2013年01月15日(火)

サイケ&バイカー映画が二本組廉価盤で発売中

テーマ:映画
嵐の青春+白昼の幻想 (初回生産限定) [DVD]
嵐の青春+白昼の幻想 (初回生産限定) [DVD]

当ブログではお馴染みの二大60sサイケムービー、「白昼の幻想」("The Trip", 1967)と「嵐の青春」("Psych-Out", 1968)をカップリングした二本組のDVDが廉価で発売されています。映画の詳細については過去記事(→「白昼の幻想」、→「嵐の青春」)をご覧ください。

また、バイカー映画のハシリとなった「ワイルド・エンジェル」("The Wild Angels", 1966)と、「続 地獄の天使」("The Glory Stompers", 1967)の二本組も、同じシリーズからリリースされています。前者はピーター・フォンダ、後者はデニス・ホッパーが主演していて、このあと「イージー・ライダー」で合流するふたりによるバイカー映画というのも興味深いところ(このふたりは「白昼の幻想」でも共演。「ワイルド・エンジェル」にはナンシー・シナトラや、「白昼の幻想」「嵐の青春」にも出ていたブルース・ダーンも出演している)。

この二本はMike CurbとDavie Allanのコンビが音楽を制作していて、サイケファンには映画よりもファズギター満載のサントラLPの方がお馴染みかもしれません。Davie Allan & the Arrowsによる「ワイルド・エンジェル」の主題曲、"Blue's Theme"はシングルでも全米37位のヒットを記録しています。

ワイルド・エンジェル+続 地獄の天使 (初回生産限定) [DVD]
ワイルド・エンジェル+続 地獄の天使 (初回生産限定) [DVD]


サイケデリック漂流記


サイケデリック漂流記


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2008年01月29日(火)

ワイルド・パーティー

テーマ:映画
ワイルド・パーティー
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
ワイルド・パーティー

「ワイルド・パーティー」(1970)は、これぞカルト映画という、ラス・メイヤー監督による怪作サイケムービー。Strawberry Alarm Clockもパーティーシーンで出演しています。

ラス・メイヤー(数年前に逝去)は、クエンティン・タランティーノら現代のカルト映像作家に多大な影響を与えたといわれる低予算B級エロ映画監督で、代表作は「ファスター・プッシーキャット キル! キル!」(1966)や「ヴィクセン」(1968)など。本作(原題“Beyond the Valley of the Dolls”)は「ヴィクセン」のヒットを受けて、初めてメジャーの20世紀フォックスが彼に制作を依頼した作品です。

お話は、三人組のガールズロックバンドが西海岸に出向き、そこで有力なレコードプロデューサーに見出されて成功を手にするものの、セックスやドラッグに溺れて人間関係がぐちゃぐちゃになっていく・・・というメロドラマ。そのうちの3分の1がパーティーシーン、あと3分の1がレズありホモありのエロエロシーン、残りの3分の1が喧嘩orバイオレンスシーンという感じのB級モンド的作品で、最後はいつのまにか大スプラッタ・ホラームービーになってしまっているという、みごとな「とんでも」映画です(ラストの強引すぎるハッピーエンドも最高!)。

しかしながら、(公開時は)X指定を受けたエログロナンセンス映画でありながらも、異様なまでに情報量の多い味わい深い作品でもあります。シリアスドラマともコメディともつかない独特の演出や、個性溢れる俳優陣の忘れがたい言動など、見どころがいっぱいで、不思議に美しい(サイケ的)整合感とカタルシスを感じる傑作です。なによりも、当時ならではのサイケ&ポップな色使いの映像が素晴らしい。

意図したものかどうかはわかりませんが、「サマー・オブ・ラヴ」のナイーブな60年代が終焉して、これまではうまくいっていたはずのフリーセックスやドラッグやロックミュージックが、ことごとく現実的な俗物俗事にまみれていってしまうという、70年代を予兆するかのようなアイロニーも秀逸です。

ところで、映画に登場するカリスマ的なレコードプロデューサー(Z-Man)は、最後に現実とファンタジーがないまぜになって無差別殺人を犯すのですが、彼のモデルとなったフィル・スペクターが、数年前に実際に殺人事件を犯してしまったというのも、ひじょうに暗示的です。(自宅でグラマー女優の顔を銃で撃ったという、映画とそっくりのシチュエーションなのは単なる偶然でしょうか?)

