しんりの手 :psych NOTe -7ページ目

「作動記憶」バッデリーとヒッチ(1974年)

本の紹介。

Gordon H Bower
Psychology of Learning and Motivation

この本の中の第2章「作動記憶」はすごく有名な論文。


人の脳の働きを知る上で、心理学で最も大事な理論を10個挙げるとしたらこの作動記憶って案は確実に入ってくるだろう。でもこの理論を導き出すまでにはいろんな実験があっていろんな理論をいろんな人が作ってみていたんだなぁ。この論文が出された1974年時点で分かっていたことは、人には最低2つの記憶システムがある:短期記憶と長期記憶。それと人の記憶システムはシリアルで処理される部分もあれば、パラレルで処理される部分もある。パラレルでは最低2つの道筋があって、音と映像は別に処理される。そんな過去の心理学の実験結果を総合してこの作動記憶の案を作っていって、今ではとても重要な理論になったわけなんだけど、1974年当時のこの論文では試行錯誤が垣間見れる。あんな偉大な理論を作った人でも分からないことだらけだったんだろうなぁ。バッデリー自身は80年代、90年代にも、作動記憶の理論を書き直している。


似た理論は60年代からPossner とRossman (1965)や Atkinson とShiffrin( 1971)などが書いていたが、それらとバッデリーが違うのは、記憶だけの扱いではなく、作動記憶は情報を操作する(ひいては思考、計算、などが含まれる)と枠を拡げたところだろう。あぁ、こういう歴史があるから作動記憶は記憶って呼ばれるんだな。機能だけを考えたら作動記憶は情報処理中央回路とか呼ばれても良いはずなのに。


この本は研究自体を知る上でも有用だけど、偉大な理論が試行錯誤の上でできた経緯を知り、僕もがんばろう、と鼓舞するのにすごく役立つ。


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検索キーワード:心理学、認知心理学、ワーキーング・メモリー、

Baddeley, Hitch, Craik, F. I. M. Lockhart, R. S. Levels of processing. Green D. W. A. Norman, D. A. Donald Norman. The role of memory in the understanding of language. Sperling, G. Tulving, E.

素朴な科学の疑問1:プラボ

僕は明らかに睡眠時間が足りていないんで、授業中などに眠くなることはざらだ。まぁ仮に授業中に睡魔に持っていかれたとしても、授業中に眠るのは高々10分。その分、人が眠っている間に3~4時間余計に勉強できるんなら、差し引き2時間50分~3時間50分の粗利だな。つまり睡眠時間8時間取るよりも、4時間くらい寝て、昼間のラボ会議中にこっくりしてしまう方が知識はたくさん詰め込めるはずだ。


僕としてはとても合理的な考え方なんだけれど、同じ考えをしている人には滅多に会わない。アンダーグラッド時代に知り合ったヒロユキ君というやはり日本からの留学生だけだ。元気?いま何してんの?連絡待つ。合理主義は漫画「巨人の星」の中ではアメリカ人の専売特許だったが、今や日本人だけのものなのか?


まあ、そんな眠気に満ち満ち満ち溢れている僕でも、ノーガードで眠気に身を任せているわけではなく、いろいろと抗う手立ては用意してある。研究員らしく論理的な手立てだ。立ったまま授業を受けさせてもらったり、ベイビー・キャロットを生でかじったり、リンゴにかぶりついたり、ハラペーニョの辛い部分を舌に擦り付けたり、などと数多い手立ての中でも最も手っ取り早いのはカフェインを摂取することだ。


pepsi

西洋的な薬依存が嫌いな日本民族らしく、コーフィーは飲まない。中毒になったらやだからね。僕のお気に入りはダイエット・ペプシだ。オービースになる心配も無いしね。ところでプラボを開けるときにプラキャップがきっちりと剥けないで空回りしちゃう時があるよね?そうするとすこーしだけ開いた空気道から高圧力の空気が一気にペプシに流れ込み、ペプシは大噴火する。あれって空気圧の問題だよね?専門外だし物理なんて取ったこと無いんでかなり自信が無いんだけれど。瓶ボトルが懐かしいなぁ。プラボの会社はもっとしっかり開くキャップを開発して欲しい。それだけだ。


