「出社に及ばず」「海外出張禁止」…。米国などで新型インフルエンザが猛威をふるい始めた昨年5月、国内企業などは感染防止策として、海外からの帰国社員の自宅待機など、次々と措置を打ち出した。

 報道機関も人ごとではなかった。弊社も当時、海外渡航者に対しては帰国後6日間の自宅待機、国内在住者は、家族が発症すれば本人が感染していなくても自宅待機が命じられた。

 一方、感染地域に出向いての取材は不可欠。記者たちはマスク着用を徹底した。神戸市内の高校で集団感染が確認された際には、取材拠点の神戸総局にマスク数百枚が急遽(きゆうきよ)配られた。

 ここで、実際に感染した大阪市内の男性会社員(42)の例を紹介したい。発熱やせきなどの症状が出たのは昨年12月。すでに新型インフルエンザが“一般化”しつつあったが、男性の職場ではまだ本人感染の例がなく、「職場の誰かにうつしたかもしれない。でも抱えている仕事もあるし…」とあれこれ悩みながら、意を決して近くの医院へ向かったという。

 待合室で約1時間。診察室に入ると、おもむろに鼻に綿棒のようなものを突っ込まれ、中でグリグリ。「A型ですね」。医師はあっけなく宣告した。

 「色がはっきり変わってるでしょ」。採取した粘液をつけた試薬を医師から見せられた男性。「変わってますかね」と聞き返すと、「変わってますよ。私は何例も見てるんだから」。医師は当然といった感じで説明したという。

 会社を約1週間休んだが、家族も感染を警戒して近づかず「静養という名の“家庭内別居”」だったそうだ。仕事に無事復帰できたものの、男性は「自分の体調より、まず職場や周囲に対する不安があった」と振り返り、「職場によっては『感染差別』を恐れた人も多いのでは」と話す。

 今後も新しい感染症が流行する可能性は否定できない。その際、ウイルスに強い毒性があるのかどうかをいち早く突き止めることこそ、多くの人々を何より安心させる手だてなのかもしれない。(秋)

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