2001年宇宙の旅(’68)
監督 スタンリー・キューブリック
キューブリック監督いわく
「 『2001年宇宙の旅』 の哲学的・寓話的意味は観客が自由に推察していい」
キューブリックと共同脚本を担当した、アーサー・C・クラークは
「 『2001年宇宙の旅』 を一度観ただけで理解したとしたら、我々の意図は失敗したことになる」
私の大好きな映画のひとつで、何度となく観ていますが
実は今まで、わかっていたようで、わかったフリをしていただけなのかもしれない。
謎の物体 「モノリス」 の力で、猿人は骨を武器としてほかの猿人と戦うことを覚える。
そして、猿人が空高く骨を放り投げる。
BGMは 「ツァラトゥストラはかく語りき」♪
青空にゆっくり浮かぶ骨が写された直後
地球を回る人工衛星につながる。
400万年を一瞬で飛び越えた、映画史上最大のジャンプ・カット
優雅に 「美しく青きドナウ」♪ が流れ出す。
「最初の道具だった骨が宇宙船にまで進化する」
と、人類の輝かしい進歩を描いているように見えるが
実は、この人工衛星は、“核ミサイル衛星”
「武器を使うことで進化した人類が、ついに究極の武器、核爆弾まで生み出してしまった」
という意味合いなんだそう。
これは、当初あったナレーションや解説をキューブリックが削除してしまったため
これ程までに難解な映画になり、しかし、この難解さにより神のように崇拝される映画となった。
キューブリック監督は
「もしレオナルド・ダ・ヴィンチが 『モナリザ』 の絵に、彼女が微笑んでいる理由を書き添えていたら
我々は、あの作品をこんなに褒め称えていただろうか?」
異論はあると思いますが、無理に “核ミサイル衛星” として納得する必要はないのでは・・・・
見たまんま “人類の輝かしい進歩” と捉えても良し
「美しく青きドナウ」♪ を、皮肉と捉えず、曲のイメージのまま感じとっても良し
キューブリックの言葉のとおり、自由に推察しましょう。
キューブリック作品の美術センス
もう、大好きです。
このピンクのチェア、「オリヴィエ・ムルグ」 の 「ジン」 シリーズ
1名がけで 40万!!
木星へ向けて航海する、ディスカバリー号を制御するスーパー・コンピュータHAL9000
通称 「ハル」
まるで感情があるかのような受け答えをする。
人間は彼に対し 「誇りすら感じる」
その「ハル」が船長に
「個人的な質問をしてもいいですか?」
「今回の任務に疑問を感じている」
「どうも腑に落ちない・・・・」
コンピュータが進歩して人の知性に近づけば、痛みや喜びを感じる可能性がある。
そうすれば、人間のように神経症にかかるかもしれない。
そして、「ハル」は、狂う。
ラスト20分間の世界観は、キューブリックにしか描けないと思います。
木星の衛星が垂直に並び、そこに水平の「モノリス」が重なって十字を形作る。
アメリカで、これを劇場で観た神学生が
「十字架だ! これは神なんだ!」
と叫んだそう。
それほどまでに、神々しく、美しい映像
ラストのラストは、泣いてしまいそうになった。
何度も観ているのに。
スタンリー・キューブリック監督作品
※参考 Wikipedia
未来への旅の前に、キューブリックは人類創世記から(思いがけないワン・ショットと共に)、数千年後の人類に開拓された宇宙へ飛んだ。
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