2006-06-15 06:49:47

記憶は加齢で衰える。知識は加齢で増す。

テーマ:心理学 (認知・知覚・記憶)

Liu Park 2003 memories decline


人間の記憶は年を取るとともに衰えると言われている。しかし、記憶にはいくつかの種類があり、衰え方はまちまちだ。上の図は5つの記憶(と認知能力)の年齢による変化を示したもの。一つだけ上昇しているのもあるんだな(言語の知識)。


作動記憶(working memory)、短期記憶(short-term memory)、長期記憶(long-term memory)、情報の処理速度(speed of processing)、言語知識(verbal knowledge)の5つの認知能力の年齢による変化を調べた。ほとんどの認知能力は加齢により能力が下がる。


20代と80代で比べると、標準偏差の値にして+1からマイナス1くらいにほぼ直線を描いて下がっている。標準偏差で2ポイントも落ちるのか。


標準偏差は1ポイントの差でも大きい。例えば情報の処理速度は20代から50代にかけて1標準偏差くらい低下している。これは20代の上位50%に位置する人の能力と50代の上位16%に位置する人の能力が同等だということだ。哀れなほど落ちちゃうんだな、年齢で。

言語知識が加齢で上昇するのだけが救いだな。しかしこれも情報の処理速度に左右されるのだから、話す速度も聞く速度も衰えるんだよね。今日からお年寄りにはもう少し優しく、時間が掛かるのを理解して接してみようかな。


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図の引用元

Liu, L. L. & Park D. C. (2003). Technology and the promise of independent living for adults: a cognitive perspective. In Neil Charness, K. Warner Schaie (Eds.) Impact of Technology on Successful Aging (Springer Series on the Societal Impact on Aging) . 262-289.


検索キーワード: 心理学、認知心理学、情報処理、老人の認知能力、年寄り、加齢、老化、老後、記憶、心理、知能、脳、¥

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2006-05-21 00:05:41

人間の記憶のメカニズムをロボットから探る

テーマ:心理学 (認知・知覚・記憶)

Krichmar robot

クリッチマー博士のロボットは見て、触り、考えて、動く。


Krichmar brain model

クリッチマー博士のロボット「ダーウィン7号」(写真上)の「脳」のモデル(写真下)が雑誌に載っていたんで、心理学の面から検証してみますよ。


人間の視覚情報処理では、目から入った情報が物体の識別と物体の位置との2つの情報として別の経路で処理されます。このロボットのモデルでもそうなっています(object identification, object location)。そしてその情報が海馬(hippocampus)に行くわけです。海馬は長期記憶と考えると分かりやすいかもしれません。人間の脳もロポットのモデルもほぼ同じ情報の経路で進んでいます。


僕が考えるに、こういったロボットのモデルは心理学にはない圧倒的な利点があります。それは現実的でなければいけないこと。現実に動かなきゃ意味がないから。


具体的に例を挙げてみると、以前は心理学では記憶のモデルとして「感覚器→短期記憶→長期記憶」というのが一般に信じられていました。今では誤りだと信じられているこのモデルを、このロボットに組み込めるか考えてみましょう。


カメラ(感覚器)で捕らえた映像が「物体識別の器官」に行きます。以前の誤った記憶モデルだとここが短期記憶だと考えられてきました。なぜなら短期記憶というのは、長期記憶に保存される直前の一時的な記憶の保管場所だからです。これがなぜ誤りか。それは、物体を識別するのには過去の(長期)記憶が必要だからです。例えば今、僕の手元にある青いボールペンは長期記憶無しにそれをペンとは認識できません。感覚からの素の情報だけでは、それは青い視覚刺激でしかありません。


現実的なロボットのモデルに当てはめてみる事で、誤ったモデルであることが分かります。ちゃんとこのロボットのモデルでは物体を識別する際に長期記憶(海馬hippocampus)から情報を受け取ることを示す矢印が書かれていますね。

心理学で空想的な記憶のモデルをどうひり出そうが、こういった現実的に働く記憶のモデルの説得力には勝てません。今後、心理学とこのロボットの研究者がどう協力して研究を進めていけるのか、将来がすごく楽しみです。

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写真の引用元と元の記事:

New Scientist, 5 November 2005, p.30.


記憶のモデルを詳しく説明している本:

Robert A. Bjork, Elizabeth Ligon Bjork。この本の第一章(Harold Pashler & Mark Carrier)が分かりやすい。Memory (Handbook of Perception & Cognition S.)


