい』という意見を兄の権力でおさえて、僕が上で寝ることになった。

その夜、夜通し弟の泣き声が下から聞こえ、なかなか眠りにつくことができなかった。

次の日の夜もまた次の日の夜も、弟は寝る時間になると決まって急に泣きはじめた。

僕はとうとう我慢ができなくなり、

『いくら泣いても譲ってやんないぞ!』

と弟に怒鳴りちらした。

すると…ついに弟が口を聞いてくれなくなった。



ある日。
急な電話で、弟がトラックに跳ねられて死亡したことが告げられる。

遺体の前で泣きくずれる両親の横で、僕はどうしていいかわからずただ立ちすくんでいた。


その夜。
今日はいつも一緒にいた弟がいない。いつも泣いていた弟がいない。

今思えば…なぜ二段ベッドの上ぐらい譲ってやれなかったのだろう。

ずっと一緒だと思ってた。
僕が成人して家を出るまで、ずっと一緒にいるものだと思っていた。

けど一瞬にして弟はいなくなった。
悔やんでも悔やみきれない。

僕はせめてもの気づかいとして、今日は下で寝ることにした。


チッ…チッ…チッ…

眠れないまま時間だけが過ぎていく。

僕の頭の中は弟のことでいっぱいだった。
弟はもう…帰ってこないのだろうか。

そのとき。

揺れと共にギシギシとベッドが歪む音が響いた。

上に…誰かいる。

そういえば、この時間は弟がいつも泣きはじめる時間だ。

この時間に上にいるとしたら…それはもう弟しかいない。
それがたとえ幽霊だとしても。


思えば、弟はいつも僕の後ろをついてきた。
お使いを頼まれたときだって、公園に行くときだって、同級生と遊びに行くときでさえついてきた。
そんな弟だ。
僕がベッドを譲ってくれなかったのがよほど悲しかったんだろう。
そうだよな。
よりによってあんなに怒鳴りつけることはなかったよな。

僕は兄として本当に情けない。
弟に申し訳がない。

だから幽霊でもいい。
1つだけ言わせてくれ。

ごめん、って。


僕はベッドから身を乗り出して、上のベッドを覗いた。





お父さんだった。

コメント

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1 ■切ないですね

読ませていただきながら、涙がこみ上げてきました。とても切ないお話でした。

2 ■私も上の段に寝ています

二段ベッドに寝ています。
しかも上の段。
下の子どもはまだ小さいのでお母さんとベッド横に寝ています。上の子どもも一緒に寝たいのですが、狭いので二段ベッドの下に寝て、、、消去法で私が上の段です。まさかこの歳で二段ベッドに寝ることになろうとは思いもしませんでした。でも殿上人。ああ無情。

3 ■Re:切ないですね

>manaさん

そうですね。

それでいて、最後にオチがある話でした。

4 ■Re:私も上の段に寝ています

>久間康弘(くまやすひろ)さん

なんと、二段ベッドで寝てらっしゃるのですね!

思わず笑ってしまいました。
失礼しました。

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