国内にいる「無国籍者」のうち、在留資格のない人が少なくとも約280人(08年現在)いることが法務省入国管理局のまとめで分かった。国籍がないと国外退去にもできないことが多いため、資格がないまま著しく制約の多い生活を強いられ、無期限で施設に収容されるケースも起きている。国がこうした実態調査をしたことはなく、専門家は「在留資格のない無国籍者」が国内にさらに大勢いるとみて、調査と救済を求めている。

 入管などによると、日本国籍を持たない人が国内に滞在するには▽永住▽留学▽技術--などの在留資格が必要。資格がないと警察などに身柄拘束され、母国に退去させられる可能性がある。

 だが在留資格のない無国籍者の場合、出身国に受け入れを拒否されることが多い。また無国籍者の出国を許さない国から不法入国しているケースが多いため、資格申請しても得るのは難しい。このため出入国管理法や国民健康保険法などにより(1)出国も国内での自由な移動もできない(2)合法的に働けない(3)税金は払いながら健康保険などの社会保障を受けられない--といった生活を強いられる。

 さらに施設に収容された場合でも、国籍を持つ不法滞在者だと1カ月以内に母国へ送還されるケースが多いのに対し、無国籍者は「退去させるのは難しいが可能性がゼロではない」ため、数カ月から数年にわたって収容されることがある。

 法務省が市町村報告を基にまとめる国籍別在留資格別の外国人登録者数では、在留資格のない人は「その他」に集計され、詳しい調査はされていない。だが入管によると、集計の大部分は資格のない人とみられ、08年の無国籍者1525人のうち「その他」284人の大部分も資格のない無国籍者だという。ただし資格がないと外国人登録しない人も多く、実際の人数は同省も推計できない。

 無国籍者を支援する「無国籍ネットワーク」代表の陳天璽・国立民族学博物館准教授は「実際は(入管集計の)数倍から数十倍の在留資格を持たない無国籍者がいるとみられ、国は調査すべきだ。また退去させられない善良な人には資格を与え、自立させた方が社会全体のためになる」と指摘している。【山口知】

 ◇ことば 無国籍者

 (1)在住する国が承認しない国籍(2)親が難民で、避難先で子供が国籍を取得できない(3)政府による事務手続きの誤り--などの理由で生まれつき国籍がないか国籍を失った人。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は世界に約1200万人いると推定している。

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