記憶に関しての本。第39章(daniel Schacter, Anthony Wagner, Randy Buckner)で記憶のシステム派と反対派をさらっと紹介。

Endel Tulving, Fergus I. M. Craik

The Oxford Handbook of Memory


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検索キーワード: 心理学、認知心理学、ロボット工学、工学心理学、ヒューマン・ファクターズ心理学、生物心理学、記憶、短期記憶、中期記憶、長期記憶、海馬、記憶のモデル、感覚記憶、記憶の仕組み、大学院、研究、Jeff Krichmar, ジェフ・クリッチマー、皮質視覚中枢、視覚野、visual cortex, 下部側頭葉、inferotemporal cortex, 頭頂葉皮質, parietal cortex, ventral tegmental area, 腹側被蓋領域,


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2006-05-19 03:55:23

老人向けには大きな文字を。

テーマ:心理学 (認知・知覚・記憶)

maximum resolvable frequency


年を取ると細かい文字が見えにくくなる。どのくらい見えにくいかというのを表したグラフが上図。


これは変調伝達関数(MTF: Modulation transfer function)と呼ばれるグラフで、Y軸が明るさ。X軸が物体の大きさ。で、グラフ上の線より下が見える範囲で、線より上が見えない範囲。


例えば白っぽい紙の上の灰色っぽい文字を見るときに、その2色の色の明るさの違いが0.01(つまり1%)しかないとする。これはY軸上の0.01にあたる。X軸は文字の小ささで、1度の視覚角度の中に何本の線があるかであらわされる。一度の角度というのは概ね腕を伸ばしたときの親指の幅に当たるので、この幅に10本の線(と10本の空白)があるとすれば、それはX軸上の10にあたる。


この表によると、若い人(20歳)だと一度の角度の中に6本の線くらいの大きさの文字が最も見やすい(Yの値が高い)と言える(Stanley Coren, Lawrence M. Ward, James T. Enns Sensation and Perception )。これはマイクロソフト・ワードで試してみると、「ヴァーダーナ」という文字種の太字で24ポイントの大きさくらいだ。


これが老人(80歳)になるとYの値が一番高いのはXが1.00くらいのところ、つまり一度の角度にたったの一本の線が一番見やすい大きさだ。これを僕の親指で試してみると160ポイントと言う馬鹿でかい文字の大きさが必要になってしまう。


要は、老人向けには文字をかなり大きくした印刷物やウェブのデザインが必要ですよ、ということです。


この表は別の用途にも使える。老人はどのくらい小さい文字まで読めるか。Y軸の1.00のラインを見てみる。この値は、明るさがはっきり違う場合。例として真っ白の紙に真っ黒の文字など。若い人だと一度の角度に50本くらいの線までは読み取れるのにたいして、老人は一度の角度に20本以下の線までしか読み取れない。どんなに明るさを調整したとしても。


結論は同じで、老人向けに何かをデザインするのなら、文字は大きめにした方が良さそうだね。


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情報元の本:

Stanley Coren, Lawrence M. Ward, James T. Enns
Sensation and Perception

より詳しい資料やデザインの相談はメールにて受け付けています。


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関連する過去の記事

視神経的に見やすいブログ1:明暗感度 (しんりの手)

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検索キーワード: 心理学、ログ・グラフ、認知心理学、老人学、ウェブ・デザイン、verdana, log graph, cognitive psychology, psychology, gerontology, web design, human-computer interaction,  知覚 視覚 コントラスト感度 contrast sensitivity spatial frequency 色弱 空間周波数 老化 若者 一般

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2006-02-19 02:01:21

短期記憶は心理学の舞台から消えていく。【2005年読んだ本10位】

テーマ:心理学 (認知・知覚・記憶)

noSTM


【2005年読んだ本10位】「心をなす物質」(ヘイルマンKeneeth Heilman, M.D.著)(アマゾン:Matter of Mind: A Neurologist's View of Brain-Behavior Relationships


この本で著者は、生体的に脳の部位から見た心の活動の仕組みをまとめている。うーん、うまく説明できてないな。つまり、心理学では大抵が理論的なモデルが先行して、脳の活動の生物学的な説明は後付けだ。でもこの本では生物学的な説明が成り立つ理論に重きを置いている。結果、生物学的な説明の薄い心理学の理論は拒否されている。


