政府は10日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題を巡り、首相官邸で鳩山由紀夫首相と関係4閣僚による会議を開き、米軍キャンプ・シュワブ沿岸部か沖合(同県名護市辺野古)にくい打ち桟橋(QIP)方式で滑走路を建設し、鹿児島県・徳之島に海兵隊部隊の一部か訓練を移転することを軸とした政府案の骨格を決めた。12日にワシントンで開く実務者協議で米側に提案し、理解を取り付けた上で、政府案を最終決定する。【西田進一郎、横田愛】

 政府案の骨格は沖縄の負担軽減策として米軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)の戦闘機訓練を全国の米軍や自衛隊基地に移設し、ローテーション方式で訓練を実施することなどを盛り込んだ。久米島、鳥島の射爆撃場や「ホテル・ホテル訓練区域」の一部返還なども含め「パッケージでの負担軽減」に向けた政権の取り組みをアピールしたい考えだ。

 鳩山首相は10日夜、普天間移設問題の月末決着について「沖縄と移設先にかかわりのある皆さん、米国、連立与党が『分かった。この方向でいこうじゃないか』ということでまとまる、その合意が得られるような状況を作る」と強調。米国や地元自治体、連立与党の合意を得る意向を重ねて示した。

 しかし、地元自治体の反対は強く、月末決着の見通しは立っていない。関係閣僚会議では決着の仕方についても話し合われ、平野博文官房長官は10日の記者会見で「技術面など細部まで全部詰めてということは大変厳しい。どこまでをもって決着させるかは、5月末までに出したい」と述べ、月内の完全合意は困難との見通しを示した。決着の定義をあいまいにすることで乗り切ろうとする「帳尻合わせ」が目立つ。

 政府は12日の日米実務者協議を踏まえ、与党党首級による基本政策閣僚委員会を開き政府案を決定したうえで首相が沖縄を再訪問し、直接理解を求める方針だ。政府関係者は「沖縄全体で騒音が減ったことを示せればOKだ」と語るが、「県外移設」を求める沖縄側の反発は必至。徳之島の3町を含め、5月末までに地元合意を得るのは不可能な情勢だ。

 一方、社民党は10日夜、党本部で幹部らが会合を開き「5月末決着」を先送りし、米領グアムや米自治領北マリアナ連邦テニアンへの移設を政府に働きかける方針を確認した。

 ◇沖縄は効果に疑問

 政府は沖縄に対する総合的な負担軽減策として、米軍嘉手納基地の戦闘機訓練などを全国の自衛隊基地に移転する案を検討している。ただ訓練移転は06年の日米合意に基づいてすでに実施中。さらに移転先を増やすことには運用上問題がある上、沖縄側にとっても軽減効果は疑問だ。

 嘉手納基地にはF15戦闘機約60機、KC135空中給油機約15機を含む常駐機だけでなく、本土の米軍基地などから飛来する「外来機」が訓練を繰り返すため、周辺住民は騒音に悩み、沖縄県が嘉手納基地の訓練移転促進を強く求めてきた。

 06年に日米が合意した「再編実施のための日米ロードマップ」では嘉手納、三沢、岩国の3米軍基地から本土の航空自衛隊6基地に訓練移転し、日米共同で実施と明記。計21回(うち嘉手納基地10回)の訓練移転が実施された。

 訓練移転の場合、施設は期間中に米軍が使用する隊舎の整備や滑走路改修などで済む。ただ、米軍と自衛隊との訓練日程を合わせるのが難しい上、共同訓練が増えれば空自だけの訓練回数が減る可能性が高く、運用上の検討が必要という。

 負担軽減効果も疑問だ。嘉手納町の測定では、08年度の嘉手納基地周辺の騒音発生回数は3万9357回と、07年度の3万2549回を上回っている。

 一方、沖縄側は4日に鳩山首相が訪問した際、仲井真弘多知事が「米軍基地関係の課題」として▽事件事故の軽減▽日米地位協定への環境関係条項の新設▽米軍基地の整理縮小▽久米島、鳥島の射爆撃場やホテル・ホテル訓練区域の一部返還▽与那国島の防空識別圏の解消--を列挙。首相は「県民の負担をパッケージの中でできる限り軽減する」と応じており、こうした内容も検討対象になっている。【仙石恭】

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