厚生労働省の「新型インフルエンザ対策総括会議」(座長=金澤一郎・日本学術会議会長)は5月28日の会合で、同会議としての取りまとめ作業を開始した。この中で厚労省側が、総論と6つの各論から成る論点案を提示。これに対し出席者からは、スポークスマンの重要性を強調する意見や、国と地域の役割分担を明確にすべきとの指摘があった。

 厚労省側が総論として提示した論点案は、▽政府の意思決定プロセスなどを明確化するとともに、現場の実情を的確に把握し、迅速かつ合理的な意思決定のできるシステムにすべきではないか▽感染症対策にかかわる危機管理を専門に担う組織や人員体制の大幅な強化が必要ではないか―など4点。

 これに対し、神戸大大学院医学研究科の岩田健太郎教授は、国立感染症研究所の体制強化、厚労省との関係の明確化について明記するよう提言。医療ジャーナリストの伊藤隼也氏は、「現在の(厚労省)健康局長の立場では、責任の範囲が広過ぎる。また、すべての責任が(厚労)大臣にあるような報道がなされることもある」とした上で、「感染研との関係があるとは思うが、医師、感染症の専門家として正しい意見を言えるCDC(米国疾病予防管理センター)長官のような立場の人をつくってほしい」と述べ、専門知識を持ったスポークスマンを置くよう求めた。

 また、自治医科大の尾身茂教授は、これまでの総括会議で自治体関係者などが地域への権限移譲を求めていたことを踏まえ、国と地域の役割分担について今後議論することを明記するよう提案した。

 一方、感染研感染症情報センターの岡部信彦センター長は、「論点案を拝見すると、初めて出た問題ではなく、以前からいろんな委員会で提言されていたことだ」と指摘。「これまでいろいろな制約があって行われてこなかったことが、新型インフルエンザで動いたことは確かだが、『新型インフルエンザ』というキーワードがなくなると、また行われなくなるのではないか」との懸念を示した。

■臨床に直結する情報が重要
 各論では、「医療体制」について防衛医科大学校の川名明彦教授が「昨年9月ごろまで、現場の医師に(新型インフルエンザの)臨床像が分からない状況が続いていた」とした上で、「胸部CTスキャンの画像やタミフル、リレンザの効果など、臨床に直結するような情報が現場では非常に重要だった」と振り返った。感染研感染症情報センターの谷口清州第一室長は、学校の臨時休業などの「公衆衛生対策」について、「地方によっては、本人あるいは家族が感染した際には出席停止にしたため、学校閉鎖や学級閉鎖の必要がなかった」と説明し、学校での感染対策を臨時休業に限定すべきではないとの考えを示した。


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