音楽を制作したのはStu Phillipsという人で、彼の書いた楽曲群がまた素晴らしい。ガールズバンドということで、Janis Joplin系統の西海岸スワンプ風ナンバーから、Sandpipersが歌うソフトロックチューンまで、いかにも当時のヒッピー/アシッド映画のサントラ的な「なんちゃって(サイケ)ロック」が目白押しです。このサントラは「境界サイケ」的な名盤としてもオススメの一枚で、Strawberry Alarm Clockの“Girl from the City”と“I'm Coming Home”も収録されています。SACは映画では上記の2曲のほか、定番の“Incense and Peppermints”も披露しています(演奏は当て振りですが・・・)。

Beyond the Valley of the Dolls
Original Soundtrack
Beyond the Valley of the Dolls



[上]末期Strawberry Alarm Clock。後期のソフトロックではなくハードな演奏。
[下]劇中バンドのCarrie Nationsのレコード。実際にあったらジャケ買い必至。



実際に歌っているのは、のちにMama Lionのリードシンガーとして2枚
のアルバム(1972~73)を残しているLynn Carey。フロントの二人は元
プレイボーイ誌のプレイメイト。ドラマー役の黒人女性もモデル出身。

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2007年11月12日(月)

すべてをあなたに

テーマ:映画

すべてをあなたに
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
すべてをあなたに

トム・ハンクスの初監督作品で、60年代のガレージバンドをテーマにした青春映画、「すべてをあなたに」("That Thing You Do!", 1996年)の廉価版DVDが発売されています(2008年1月25日までの期間限定)。

ビートルズが嵐のように上陸した1964年、アメリカの一地方都市でのお話。地元のタレントコンテストに出るつもりだった名もないガレージバンドのドラマーが、直前に腕を骨折してしまった。急遽やとわれたドラマー(主人公)が、本番になって思いつきでバラードナンバー"That Thing You Do"をアップテンポで演奏しはじめると・・・会場は熱狂、コンテストに優勝するとともに、さっそくハウスバンドとして出演依頼が舞い込む。

メンバーの親戚に頼んで、いわば自主制作で出したその曲のシングルは、ついに地方のラジオ局で取り上げられる(その時のメンバーたちの喜ぶシーンがちょっとウルウルします)。そして、その曲の噂を聞きつけたメジャーレーベルとめでたく契約。全米でリリースされた"That Thing You Do"は、あれよあれよという間にチャートを上昇していく・・・。

もちろんフィクションですが、60年代に星の数ほど存在した「一発屋」のガレージバンドの多くに、実際にこのようなことが起こったんだろうなと思わせるところがリアル。"One Hit Wonder"(一発屋)という主題に絞った、軽快なタッチの佳作となっています。(最初のバンド名がWondersをもじったOnedersだったのが、みんなが「ワンダーズ」ではなく「オーニーダーズ」と読んでしまうので、メジャーデビューではWondersに変えさせられたというエピソードが、暗示的なパンチラインになっている。)

トム・ハンクスは監督・脚本のほかに、ブライアン・エプスタインを思わせるような辣腕マネージャー役でも出演。また、劇中歌の作詞作曲まで手がけているという多才ぶりを発揮しています。制作者の60年代に対する愛惜の念が、ウブに表出されているのが嬉しいところ(トムは1964年には18歳だった)。また、ヒロインとして、エアロスミスのスティーヴン・タイラーの娘であるリヴ・タイラーが出演しています。


追記:なんと、レココレ・サイケ号で取り上げられていたOrange Colored SkyがWondersのモデルだそうです。


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2006年01月29日(日)

嵐の青春 (Psych-Out)

テーマ:映画
嵐の青春 [DVD]
キングレコード
嵐の青春 [DVD]

前回の「白昼の幻想」と同じ1967年(公開は68年?)に同じ映画会社(AIP)によって製作された、姉妹編(*1)ともいえる「嵐の青春」(原題Psych-Out)ですが、なぜか前者にくらべると言及されることがはるかに少ないように思います。しかし、当時のフラワームーブメントやサイケデリックシーンをリアルタイムに題材にした、まさに「カルトムービー」と呼ぶにふさわしい濃い内容で、サイケファンにとっては「白昼の幻想」よりもむしろ必見度は高いのではないかと思います。

