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屋の掃除が苦手だ、という人は割合多くいる。僕の身近なところのある人も、仕事とあらば自分の健康すらも厭わずに掃除をするが、自室は足の踏み場もない、といった具合である。自分も多分に漏れずそうで、怠惰によって長年肥やした重い腰を上げるには何かきっかけが必要だ。
  例えるなら、意中の異性が来訪する、羽虫が湧いている、就寝中に喘息が出る、などといった、それこそ掃除をしないと如何ともし難いという状況にこそ、そのトリガーがある。

  今回は自分にとっての大きなきっかけが――上に挙げた例からは漏れるものの――あったので、久方ぶりに部屋の掃除をした。とは言ってもごみは定期的に出しているため、うるさく言うほど汚くはなく、そうなると、主な作業は犬の毛や埃の掃除であった。
  掃除機を振るう度に埃が舞う。はたとデスクトップパソコンに目をやると、放熱フィン、及びファンの周辺を主にして、まるでパンケーキのように埃が溜まっているのをしっかと確認した。パソコン内部はここ数年と放置している事も考え、どうせなら解体して事を運びたかったが、しかし部屋全体に埃が舞っている以上、解体するわけにもいかず、取るものも取りあえずに、部屋の掃除を続けた。

  布団をベランダに干し、部屋の掃除も一息ついた頃、僕はパソコンを解体するに当たってのドライバーを探すのに、矢庭に箪笥の引き出しをまさぐってみた。すると、その奥の方に昔に某人から頂いた手紙が見つかった。クラフト紙の手紙は、スッカリ白けていた。

  ただのクラフト紙に、よくあるボールペンで書かれたその内容は、特に大切な事であるともなく、ましてや取り留めすらもない、本当に「ただの手紙」だ。それだのに自然と鼻の奥がつん・・)としたのは、これが「ただの手紙」だったからだろう。
  電子メールが持ち得ない暖かさ、とでも言うのだろうか、月並みな表現だが、他の言い方を考えるとどうも有機的であるという本質から間遠になる。その暖かさは微かな温度だが、真っ暗になった記憶の谷を照らすには十分な灯りだった。

  その内容に目を通すまで、いつ頂いたのか判然としなかったが、優しく照らされた記憶の底をまんじりと見下ろすと、カレイドスコープよろしく当時の風景が目の裏に輝くのを、確かに感じた。素敵だ、きれいだ、などと考え、今度はまるで宝物を扱うように引き出しの中へ畳むと、散らかりに散らかった引き出しの中が少し明るくなった気がし、その乱雑な様子が露呈する。宝物の居場所にしてはおよそ似つかわしくない。
  まだ掃除は終わっていない。僕は少し相好を崩しながらため息を)いた。
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まには現代口語文調で文章を書きたい。つーかあのカテゴリ――どーでもいいことのなんとやら――を文語調で書かにゃイカンっつーこともないのだが、何故かそーなるからフシギなものだ。コラム(なのか?)はこーでなくちゃっていう勝手な紋切り型があるんだろうね、分からんけど。

 枕はこのへんに、今夜は僕のスマホに保存されたメモから、「なんだこりゃ」って思うものを紹介しようと思う。多分そん時は覚えとかなきゃってメモした文言なんだろうけど、後になって見てみるとワケ分からんってなるアレだ。あなたにも覚えがあるっしょ? ないか? そーか。マァ付き合ってくれたまへよ、HAHAHA。



【玉子1 トマト中1盛 みかん1盛 ふゆがき1盛】


 多分仕事の何かだろう。消せよ。守秘義務の微塵も感じられない。
 ちなみに『玉子』と『卵』の違い知ってるかい? 調理前か調理後かなんだぜ、え、知ってた? あ、そう。




【3PBC スリーピースバンドコンプレックス】


 そんなん持ってんのか俺。マァ友達や実弟のバンドが最近キテて、どっちも3ピースバンドだからなんだろうかね、こんなとこで弱音を吐露してどーする。




【自滅民族ダライアス】


 いくらSTGが苦手だっつってもなぁ、これを何かに使えると思った当時の自分を疑うよね。
 しかしアレだね、ゼビウス、グラディウス、アーガス、セクロス、など、なんでSTGのタイトルは最期が「ス」で終わるのが多いんだろうか。ギリシャ人っぽくてっカッコイイからかな? 中二病のパイオニアス。




【xvideoにて hitachi=電マ】


 これには驚いた。マジデカルチャー。ベトナムでは原付のことを「ホンダ」と呼ぶらしいが、諸外国から見れば電マは「ヒタチ」らしいのだ。気になる方は検索してみるといい。エロ注意。
 



【君が吐いてるバッシュにやられた】


 吐くな。せめて誤変換を直せ。
 相当可愛いか、相当攻撃力の高いバッシュを履いていたんだろうね。世界は核の炎に包まれたのかな?    踏まれたのかな? マゾかな?