例えば、記憶の理論についてこの本では、短期記憶という概念を除外している。これには僕も賛成。

この本によると、記憶の基本システムは4つだけだ:作動記憶(working memory)、宣言的記憶(declarative memory)、意味記憶(semantic memory)、手続き的記憶(procedural memory)、の4つ。ただし、このほかにも2次的な記憶システムはある。以下の説明はこの本を中心に少し僕の理解を付け足したもの。


作動記憶は情報の一時的な保管をする記憶。前頭野(frontal lobe)の左は言語記憶(verbal working memory)に重要。前頭野の右は空間記憶(spatial working memory)に重要。従来言われた短期記憶は、この作動記憶の一部とも理解できるな。


宣言的記憶に記憶されるのは「何、どこ、いつ」などの情報だ。宣言機器記憶は言語で記憶されてもよいし、言語以外の視覚情報などで記憶されてもよいし、古い情報でもいいし、新しい情報でも良い。パペツ回路(Papez circuit, hippocampus-fornix-mammillary bodies-thalamus-cingulate gyrus-retrospenial cortex-hippocampus)がこの記憶に大事な部分だ。


意味記憶は「知識」(knowledge)とも呼ばれる。これは側頭部(temporal regions)や頭頂部(parietal regions)に記憶される。意味記憶は宣言的記憶(特に従来の言葉で言うとエピソード記憶)の積み重ねにより形成される、物事の共通性などの知識だ。例えばA君は先週もクラスで一人だけあの問題を解けた。今週もだ。というエピソードの共通性から生まれる知識「A君は頭がいい」というのが意味記憶だ。スキーマ、概念などはこの意味記憶の中にくくられる。

意味記憶と言語的な宣言的記憶は左脳(脳の左半球)に記憶され、空間的な記憶は右脳に記憶される。


手続き記憶は「どうやってするか」(how)の記憶だ。この記憶と脳の関連はまだあまり分かっていないが、基底核(basal ganglia)と大脳皮質(cortex)が重要なようだ。




というのがこの本のある章の内容なんだけれど、とても面白い。まず心理学で長年使われてきたモデルを否定しちゃっているのがびっくり。つまり


【古くて誤り】 感覚→短期記憶→長期記憶


【新しいモデル】 感覚→長期記憶

  又は      感覚→作動記憶→長期記憶

こんなかんじだろうか。これは最近の認知心理学ではよく言われている。で、この本の言葉で言うと、宣言的記憶、意味記憶、手続き的記憶、の3つが従来の長期記憶に該当するんだろうな。短期記憶はお払い箱という案は最新の文献の裏付けがいくらでもあるのでそのうちに紹介します。


でも僕もよく混乱するのは、短期記憶を記憶モデルから外している研究者でも、別の意味で「短期記憶」(short term memory, or primary memory)という言葉を別の機能を指す言葉で使ってたりするんだよな。作動記憶の一部の機能とかに。なんで、文献を理解するときも訳すときも2つの言葉(短期記憶と作動記憶)がごっちゃになることはしょっちゅうです。気をつけとこう。


あとこの本は記憶だけでなく他の脳の機能(言語、感情、注意、自己認識、認知ー動作、など)も、生物学的な視点から解説している。心理学の(過去の)教科書では見られないモデルばかりなんで心理学を知る者にとってはとても面白い。多分、この本に書いてあるモデルのほうがより正しいのだろうと思う。心理学をこれから学ぶ人にもお勧め。


引用元の本 

Kenneth Heilman
Matter of Mind: A Neurologist's View of Brain-Behavior Relationships

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2006-02-16 10:34:49

【面白サイト】あなたの名前は今風?廃れてる?

テーマ:心理学 (認知・知覚・記憶)

babynamewizard

名前の流行度を(多分しっかりした)統計で示してくれるサイト。

Baby Name Wizard "Name Voyager"

これがかなり面白くってはまっちゃってる。


「ブリトニー」(britney)という名前をタイプしてみる。すごく新しい名前なんだな。1970年よりも前にはプリトニーなんて名前の人は(ほぼ)いなかったらしい。


「ルース」(Ruth)は古い名前。1910年あたりがピークかな。最近は聞かないもんな。ところで人間の記憶ってすごいよな。アメリカ人なら「ルース」と聞けば老女の名前だとわかるんだもん。名前を聞くたびに年齢とかいろんな要素の統計を取っていて、それで古い名前だ、って推論できるんだろうか。


「オーブリー」(Aubrey)は昔は男の名前だったのに、今は女の名前になってしまっている。ふーん、男女ともに使う名前って他に何があるかな。


「ジャクリーン」(Jacklyn)はふた山。1960年代には途絶えたのに1970年代から復活。


「Q」とだけタイプするとQから始まる人の名前の一覧。「クイーン」(Queen、女王様)という名前は何なんだよ!そんな、名前を親もよくつけるよな。名前負けが生まれた時点で確定しているというのもやだね。もちろん「キング」君(King)もいるよ!