なにしろ、舞台はサマーオブラブ真っ盛りのヘイトアシュベリー。主人公はサイケバンドのギタリストで、演じるのはジャック・ニコルソン。音楽を担当したのがStrawberry Alarm Clock(以下SAC)やSeedsで、彼らがスクリーンにも登場して演奏シーンを披露する・・・とくれば、観ないわけにはいかないでしょう。冒頭、SACの"Pretty Song from Psych-Out"が流れる中、ヒロインのスーザン・ストラスバーグがバスでヘイトアシュベリーを訪れるシーンで、いきなりフラワーパワー満開です。

映画作品そのものとしては低予算B級映画であることに異論はないのですが、本作も「白昼の幻想」同様、そのチープな感覚がかえって60sサイケっぽくて、他に変えがたい魅力となっています。それに、背景や小道具のサイケデリックな美術は、ヘイトアシュベリーに並べられていたものをそのまま持ってきたのではないかと思えるくらい違和感のないもの(リキッドプロジェクション等のライトショーの「らしさ」もピカイチ)で、ビクトリアンハウスでの共同生活や、それまでレコードビジネスとは無縁だったバンドが契約やお金のことで俗化してゆくエピソードなど、1967年当時のシスコのサイケデリックシーンをしっかり研究した跡がうかがえて好感が持てます。


ジャック・ニコルソンの「なんちゃってパープルヘイズ」チューン(*2)がイカす!

私なんかが観てて楽しいのは、前回の「白昼の幻想」もそうでしたが、ドラッグを礼讃しているようにとられるとボツにされるおそれがあったため、バッドトリップの怖さを強調するようなエピソードを入れたことが、B級ホラー映画みたいな感触にもなって面白いところです。「白昼の幻想」はロジャー・コーマンのポー作品的ゴシックホラー風、「嵐の青春」はゾンビ映画やヒチコックの「サイコ」風エピソード(当初のタイトル"The Love Children"が、ヒチコックの"Psycho"にあやかって"Psych-Out"に変更されたり、予告編なんかを見ても怪奇/スリラー映画としても客を引こうとしていたことがわかる)。

さて、音楽ですが、"Rainy Day Mushroom Pillow"のようなフラワーっぽい浮遊感のある曲を中心に、全体的にサイケ度の高い充実したものです。アナログのサントラ盤は"The Trip"に劣らず高く評価されているようですが、どうやらCDは発売されていないようです。

サントラ盤ではテーマ曲といえる"Pretty Song from Psych-Out"(SACの68年の2nd、"Wake Up...It's Tomorrow"に収録)は、なぜかSACではなくStorybookというグループの演奏/クレジットになっています。そのほか、印象的な"Beads of Innocence"など、最も多い5曲が収録されていますが、彼らは音楽を担当したRonald Stein(ロジャー・コーマンなどの低予算B級映画の音楽を数多く手がける)の曲をサイケバンド風に演奏するためのスタジオプロジェクトではないかと思われます。(StorybookというのはSACの変名ではないか?という話もあるようですが、私は別のバンド説です。)

いずれにせよ、このグループによる演奏は脱力系の素晴らしい似非サイケチューン(シタールや適度なチープ感もグッド)になっていて、これ以外では聴けないようなので、サントラ盤のCD化が望まれるところです。


"Two Fingers Pointing on You"を演奏するSeeds(上)と、デビュー作の
ジャケそのまんまの衣装で"Rainy Day Mushroom Pillow"を演奏する
SAC(下)。初めて見たときは目が点になった。SACの曲は"Incense and
Peppermints"や"The World's on Fire"も印象的に使われている。


*1
キャスティングもカブっていて、スーザン・ストラスバーグと、その兄役のブルース・ダーンは「白昼の幻想」にも出演しています。また、この映画でもジャック・ニコルソンは脚本を書いたのですが、結局「実験的過ぎる」という理由で監督のリチャード・ラッシュにボツにされてしまったとか。ちなみに、撮影監督はこのあと「イージー・ライダー」を撮るラズロ・コヴァックスで、この映画も「バイカー映画」~「アシッドムービー」→「イージー・ライダー」という流れの中に位置づけられます。

