物語の森

「茜いろの森」(http://quianred.blog99.fc2.com/)に連載中の小説を分割してアップしています。


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「人口過密」


 死ねばすべてが無に帰すだけ、私はそう思っていた。生きている間に好きなことをしなくちゃ、楽しく生きなくちゃ、が私の主義だった。
 なのに……?


 どうやら私は死んだらしい。死んだ私に誰が教えてくれたわけでもないものの、私は知っていた。天国はある、地獄もある。すると私は……?


 生まれてはじめて、と言うと語弊があるだろうか。死んではじめて、「生まれてはじめて」だなんて。しかし、私は生まれてはじめて恐怖を感じた。ろくでもない生き方をしていた私が死後に行くところは、決まり切っているではないか。


「おまえは……」
 ふらーっと漂っていった先にいたのは、閻魔大王とでもいう存在なのだろうか。それにしては疲れた顔をした人物のようなものは、私に言った。


「天国に行け」
「は? 私がですか」
「おまえは天国、決定だ」


「なぜですか? 私が天国だったら、地獄に行く人間ってのはどのようなことをしたんですか」
「おまえは知らんだろうがな」
 やけに人間的な表情をして、その人物……人物ということにしておこう……は言った。


「おまえが死んで数時間後に、地球は滅亡したんだよ」
「はあ? そうなのですか」
「地球が滅亡すると、地球上の人間が全部死ぬ」


「当然でしょうね」

「そうして地球上の人間は、死後の世界に送り込まれてきた。その者たちの行く先を分ければ、天国か地獄だ。通常ならば地獄に行かせるべき、おまえのような人間が多すぎるんだよ。よって、篩い分けておるんだ。おまえはかろうじて天国」
「は、はあ……」


 つまり、ごく普通に篩い分ければ地獄がパンクすると? 人間ってそんなに? 喜んでいいのか悲しんでいいのか、死んでしまっている私が言うには変だが、「生まれてはじめて」私はそんな感慨を抱いた。


END



 

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誕生日なんてものが嬉しくなくなったのはかなり前からですが、おめでとーと言っていただくと嬉しいです。


昨日、○十○歳になった私は、ネット上でも何人もの方からお祝いメッセージをいただきました。


どこやらではなぜか、ケータイからしか見られないというバースディメッセージになっていまして、そういう設定をしていない私には見られなかったのですが。


ネット活動をしていなかったとしたら、友達にはもう忘れられているでしょうし(私も友達の誕生日ってほとんど忘れてます、記念日とかをあまり気にしないタチですので、どうもすみません)、お祝いなんてまったく言ってもらえなかったかも。


家族だって、そんなもん、めでたくないやろ、の態度ですしね。いや、たしかにシラー


そんな私にメッセージを下さった、あの方もこの方もありがとうございました。


ただいまは「茜いろの森」のほうで毎日更新のこころみをやっています。


http://quianred.blog99.fc2.com/


ココログもありますので、アメブロには手が回りませんで放置しっぱなしで、たまには日記みたいなものを書いてみようかと書いています。


私のメインブログは小説ですので、そちらもよろしくお願いします。「茜いろの森」でございます。


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 この着メロは彼からのメール。私の好きなメロディを聴いてから、ケータイを開いた。


「明日は会えなくてごめんね。
 プレゼントを贈るから受け取って」


 会えないのはわかってる。彼に会うのが遅すぎた。ただそれだけでこの「恋」は「愛」ではなく、別の呼び方をされるようになったのだから。


 優しくてずるいひとからのメールを読み終えてほっと吐息をつき、プレゼントを待っていた。


「……なんなの、これは?」

 メールでの約束通りに翌日、彼からの小包みが届いた。
 
 包みを開けると、丁寧に薄紙にくるまれた重くて小さなもの。新品ではないウィスキーグラスだった。

「……これ、私が彼に?」


 つきあいはじめて間もないころに、彼にプレゼントしたグラスだ。バーでもらったとでも言ったのか、彼は家庭でも愛用していると笑っていた。


「どうして?」

 どういう意味? 私がプレゼントしたものを返してくるって?
 
「え?」

 グラスが包まれていた薄い紙に、文字が綴られているのが見えた。


「メリークリスマス。
 あなたにこれを返すから、私に夫を返して」


 そんな文章が読める。
 眩暈が起きそうな気持ちと闘ってよく考えてみると。


 つまりは、彼の携帯電話を使って、彼の奥さんが私にメールをしたと? 皮肉なクリスマスプレゼントに、私は肩を落とすしかなかった。


おしまい




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