2005-04-23 23:41:21

静かな村の人は難聴の危険

テーマ:心理学 (認知と音)
firecracker人は静か過ぎる街に育つと、難聴になる可能性があるらしい。

以前から逆のことはデータで裏付けられてきていた。つまり大き過ぎる音を聞き続けると難聴になっていく。これは以前の記事にも書いた通り。しかし今回の研究者によると、うるさい騒音に曝される職業の人と同様に、閑静な村で育った人も耳の聞こえが悪かったという。

この研究者は世界中の人を一万人調べた。過去の他の研究者が示す通り、騒音に曝される人は聴き取る能力が衰えていた。工事現場の人がとても悪く、クラブ通い(夜に大音量の音で踊る方のクラブ)する人も若干悪かった。意外なことに、工事現場の人と同等に聴き取る能力が悪かったのが静かな村の人々だった。

理由としてこの研究者が挙げているのは、静かな環境で育つと聴力を鍛える機会がなくなるからだろう、としている。つまり工事などの騒音はうるさ過ぎるけれども、その騒音以下のある程度の大きな音を定期的に聞くことにより聴き取り能力が上がるのだろう、としている。その例として、オーケストラ団員は音の聞き取り能力が非常に良かったと言う。これは許容範囲を超えない程度の大きな音を聞くことにより耳が鍛えられているのだろう。最悪の環境は静かな村に住んでいる上に、偶に祭りなどで爆竹などの騒音に曝される村だそうだ。

これは面白いね。使わない機能が衰えるというのは納得できる。それは筋肉にしろ目にしろ同じだろう。で、聴力を鍛えられるのが本当だとしたら、次の問題は臨界期だな。感覚器に関する臨界期は短い。例えば目とかであれば生まれてから数年のうちに見るものによって、目の鍛えられ方が大きく変わってしまう。耳も幼年期の訓練だけが影響するのか、その辺を知りたいな。

元の記事:
Bang goes your hearing, if you don't exercise your ears: New Scientist. 29 May 2004.研究者Gerald Fleischer. University of Giessen, Germany.

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2005-04-11 10:08:30

オーケストラは難聴になるほど大音量ではない

テーマ:心理学 (認知と音)

cymbal 耳の聞こえ具合の衰えの原因は大きく分けて二つある:脳の劣化と耳の物理的な劣化だ。後者の耳の劣化というのは大きな音に曝されるとだんだんと聴覚器官が傷んでいき聞こえにくくなる。逆に言えば大きな音を聞かないようにすれば耳の劣化だけは確実に防げる。オーケストラの人たちにとっては耳の劣化が怖いらしい。そりゃそうだよな、あれだけの音量の震源に常時いるんだもんな。さらに音楽好きなら耳は大事だろう。で、トロント大学に研究を依頼したとの事。

この研究によるとオーケストラの人たちが曝される音量レベルは85db(デシベル)だったので、難聴になる心配はほとんど無いだろう、とのこと。85dbと言うのはそれほどでかい音ではない。ISO(国際標準化機構)の基準によると、40年間85dbの音を聞く生活を送っても10%しか難聴にならないと言う。

でもこの研究結果で音楽家の人たちは安心なのか?研究の第一段階としてはこれで良いと思うけど、もっとちゃんと調べてあげた方が良いんじゃないの?個人的な体験としてはオーケストラとかを間近で30分とか聴いていいると耳の状態が明らかに変わってくると感じるよ。直後に人と会話しても遠くでぼおぉと鳴るような感じに聞こえる。だいたいこんな国の規格に合ってるから大丈夫ですよ、ってのも嫌だよな。国は金を生む企業の味方でデータなんてさんざん書き換えられてる気がするよ。

この研究課題なら2群間のT検査が一番良いだろう。同年齢で、幼児期に音楽の教育を受けている人たちで、唯一違う環境は中年時代にオーケストラをある期間やっていたか、いなかったか。それで難聴度を比べる。そんな研究をする金が無かったのかな。研究者はどこでも貧乏だからな。

過去記事
だいたいこの研究者自身がつい去年には「音楽教師に難聴の危険性」って研究を発表してんだよな。

元のニュース:orchestra pit no danger to hearing

検索キーワード: 心理学 知覚心理学 認知心理学 dB デシベル

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2005-03-08 15:23:39

人口内耳で音が聞けるのは良いことか

テーマ:心理学 (認知と音)
きのう難聴の話を書いて思い出したビデオがある。このビデオは去年僕が見た映像物(映画など)でもっとも印象に残ったもの。深く考えさせられる。ドキュメント物で全て実際の人たちの生活の映像だ。