*2
Boenzee Cryqueの"Ashbury Wednesday"。Boenzee CryqueはのちにPocoを結成するGeorge Grantham とRusty Youngが在籍していたバンドで、67年に(2枚の)シングルのみを出しています。


追記: DVDが再発されています。

嵐の青春 [DVD]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
嵐の青春 [DVD]
2006年01月26日(木)

白昼の幻想 (The Trip)

テーマ:映画
白昼の幻想 [DVD]
キングレコード
白昼の幻想 [DVD]

ひさびさの映画ネタです。サイケファンとしてはやはりハズせない、60s二大アシッドムービー(?)の「白昼の幻想」と「嵐の青春」(次回掲載)をまだ紹介してませんでした。この二作はチープオルガン的なセンスをそのまま映像化したような、60s独特のムードを伝えてくれる愛すべき「B級」映画です。

特にこの「白昼の幻想」(原題The Trip)は、かなりの60sファンでも「予想以上にB級な映画だったな」と感じられたのではないでしょうか。それもそのはず、製作・監督が低予算B級映画の帝王ロジャー・コーマンで、それがウリであるトリップ映像を作り出すための「特殊“サイケデリック”効果」にかけられた予算は、たったの1万ドルだったそうです。

ということで、おサイケなシーンはまるで縁日の景品の万華鏡みたいだし、トリップのイマジネーション自体がクラクラするくらいにチープ。ジャック・ニコルソンによる脚本も、主人公のピーター・フォンダがLSDを飲んでトリップするという、ただそれだけのお話です。(監視役のブルース・ダーンが目を離した隙にピーターがラリったまま街に出て行くのですが、勝手に人の家に上がりこんでその家の少女と仲良しになったり、コインランドリーの洗濯機にやたら感動したりと、単なる「ちょっとアブナい兄ちゃん」なのが可笑しい。)

しかし、この映画の魅力は、まさにそのロジャー・コーマン的チープさにあるのであって、それ以前に彼が撮っていたエドガー・アラン・ポーの原作による諸作、「アッシャー家の惨劇」「恐怖の振子」「黒猫の怨霊」「姦婦の生き埋葬」「怪談呪いの霊魂」といった作品のノリが、そのまま60sの風俗を描いたサイケデリック映画に化けて、それがピタリとハマってしまっているところではないかと思います。現在のSFXやらCGやらの技術を使って、もっと「上等な」トリップ疑似体験映画を作ることも出来るかもしれませんが、それではこの映画のような魅力は絶対に味わえないでしょう。


ピーター・フォンダとデニス・ホッパーの「イージーライダー」コンビ。
バックのサイケな美術や60sのファッションを見てるだけでも楽しい。

映画史ダイナミクス的に見ても本作は重要で、ロジャー・コーマンが「脱ポー」作品として若者文化に目を向けた「ワイルド・エンジェル」(1966)が大ヒットし、そこで主役に抜擢されたピーター・フォンダと、ロジャー・コーマンのもとで下積みしていたジャック・ニコルソン(脚本)、そして共演のデニス・ホッパーが出会った本作「白昼の幻想」(1967)が、60sを代表する名作「イージー・ライダー」を生む土台になったのでした。ちなみに、ヘルス・エンジェルスを題材にしたバイカー映画の「ワイルド・エンジェル」が「イージー・ライダー」のヒントにもなっています。

そして、サイケファンにとっては映画本体よりもポピュラーかもしれない、Electric Flag(映画でのクレジットは"The American Music Band")による素晴らしいサウンドトラックも、この映画のもうひとつの魅力です。一度聴いたら忘れられないテーマ曲の"Peter's Trip"や、バッドトリップの幻覚に追われる焦燥感を見事に表現した"Flash, Bam, Pow"など、この名作サントラ盤は、サイケファンはもとより、ラウンジミュージックとかの「おしゃれな」リスナーからも高く評価されているようです。

The Trip: Original Motion Picture Soundtrack
Electric Flag
The Trip: Original Motion Picture Soundtrack


追記: DVDが再発されています。

白昼の幻想 [DVD]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
白昼の幻想 [DVD]

2005年10月23日(日)

キャンディ

テーマ:映画

アスミック
キャンディ

サイケファンにはバーズやステッペンウルフによるサントラ盤のほうが有名かもしれません。(レココレのサイケ特集でも取り上げられていました。) でも、本編の映画も最高におバカで、私は大好きです。