それでもペプシが泡吹けば、ジーンズはべちょべちょになり眠たいどころでは無くなるんで、目的は達成されたことになる。ペプシコにはそこまでが戦略だと言い切って欲しい。それがアメリカだ。

「心理学のための統計」デビッド・ハウエル(1992年)

統計の本の紹介。

David C. Howell (1992年。英語版のみ。リンクは第4版。僕が読んだのは第3版)
Statistical Methods for Psychology

因子分析などを説明する上級統計の本で最も簡単に書かれている本だと思う。

統計の本て、初級か上級かの2つに分れがちなんだよね。初級はT検定とF検定までしか説明しないし、上級になるといきなり因子分析と複数分散などが入ってきて、説明も詳細ばかりになって、なかなか全体像を大雑把に掴むのに良い教科書が無い。それを実現した本。


初級から上級の入り口までをカバーした統計の教科書。カイ検定、T検定、F検定、パワー、相関関係、回帰、因子分析、共分散、などを扱っている。

図を多用して説明しているのもとてもよい。この本のようにパワー(統計検出力)の概念を図で表している本は少ない。パワーの計算まで載っている。分かりやすさにこだわっているせいか、説明不足の点はある。初級の統計の教科書の次に買う本としてはかなりお勧め。わかりやすい。


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検索キーワード:心理学、行動科学、t-test, f-test, anova, covariance, power statistical power, effect size, chi-square, correlation, multi regression, non parametric distribution,


科学者の役目

panel discussion

今日はG教授と話していて、こんな話が出た。

僕ら学問を職とする者にとって、何が科学的に受け入れられる事実で、何が科学的にでたらめなことかの意見を表明するのはほとんど義務だ、と。


数ヶ月前に、インテリジェント・デザイン(知的設計)が話題になった時に、宗教関係の人と科学者たちとの間で討論が行われる予定だった。しかし、科学者たちは討論をしても無駄だとしてそのパネル・ディカッションをボイコットしてしまった。宗教を深く信じる人に科学的なことを言っても馬の耳に念仏。埒が明かないと。うーん、さすが科学者たち。論理的な行動だな。しかし、科学者がそこで知的設計案に反対しないと、一般の人は知的設計を信じてしまうかもしれないので、ボイコットなどはいかん!というのがG教授の話だった。


まぁそうだな。何が科学的に正しくて、何が科学的に正しくないかなんて自分の専門外の分野ではほとんど分かんないもんな。その判断を世に示すのは専門家の役割だと思うよ。専門の分野であったとしても、教科書に載っていたら信じちゃうもんな。いちいち過去の全ての実験をやり直して確証を得るなんてのは時間的に無理だし。


そんな訳で、僕のブログ「しんりの手」では、僕の解釈の範囲で心理学の最新の動向をお伝えしていっているよ。過去には信じられていたアイディアを批判したり(過去記事「フロイトは死んだ 」)、新しくて面白い心理学ニュースを紹介したり。


同じように、僕のブログを鵜呑みにせずに、批判なんかが出てきてくれれば、それは僕のためにも読者の方のためにも、何がより真実に近いのかを考えさせるきっかけになると思う。批判、ご意見、賛成、反対、いろいろお待ちしています。

著者自身が朗読する「マイ・ライフ」ビル・クリントン(2004年)

英語教材の紹介。

Bill Clinton
My Life [CD]

英語の教材というか、単に英語で読まれている本。ビル・クリントンの本を本人が読んでいる。この人って喋るのがうまいよな。彼はコミュニケーションの天才と呼ばれていて、彼と話すと好きにならずにいられないと言われているけれど、朗読しているだけでその片鱗が見えるよ。


英語としては、中級と上級の間くらいか。NHKのマーシャ・クラッカワーのラジオ英会話が聞き取れれば、それが少し難しくなった程度だな。この人は基本的に話すのが速いんだよね。でも文はとてもまともで綺麗な英語を話すので、基礎的に英語の聞き取りができる人なら、後は何回も聴けばこの速さにも慣れていくでしょう。NHKのラジオ英会話よりは速いけど、内容に筋が通っているので理解するのはラジオ英会話よりも簡単だ。