ところでクイーンと言えば、オーストラリアでは「クイーン」とか「キング」とか付く名前を一般に使えないって噂は本当なんだろうか?「バーガー・キング」も別の名前になっているらしい。ほんとに?


もし上記のリンクが働かなかったらここBaby Name Wizard から"name voyager"をクリック。

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2006-02-13 12:48:09

嘘を見破る手掛かり。言葉と仕草

テーマ:心理学 (認知・知覚・記憶)
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
ミート・ザ・ペアレンツ

相手が嘘を付いているかを見破ろうとする時に、どんな動作を手掛かりにするか、と言う研究。2番目の「声の音程」が高くなる、というのは分かりやすいな。こういう人いるいる。6番目の「答えの長さ」が短くなる、というのは他の研究の結果からも予測ができる(参考:「ウソを見破るアルゴリズム 」 メーカ研究員の週報 さん)。


注意したいのは、これらの結果は嘘つきを見破っているのではないかもしれない。単に緊張を見破っているのかもしれない。緊張すると声が高くなる。それが嘘を付いているとは限らない。そして嘘発見器は緊張を見破る機械だとも言われている。それと性格も大いに関わってくる。状況によって声が高くなる人もいるし、普段通りに話せる人もいる。


嘘発見と言えば、上の写真の映画「ミート・ザ・ペアレンツ」のジャックを真っ先に思い浮かべるよ。歩く嘘発見器みたいな人っているよな。ああいう人は下の表にも載っていない特別な手掛かりを参考にしているんだと思う。本人も何を手掛かりにしているかわからないけど、見破れる、っていうらしいね。余計なお世話だけどああいう人って恋愛関係や友達関係をうまく保てるんだろうか。僕は心理学の院生というだけで言われも無く、人から敬遠されるときもあるのに。みなさん、心理学系の研究者に対しては優しく接しましょう。映画の中のジャックは別の意味で性格に問題があるけど。ちなみに映画自体はかなり面白いです。僕の最も好きなコメディー映画のひとつ。

  ウソ見破ミヤブ
手掛テガかり
一般イッパン
ウソつきの
動作ドウサ
オモわれているか
科学的カガクテキ実証ジッショウ
  言葉コトバ    
1 いよどむ はい はい。実際ジッサイウソきはいよどむ。
2 コエ音程オンテイ はい はい。ウソつきのコエタカくなる
3 間違マチガ はい はい。実際ジッサイウソきは間違マチガう。
4 コタえがオクれる はい いいえ。普通フツウ会話カイワでもオクれる
5 ゆっくりハナ はい いいえ。普通フツウ会話カイワでも。
6 コタえのナガ いいえ はい。ウソつきのコタえはミジカい。
       
  視覚シカク    
7 瞳孔ドウコウヒロがる 未確認ミカクニン はい。瞳孔ドウコウヒラ
8 自身ジシンサワ いいえ はい。ウソつきはカオなどをサワる。
9 まばたき 未確認ミカクニン はい。ウソつきはよりマバタきする。
10 姿勢シセイえる はい いいえ。
11 ワラわない はい いいえ。
12 ない はい いいえ。


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検索キーワード:心理学、認知心理学、性格心理学、社会心理学、元の研究: DePaulo, Stone, & Lassiter (1985)、表情認知、顔認知、


ところでエクセルからコピーしたら振り仮名が付いてきたんだけど、邪魔だ。どうやったら振り仮名が消えるんだろう。ていうか、アメブロは元から表を書けるようにしてほしい。

引用元:

Weiten & Lloyd (2000). Psychoogy Applied to Modern Life. 6th ed. p.195.