ビデオは二組の夫婦の話。二組とも自分の子供に聴覚障害があると知るが二組は違った対応をしていく。なんと夫婦Bの方は聴覚障害のある子供に人口内耳の手術を与えないんだ。つまり一生この子供に聴覚障害を持って暮らさせることを決断する。この過程が興味深い。

夫婦Aは聞こえる社会で暮らしている。この夫婦Aは子供に人口内耳の手術を決断する。これにより、この子は手話も学ばないし、普通の学校に行って聞こえる社会で生きていく事が決められる。

逆に夫婦Bは聴覚障害のある娘に手術をしないと決める。外国語と同じで(または臨界期がより早期にあり)この年齢(6歳くらいだったかな)の時に人口内耳の手術をしないということは、例え今後に手術をしても音による会話はもうナチュラルにはならない。この子は一生、手話に頼って生きることになる。

夫婦Bが娘に手話の世界を選んだのには訳がある。両親とも聞こえなく、手話の世界で生きていること。彼らに言わせると、聴覚障害者の世界の文化(deaf culture)は手話でしか築けず、音による会話を学ばせることは娘を手話から遠ざける、と言う。

------------------
耳の聞こえる僕らにとっては子供に音を与えないなんて馬鹿げた決断にみえる。このビデオでは特にどちらが良いとかは語られずに、ひたすら中立に徹しているようだ。そして視聴者に自分で考えるように促しているようだ。これを見て僕が感じた意見は、僕はこの親の判断は親としてとてもよく考えていると思う。

この問題は日本人の英語学習にとても似ていると思ったよ。英語の方が世界では広く使われる言葉なので音の社会と見立ててみる。日本語は一部の地域の言葉なので手話の社会と見立てて見る。英語の方が世界では役に立つだろうけれど、子供に英語の世界で生きろ、なんて親はまず居ない。親が日本語を喋るんだから、子供も日本語の世界で生きるのが普通だと思う。

音を聞ける人には聴覚障害の世界は不便だと思うかもしれない。同じように英語を喋る人にとっては日本語の世界は不便だと感じるかもしれない。だけど日本人は日本に立派な文化があって、英語を知らなくても満足できる世界だと知っている。

この対比から考えると、ある文化の外に住んでいる人間はその文化に口をはさむ隙間が少ししかないことを感じる。耳の聞こえる人が聴覚障害者に人口内耳の手術を強制することはできないと思う。

このビデオは他にも見るべき点が山ほどあるんでお薦めです。去年、図書館で一回見ただけなんでうろ覚えだけど。

ここで映像の一部を見れる(手話は声優さんが音をかぶせてくれている)
http://www.pbs.org/wnet/soundandfury/film/video.html

ビデオ販売:(日本語版があるかは知らない)
タイトル: Sound & Fury

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2005-03-07 23:20:54

音楽教師に難聴の危険性

テーマ:心理学 (認知と音)
耳は大きい音に晒されると確実に劣化していく。逆に言えば、耳栓などをすれば耳の劣化を確実に防ぐこともできる。

この研究者は音楽教師18人を調べたところ、多くが将来難聴になる恐れがあったとして、耳栓を薦めている。

自分の体を消耗する職業ってのも葛藤があるな。音楽教師は音を聞きたい、でも大きな音を直に聞き続けると難聴になって一部の周波数の音が特に聞こえにくくなる。もちろん音楽教師にとって耳よりももっと大切なこともあるだろうけれど、良い耳を維持できればそれは幸せだと思う。

そういえば僕のいる心理学部で僕の発音を理解できないのはたった2人だけだ。(ちょっとえらそうな書き方だな、まるで相手が一方的に悪いかのような。。それはさておき)一人はむかし音楽の先生をしていた60過ぎの教授。もう一人は現役でギターを弾いてCDも作ってるやはり60過ぎの教授。この二人だけが僕の英語を理解しない事実にいまさら納得するよ。大きい音と接し過ぎて耳が悪くなっちゃったんだろうな。他にも60過ぎの教授は何人もいるけれど、ちゃんと僕の英語を理解してくれる。耳は大事にした方が、老後が楽しくなると思うよ。

認知心理学では、こういった人の能力や能力の衰えが研究されている。また衰えてしまった場合のよりましな人生の過ごし方なんかも研究材料だ。
ちなみに画像は僕の好きな映画「陽のあたる教室」だ。音楽教師の話。

元記事:
Study finds music teachers at risk of hearing loss(U of Trontoこの大学は随分多産だな)
http://www.news.utoronto.ca/bin5/040518b.asp

検索キーワード: 心理 心理学 認知心理学 難聴 人口内耳 補聴 老化
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