あと日本人にとっては、この手の英語って読むより聞いたほうが早く読み終わるし理解しやすいよ。


レベルとしてはトイックで800点レベル、トフルで550点レベル、GREで350点レベルくらい取れていれば十分聞き取れるし楽しめる内容でしょう。

「加齢と記憶」ラーズ・バックマン(2001年)

本の紹介。

James E. Birren, K. Warner Schaie (第5版。英語版のみ。2001年)
Handbook of the Psychology of Aging (The Handbooks of Aging)

この本の中でも特に面白かったのが第14章

「加齢と記憶:認知的視点と生物学的視点」ラーズ・バックマン他


記憶の種類により加齢により衰えるものと衰えないものがある。明らかに衰えるのはエピソード記憶と作動記憶。衰えないのは一次記憶とプライミング。


記憶はエピソード記憶(episodic memory)と非エピソード記憶(non-episodic memory)に分けられる。非エピソード記憶は4つに分けられる:手続き記憶(procedural memory)とプライミング(priming)と意味記憶(semantic memory)と短期記憶(stm, short term memory)。短期記憶は更に分けられる:一次記憶(primary memory)と作動記憶(working memory)。


よく勉強している研究者だな。過去の主要な記憶の研究を網羅しているので、説得力がある。それでいてとても読みやすくまとまっている。記憶の衰えについて知るにはベストの文章だと思う。


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検索キーワード:心理学、認知心理学、生物心理学、加齢、老後、老人、エイジング、老人心理学、機能の衰え、

Baddeley, working memory,

Craik, F. I. M.

Salthouse, T. A.

Tulving, E.

Wingfield, A.


ホラー映画週間

夕べはハロウィーンだったんでチャーリー君の家に行ってホラー映画を見てきたよ。見た映画は

ワーナー・ホーム・ビデオ
エクソシスト ディレクターズカット版

エクソシスト!どーーーーん!


なんて思ってたんだけど、別に怖くなかったよ。

僕はホラー映画とか見る時には必ず呼ばれるんだよね。ジャンピーなんで。先週末はハロウィーン週末だったんで金、土、日、月、と4夜連続で毎晩別の友達のホラー映画にお呼ばれしてきました。最終夜の夕べは免疫ができたのか絶叫するシーンも数えるほどしかなく、少し拍子抜け。僕の反応を見るために集まってくれた友達には残念な結果だったはずだ。

て言うかこのエクソシストって映画は怖い映画っていうか名画で題材が怖いだけって感じだな。実は僕にとっては今回は2回目で、最初にこの映画を見たのは小学校か中学の頃だと思う。その時は内容もろくに理解できていなかったけれど、いま見ると、いろんなことに気付いてちょっとした感動を味わえる。すごく芸術的な映画で、一シーンごとの構図がかなりかっこいい。そして、その構図がかっこいいために記憶に残ることを計算して作っている。30年前(1973年)の映画が今でも面白く見れるというのが名画たる所以なのか。

それとサブリミナルのような映像が何回も出てくる。大人げなく突っ込んでみると、正確にはこれらはサブリミナル映像ではない。なぜなら無意識に知覚されるのではなく、かなり長い時間(0.5秒くらい?)怖い映像が差し込まれているので意識的に知覚できる。そういうのはサブリミナルとは呼ばないんだよね。サブリミナルは1/30秒だったかな?すごく短い時間なんだよな。まぁ、サブリミナルってのは効力がとても小さいと言われているので、それよりもはっきりと知覚させる今回の手法の方が僕は効果的だと思う。

ただ、怖さを作るものとして以前も書いた けれど、得体が知れない物というのがもっと使えるはずだ。なので時間的には長く表示しても、得体が分からないくらい不鮮明とか暗い映像で何かが蠢いている、とか、そんなことが映画をもっと怖くするのではないかと僕は思うよ。