お話は、大学教授の詩人や名外科医やヨガの導師や将校といった権威者たちが、エヴァ・オーリン扮するキャンディの性的魅力の虜になって、リビドー丸出しで彼女に迫るというもの。(映画ではほのめかし程度ですが)最後には父親や神様(仏様)までもがヨロメいてしまうという、ハチャメチャなB級作品です。

出演は、マーロン・ブランド、リチャード・バートン、ジェームズ・コバーン、ウォルター・マッソー・・・という、いまでは考えられないような大物の競演で、加えて、医院長役に映画監督のジョン・ヒューストン、メキシコ人(!)の庭師役にリンゴ・スター、謎のせむし男にシャルル・アズナブールといった豪華なもの。しかも、内容が超B級の脱力系で、彼らがこぞってひとりの少女を追っかけるというアホらしさが素晴らしい。

原作は映画「イージーライダー」の脚本で有名なテリー・サザーンで、60年代らしい、徹底的に権威・権力をコケにしたブラックユーモア的パロディです。本国アメリカでは発禁になったようですが、これに関しては無理もないかなと思います。

映画では原作の風刺性は薄らいでいますが、そのかわりエヴァ・オーリンのキャンディが最高で、天然としか思えないようなアホっぽくて60sフラワーなロリータキャラが爆発しています。宣伝文句に「おしゃれエッチ」というのがありましたが、まさにそんな感じ。キメぜりふの"Why?"が耳について離れません。

それと、リンゴ・スター。この人が画面に登場するだけで(ビートルズ映画みたいな)60sポップな雰囲気になってしまうという、すごいキャラだと思います。(そういえば、最近ビデオで観たフランク・ザッパの「200モーテルズ」にもザッパ役でリンゴが出てましたが、これも超おバカな映画でした。) あと、冒頭のサイケデリックなオープニングと、素晴らしくフラワーなラストも大好きです。


使われてる音楽は、60sの曲ではSteppenwolfの"Rock Me"と"Magic Carpet Ride"、それにByrdsの"Child of the Universe"くらいですが、全編に流れるデイヴ・グルーシンによる東洋サイケ風の楽曲群が、いかにも60sな感じで良いです。ちなみに"Child of the Universe"はByrdsのアルバム"Dr. Byrds & Mr. Hyde"(1969)に収録されていますが、元々はデイヴ・グルーシンとロジャー・マッギンがこの映画のために共作した曲です。また、同アルバムには、この映画のテーマにするつもりで書かれた"Candy"という曲も収められていますが、こちらの方は映画には不採用となりました。


テリー サザーン, メイソン ホッフェンバーグ, Terry Southern, Mason Hoffenberg, 高杉 麟
キャンディ (原作)


The Byrds
Dr. Byrds & Mr. Hyde
2005年07月09日(土)

ブリット

テーマ:映画

サンフランシスコが舞台の映画というと、まず思い浮かぶのがこの映画。ハードボイルド系の刑事アクションで、使われている音楽もほとんどジャズなので、フラワーな感じや60sロックは期待できませんが、60年代のシスコの街の景観や雰囲気がよく伝わってきます。

坂道のカーチェイスシーンは有名ですが、アクション映画として今観ると、ちょっとかったるいかもしれません。でも、私はこういう感じの60sっぽい、まったりとした語り口が大好きなんです。特に好きなのが主演のスティーブ・マックイーンの目。この映画を観るまで、マックイーンは特にどうとは思ってなかったのですが、この目とクールで静かなヒーロー像に惚れてしまいました。


ワーナー・ホーム・ビデオ
ブリット
2005年06月06日(月)

スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー

テーマ:映画

DVD出ましたね。なんかテレビ宣伝もリキ入ってたようで。(一瞬「カツラのCM?」とか思いましたが・・・。)

この映画のテーマをひとことで言うと、「レトロSFの世界を全編CGで作ってみよう!」というもの。1930年代頃のパルプSF誌に掲載されたお話をそのまま映像化したような作品です。下の画像は1930年代頃の米SF誌の表紙を並べたものですが、この手のレトロフューチャー(昔の人が想像した未来像)な感覚が好きな人は必見です。逆にいうと、こういう絵を見てもまったくトキメかない人は楽しめないかもしれません。