Psychology Applied to Modern Life: Adjustment in the 90s
Wayne Weiten, Margaret A. Lloyd
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2006-01-19 00:40:40

写真より線画のほうが理解しやすい

テーマ:心理学 (認知・知覚・記憶)

drawingandpicture


上の2つの図(写真と線画)は同じ物体を示している。2つを比べると、人間は線画のほうが早く理解できる。情報が簡略化されているので、脳の情報処理もすばやく行える。


簡略化された線画(simplified line drawing)は注目するべきことが強調されているので理解しやすい。上の例で言えば「手」またはその輪郭に注目すれば良いと感じられる。情報の理解がより楽なため、線画は様々な所に使われている。説明書の絵、操作パネルのアイコン、など。これらは情報をすばやく理解することが要求される場面だ。


これに対して、写真は詳細な情報を示せる。上の手の写真を見れば、影の付き方、立体感、筋肉の付き具合、骨の加減などが読み取れる。逆に言えば、写真はこういった細かい情報が脳の理解を邪魔をするために、単純に「手」というものを認知するのを遅らせている。


要は、用途に分けて写真と線画を使い分けるということだね。詳細にこだわらない情報やすばやい理解が必要なら線画が良い。詳細も必要な情報なら写真が良い。


以上はこの本から。情報を視覚的にどう示すべきかを心理学と視覚の観点からわかりやすく説明している。わかりやすく示すことがこの本の趣旨だしこの筆者の専門だから、この本がわかりやすいのも当然だな。どうしたら教科書がわかりやすく書けるのか、というのを参考にするのにも良い本だ。

Colin Ware (2000)
Information Visualization: Perception for Design (Morgan Kaufmann Interactive Technologies Series)

検索キーワード、心理学、認知心理学、image-based thoeries, structure-based theories, visual objects, object recognition, 物体認知、視覚認知、もとの研究は Ryan and Schwarz 1956.
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2006-01-13 00:04:48

乗り物酔い警報

テーマ:心理学 (認知・知覚・記憶)

sickness alert

乗り物酔いというのは体を変に揺らされ続けると気分が悪くなる現象。これを測る機械がある。揺らされるのを測るのは3次元分に相当する3軸のセンサーだ。これが急激に揺らされる運転が続くと警報が鳴るということなのかな。車の電源で使えるそうです。


漫画「頭文字D」でコップに張った水をこぼさないように車を運転する練習をしたというのがあったけれど、それと同じ理論なんだろうね。いつきちゃん(だっけ?女の子)も拓海の運転なら酔わないって言ってたし。


ところで女の人の運転て乗り物酔いにさせる運転が多いよね。車線変更とかもハンドルをぎゅるんぎゅるん回して、同乗者を揺らしながら車線を変えていく人が多くない?なんで女にこういう運転をする人が多いんだろう?あれは同乗者を眠らせないようにしようとする女の策略なのか?他の男女差は心理学でもよく研究されているけれど、こういう男女差の研究は聞いたことが無いなぁ。


ちなみに乗り物酔いとかの研究をする分野はヒューマン・ファクター心理学(Human factors psychology)。で、この機械を作った会社はTNOヒューマン・ファクター社 (オランダ)。

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元の記事:Technology Review, may 2004, p.14.

Motion Sickness Alert


検索キーワード:心理学、motion sickness, TNO Human factors, Jelte Bos, dutch,


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2005-12-05 00:49:36

広告に生かされている見覚え意思決定

テーマ:心理学 (認知・知覚・記憶)

意思決定の研究の専門家でギーガレンザーという人がいるんだけれど、この人の面白い研究。


見覚え意思決定(recognition heuristic)という方法で生物は判断をしている場面がよくある。見覚え意思決定とは、見覚えのあるものが選択肢にあるとそれを選んでしまう習性のこと。これは結構当るので使える。例えばその一例。


「少ない知識の方が判断が正確」効果(less is more effect)

アメリカ人の生徒にアメリカの2都市でどちらの方が大きい都市かを答えてもらった。例えばサン・ディエゴとサン・アントニオ。同じ生徒達にドイツの2都市の比較もしてもらった。当然アメリカ人はアメリカの都市のことの方が知っているはずだった。驚いたことにドイツの都市の大きさの比較の方が正確に行えた。つまり、知識が少ないほうが判断が正確な場合があるのだ。逆にドイツの生徒にとってはアメリカの都市についての質問の方が答えが正確だった。


上記は見覚え意思決定の一例。アメリカを良く知らないドイツ人にとって、サン・ディエゴは有名なので聞いたことがあるけれどサン・アントニオは聞いたことの無い地名だ。なので知名度がある方が大きい都市だろう、という推理が成り立つ。そしてそれが正解でもある。これは知識がありすぎる(アメリカ人にとってのアメリカの都市名)と使えない。