怖さというよりもよく作られた映画を見る、ということでエクソシストはかなりお勧めの映画。


ちなみに他に見た映画は

texas
ハピネット・ピクチャーズ
悪魔のいけにえ  (原題 texas chainsaw massacre)
これは極悪に怖かった。 実話なんでしょ?ヤバすぎるよ。これを見てるときはゴルゴ13状態で壁を背にして俺の背後には立つな、と友達に忠告しまくっていたよ。
ワーナー・ホーム・ビデオ
シャイニング 特別版 コンチネンタル・バージョン  (原題shining)

これも怖さはマックス。でも説明が少ないんで訳っちょ分からない。そこがまた怖さを引き出すのかな。

「21世紀を迎えるにあたっての知覚と認知」ジュリアン・ホックバーグ

20世紀の実験心理学の流れを各側面から解説した本。
Julian Hochberg(英語版のみ。1998年)
Perception and Cognition at Century's End (Handbook of Perception and Cognition)

タイトルは確かにその通りなんだけれど、それよりも実験心理学の学派の紹介といったところだろうか。

実験心理学(experimental psychology)というのは、実験を用いてより確からしいことを見つけていく心理学という定義ができるだろう。具体的には、認知心理学や知覚心理学、に代表されるような記憶、感覚、学習、思考などの学問だ。


横道に逸れるけれど、最近アメリカではこの実験心理学という言葉はあまり使われていない感じがする。15年位前まではアメリカの心理学でもフロイトの理論が台頭していて、それは実験に基づいたものではなくある理論的な仮定(つまり人の心を自我などを使って説明する)に基づいていた。それを嫌って、実験するグループは差別化を測るべく実験心理学と名乗ってきた。


ただ、現在では臨床心理学などでも実験による研究に重きをおき始めているので、実験心理学という意味を素直に捉えると差別化が測られないためか、今はこの言葉をほとんど耳にする機会がなくなった。まぁ、僕は一大学院生の身で、15年前の心理学のことなんてリアルタイムでは知らないんで、全くの僕の憶測です。


この本は哲学と心理学の説明が主。例えば、心と体は切り離せるか、心は意識と同じか、意識とは何か、自然法則(natural law)と秩序だった世界(well-ordered world)、還元主義(reductionism)、生まれか育ちか(nature nurture)などの古典的な質問をかなり高度な心理学の実験結果などから答えていっている。言うなれば、心理学のエキスパートが読む基礎心理学の本。ただし面白い章と面白くない章がある。


あと興味深いのはまたこの定義の問題。「こころ」(mind)の定義は一致していない、という。もういろんな分野のいろんな単語について何百回も聞いてきた話だよ。そういう些細なことで時間を無駄にしないでもっと語られていいべき問題が山積みだと思うよ。心理学の将来を考えると、APAとかの権威が一般見解として単語集とかでも出しちゃえば良いと思うよ。


自分用メモ:

p.56. 意識には処理容量の限界があってシリアルで一つ一つ順番に処理される。無意識の処理には処理容量の限界がなくパラレルで処理される。


unlimited と書いてあるけれどこれは誤解を招くな。


p.58. 無意識の動作というのはオートマティック(自動)の動作。意識がいるのは考えなくてはできない動作。


p.88. 哲学と認知心理学を説明する3つの異なった理論。associationistic approach, mathematical approach, biological approach


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検索キーワード:心理学、認知心理学、実験心理学、知覚心理学、 clinical psychology, cognitive psychology, sensation and perception, descartes dualism, mind, E.G. Boring 1953 A history of introspection. psychological bulletink

空飛ぶスパゲッティ怪獣を教科書に載せるべきか

Touched_by_His_Noodly_Appendage


知的設計(intelligent design, ID)をバカにしたアイディアで「空飛ぶスパゲッティ怪獣」(フライング・スパゲッティ・モンスター、flying spaghetti monster)というのがある。