【泣いちゃうバラード】


 これは記憶に新しい。自分が作った曲のタイトル候補だ。
 しかしだな、ライブで「聴いてください、泣いちゃうバラード」ってMCして、曲始めて、誰も泣いちゃわなかったらヒサンだよね、って思う。そん時に本当に泣いちゃうのは僕だ。




【とにかく明るいデブ】


 メモした理由がマジで分からない。自己啓発だろうか、こんな啓発の仕方初めて見たわ。つーかこんな言葉に啓発されてたまるか。たまんのは屈辱感だけだわ。




【能舞台→ニュー舞台】


 凝り固まった伝統芸能に一石投じたいとか考えてたのかな、ガサラキみたいだな。
 今NHKの教育テレビで、野村萬斎がヒムロックみたいに風の又三郎を歌ってるやつあるんだけど、多分あれはニュー舞台。先を越された。パクられた。起訴しよう。




【ママゴリラ】


 別にゴリラの家族構成など知りたくもないんだけど。
 もし僕のママがゴリラなら僕はどーなってたんだろうか。ウンコ投げてたかもしれない。
 「ウッホウッホウンコ爆弾投擲ウンバボ」これは友達できないな。ママゴリラにすら呆れられるレベルだ。
 電気グルーヴにママケーキという迷曲があったが、多分無関係。




【キレートレモンは美味しい】


 だってさ。あなたも飲んでみよう。そんでキレーになろう。妊婦さんにもおすすめ。
    今ふと思い出したんだけど、誰かが「生理痛つらいわー」ってボヤいてた時に、僕が「うっさい生理止めんぞ」って言った事があった。返し天才かよって自画自賛した。うん、どーでもいいよね。ごめんね。




【プリズム・リズム・ポリリズム~ (しゃらんら~)】


 最強に頭が悪い。むしろ何に使えると思ったのか。しゃらんら~って何だよ、氷に砂糖かけて食う女子中学生か、「甘い上に冷たいとかマジ神の食べ物~」ってかバカか。




 ――如何だったろうか。僕は頻繁にメモを取る癖があるため、こーゆーことがまま起こる。
 いくらメモ取ってても、後で「なんだこりゃ」ってなったら意味ないよね。しゃらんら~。
 でも、だ。メモに残ってるってことは、こいつらは僕の中に確かに存在するものなのだ、しゃらんら~。
 そう、僕の中の何処かにしゃらんら~。
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ミテイション・パンプキン。これは父が高校時代に実在した、更に言うとクラスメイトであった女性のあだ名である。彼女本人に伝わっていたのかは判然としないが――伝わっていたとしたら彼女の心はサルガッソー海より広大で、且つ清澄な事だろう――、僕は今まで生きてきた中で、これほどインパクトのあるあだ名を知らない。

  父は友人が多かったと聞く。その中の数人は未だ、直ぐに連絡を取れるくらいの仲の良さで――残念ながらイミテイション・パンプキン女史は高校卒業を折りに会わなくなったそうだが――、父と僕との共通の友人とも言える人間も少なくない。
 僕が幼かった折には毎晩のように父の友人らが自宅へ遊びに来ており、ドンチャン騒ぎみたような夜の中で僕は育った。だからか、僕も友人を自宅へ招く事に抵抗はない。

  僕の自宅は昔から、人が居つく家と呼ばれていた。期間の長短こそあるものの、常に家族以外の誰かが入れ替わり立ち替わり住んでいる。大まかに挙げるならば親戚、父の友人、祖母、バンドメンバー、情人、先輩。果ては友人の情人というのもいた。他のご家庭ではなかなか考えられない事かも知れないが、我が家ではそれが当たり前で、家族も快く受け入れてくれた。本当に、筆舌に尽くしがたい程に感謝している。

  しかし、流石にこの年齢になると、僕の友人らは仕事に就き、あまつさえ家庭を持つ者もいたりなんかして、連絡こそ取れるものの、誰も住みついていないのが現状である。至極当たり前の事なのだが、その当たり前を経験せずにここまで来たものだから、なかなかどうしてこれが寂しいのだ。
  あれだけ煩わしいと思っていた人の声が、今度は恋しくなってしまった。なるほど人間は失わないとその価値に気付けない、遅きに失する間抜けな生き物だ。ルノワールの「うちわを持つ少女」から帽子を剥ぎ取ったような、ささやかな寂寥感が僕を苛む。

  そして僕は静かな部屋にラジオを流すことを覚えた。部屋と限らず、一人の時は車内でもFMラジオを聞いている。何故、と問われるならば、世の中の様々な情報を得る為、と言えば聞こえがいいが、本当は寂しさを紛らわせる為なのだと答えるところである。

  お気に入りの番組では、聞き慣れたDJの声と、聞き慣れたペンネームが耳に流れる。どこかに同じ番組を聞いている仲間がいて、何か僕と同じように物思いに耽っている人がいる。その紛れもない事実が僕を堪らなく安心させる。それを汐にして、ルノワールの少女に、小さな帽子がひらりと乗る。彼女は寂しく俯きながらも、小さく破顔するのを、僕は確かに認めた。ラジオから流れるペンネームは、おしなべて僕の友人たちの名なのだ。
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