この見覚え意思決定は動物界でも使われている。ラット(wild Norway rats)が二つの食べ物から一つの食べ物を選ぶ場合、見覚えのある方を選ぶ。直接この食べ物を食べた経験が無くても、「見覚え」を仲間のラットの息のにおいから形成する。例え仲間のラットが病気になっていたとしても、この見覚え意思決定に従う。つまり論理的に考えれば、その食べ物は仲間のラットを病気にしたかもしれないのに、見覚え(におい覚え)があるということが意思決定にそれだけ大きな影響を与える。


当然この習性は広告業界でも使われている。人間は見覚えのあるものを選んでしまうので、商品名や会社名だけを客の記憶に残しておけば売り上げは格段に上がる。その見覚えが仮に悪い噂であったとしても、見覚え効果は商品の売り上げ増に貢献してしまう。


この辺の実験データはそのうちに紹介。上記はこの本から。

Lars Backman, Claes Von Hofsten (英語版のみ。200年)
Psychology at the Turn of the Millennium : Cognitive, Biological and Health Perspectives

この本では、心理学が今後どんなことを研究していくか、どんな公算があるか、などをそれぞれの分野の著名な研究者が語る。

加齢と記憶の章ではおなじみのクレイク(Fergus.I.M. Craik)。学習の章ではレスコーラ(Robert A. Rescorla)。高度認知の章ではギーガレンザー(Gerd Gigerenzer)、航空心理学ではウィケンズ(Christopher D. Wickens)など著名な学者が執筆している。

同編集者の別の本。

「加齢と記憶」ラーズ・バックマン(2001年) (しんりの手)


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2005-11-09 00:17:14

「神経心理学の定義辞典」デビッド・ローリング(1999年)

テーマ:心理学 (認知・知覚・記憶)
本の紹介。
David W. Loring, Kimford J. Meador
Ins Dictionary of Neuropsychology

論文を書く時にちょっとした言葉の定義に悩むことがある。例えば「意識」(consciousness)などは自分では理解しているつもりでも、いざ言葉にしようとすると詰まってしまう。更に研究者によって見解も違うのでどの本から引用するか迷ってしまう。そんな時に重宝するのがこの本。本のタイトルは「辞典」となっているが、はっきり言って辞典のような親切な解説ではなく、既に知識のある人向けに言葉の定義を羅列してある本だ。なので利用方法によってはかなり使える。


例えば「意識」の項目を見る。「自身や環境に気付いている状態。意識とは刺激に反応できる状態のことで、気づいているという事実は、行動や言葉などに表れる。意識には幅があり、警戒状態、集中している状態、注意していない状態、などがある。これらは自己の覚醒レベルと外界の環境により異なる。脳損傷(celebral injury)の程度により、意識の喪失が測られる。」


なかなか保守的で簡潔な定義だと思う。この項目に限らず保守的な立場の定義が多く、使いやすい。


もう一つ、「記憶」の項目を見てみよう。一般的な記憶の説明のほかに23の個別の記憶の項目がある。

前向性記憶(anterograde memory)

自伝的記憶(autobiographical memory)

宣言的記憶(declarative memroy)

耳感覚記憶(echoic memory)

エピソード記憶(episodic memory)

顕在記憶(explicit memroy)

視感覚記憶(iconic memory)

即時記憶(immediate memory)

潜在記憶(implicit memory)

長期記憶(LTM, long term memory)

非宣言的記憶(nondeclarative memory)

一次記憶(primary memory)

手続き記憶(procedural memory)

展望的記憶(prospective memory)

近時記憶(recent memory)

遠隔記憶(remote memory)

逆行記憶(retrograde memory)

二次記憶(secondary memory)

意味記憶(semantic memory)

感覚記憶(sensory memory)

短期記憶(STM, short term memory)

情報源記憶(source memory)

空間記憶(topographical memory)

作動記憶(working memory)



項目はたくさんあるけれど、ほとんどは心理学では一般的な言葉だな。近時記憶(recent memory)と遠隔記憶(remote memory)という言葉は僕も知らなかったよ。ここには載っていないけれど筋肉記憶とか言語記憶などという頻度の少ない言葉もある。そういう使わない言葉を省き、より一般的な単語を選んでいるあたりもこの本には好感が持てる。

この辞書によると宣言的記憶は顕在記憶と同じとなっている。この辺も保守的な立場だな。人によっては宣言的記憶と顕在記憶は異なるという研究者もいる。


心理学系の論文を書く人にはかなりお勧めの本です。

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