知的設計はもう日本でも有名だと思うので説明は省略。こちらで解説されています。

メーカ研究員の週報大学生の精神に入り込むID論  」

キリスト教を信じていて、進化論に反対している、という人が大抵この知的設計を唱えている。そういうわけで、それ以外の人にとっては知的設計というのはくだらない案だ。そこで反論する一つの方法として、知的設計と同等の案を捻出して、対比することにより、知的設計がどのくらいくだらない案かを分からせようとしている。それがこの「空飛ぶスパゲッティ怪獣」という案だ。

ウィキペディア「空飛ぶスパゲッティ怪獣 」(英語のみ。)

要は、この怪獣が宇宙を創造し、知的設計をデザインした。この案はキリスト教の人が唱える知的設計と同等だ。もしキリスト教の知的設計が学校の教科書に載せられるのなら、この空飛ぶスパゲッティ怪獣も教科書に載せるべきだ。という主張だな。


まぁね。知的設計を熱狂的に唱える人は確かにうざいよ。でもこういう反論の仕方はちょっと面白みに欠けるなぁ。これを唱えている人はもちろんパロディーでやっているんだろうけれど、なんと言うか高校生がやりそうな感じがしてしまうよ。つまり、反対を唱えたい思想をバカなものに見せるってのが僕の趣味ではない。アメリカの映画とかでも悪と善を両極端に書くのがあるけれど、そういう描き方って科学や説得では個人的には使いたくないと思っている。


実際に僕は、知的設計の案の一部分はとても面白いと思っているので、全否定されて欲しくない。この辺はまたそのうちに。

訳語は知的計画となっているのもあるけれど、計画という言葉だと神がより関わってくる響きがある。僕は設計という言葉で、神とは関係なく長期的な設計ヤ戦略が遺伝子に組み込まれている可能性というのが面白いと思っているので、最近は知的設計と勝手に呼んでいるよ。

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ここ「しんりの手アメブロ」は別館で、本館の「しんりの手 fc2 」で没になるネタ、古過ぎるネタ、裏の取れないネタ、人の受け売りを垂れ流すだけのネタ、などを紹介しているんだけど、なんか作者である僕自身でどんどんレベルを落としている気がするよ。その方が本館との差別化が図られるっしょ?


関連ウェブ:

ここでは僕のよりも詳しい解説が書かれている。


検索キーワード:心理学、哲学、宗教学、遺伝子、Flying Spaghetti Monsterism

「応用認知のハンドブック」フランシス・ダルソ(1999年)

本の紹介。

Francis Thomas Durso, Raymond S. Nickerson, Roger W. Schvaneveldt, Susan T. Dumais, D. Stephen Lindsay, Michelene T. H. Chi (1999年。英語版のみ)
Handbook of Applied Cognition

タイトルの応用認知という言葉を聞いても今ひとつ内容がピンと来ないが、要は、脳がこなせる課題などを知ることが、ビジネスや実社会ではどう生かせるかの本だ。


前半が脳の機能についての説明。

 - 知識、注意、経験、記憶、意思決定、間違い、など


後半はその応用例。

 - 航空機の操縦、管制官が把握できる情報量、

 - 管理職にとっての人の認知能力

     リーダーシップ、やる気、訓練の効率化、能力の測り方、

 - 客商売での心理の働き

     広告、金額設定(この辺は意思決定だな)、

 - コンピューターを人の脳の能力に適合させて使いやすくする

 - 教育を脳の能力にあわせて学びやすくする

     理解しやすい説明、

 - 医療

 ー 法律


こうしてみると、心理学が実際に応用されてその研究が文献にされている分野ってのは狭いもんだな。応用できる潜在的な可能性はすごく高いはずなのに。例えば、数日前に書いた心理学のお化け屋敷への応用や映画への応用などもできるはずだけど、まだまだ未発達の分野だ。今の時点では、すぐに利益に繋がる産業でないと心理学的な見地を取り入れるのは難しいのが社会の現状なんだろうな。逆に言えば、競合相手がいないので心理学をよりビジネスに生かしやすい、おいしい時期ともいえるだろう。

正直言ってこの本はあまり面白くなかった。上っ面を勉強しているようで、概略を知るには良いだろうけれど、院生としては読み応えがなかったな。