ポイントはオールCGというところ。役者の演技はすべてブルーバック合成だそうです。よく知らないですが、デジタルそのもののCGでアナログなレトロ感覚を出すのはかなり難しいことなのではないでしょうか。そのへんをごまかすため?なのか、画面が全体的に暗いのが難といえば難ですが、それも許容範囲で、当初の製作意図はじゅうぶんに成功してると思います。

お話の方は単純なんですが、当時のパルプ(サイエンス)フィクションの感じを出すためには、あまり高級になってしまっては面白くないわけで、チープな感じを保ちながら、目の肥えた今の観客も楽しませるという難しい仕事をそつなくこなしていると思います。こういった趣味的な映画は、入れ込みすぎてひとりよがりになりがちだったりしますが、本作は適度な遊びとユーモアを入れる余裕もあって、観終わったときのスッキリ感も高いものでした。

遊びといえば、全編に昔のSF映画やヒッチコック映画へのオマージュがちりばめられているのも、もうひとつの見どころです。下の画像は新聞記者のヒロインが謎のロボット軍団の襲撃に遭って側溝にカメラを落としてしまい、手を差し込んで取ろうとする場面です。さて、何という映画の一場面から採られたものでしょうか?(ヒント:元ネタでは側溝に落とすのはカメラではなくてライターです。)



上のシーンも日本の某映画へのオマージュが入ってますが、当時の日本の新聞が細部まで違和感なく模されていて感心させられます。そのへんの遊び心と細部へのこだわりを両立させているところがハンパではなくて好感が持てました。(光線銃なんかも真っ直ぐなレーザーでなくて、丸い輪っかの光線がポワポワと発射されるところが嬉しい。)

さて、キャストですが、ヒーロー&ヒロインにジュード・ロウグウィネス・パルトロウ。ヒーローの元カノにアンジェリーナ・ジョリーと、「絵」になるメンツが揃ってます。ジュードとグウィネスは「リプリー」(*1)でも共演してましたが、ほんと、このふたりのツーショットにはホレボレしてしまいます。ふたりにアンジェリーナがからむ画面を見てるだけでも楽しいです。



*1
余談ですが、この「リプリー」、せっかくのジュード&グウィネスなのに、なぜ主役のリプリー(マット・デイモン)をわざわざあんなイケてないキャラにしたのでしょうか? 原作がああいうキャラなのだと思ってる人もいるようですが、まだ「太陽がいっぱい」のアラン・ドロンのイメージの方が近いのでは?



タイトル: スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー プレミアム・エディション
2005年03月27日(日)

ナショナル・トレジャー

テーマ:映画

なぜか「アビエイター」ではなくて「ナショナル・トレジャー」を観てきました。

天才的歴史学者で冒険家の主人公が、父から子へと代々伝えられてきた「国家の秘宝」の謎を解き、その手がかりが合衆国独立宣言書に密かに書きしるされていることをつかむ・・・。というトレジャー・ハンター(宝探し)物のアドベンチャー。

主演ニコラス・ケイジ、製作ジェリー・ブラッカイマーといえば「ザ・ロック」「コン・エアー」と同じ顔ぶれで、ほとんど同じようなノリのアクション・スリラーです。それに加えて「インディー・ジョーンズ」と「ミッション:インポッシブル」と、あと「ダイハード3」のおいしいところを接ぎ合わせたみたいな感じ(ホント!)になってます。

音楽が「コン・エアー」でも担当してたトレヴァー・ラビン(ロック好きにはおなじみの元イエスの人)で、アクション部分は過剰なくらいに音楽で息つかせぬスリラー感を煽るあのノリなんですが、そういうカーアクションとかの「急」だけではなくて「緩」の部分も尺的にはわりとあって、笑いありの恋愛ありの家族ドラマありのと、非常に盛り合わせ感が高いです。しかし、その配分がいい塩梅で、全体的な印象は予想したより軽くてファッショナブルな感じ(悪くいえば薄っぺら)に仕上がってます。

キャストは、ヒロインに「トロイ」のヘレンのダイアン・クルーガー、敵役に「ロード・オブ・ザ・リング」のボロミアのショーン・ビーン、そして狂言回し的な脇役の天才ハッカー役に新人のジャスティン・バーサという旬どころを持ってくる一方、ニコラス・ケイジの父親役に「M:I」にも出てたジョン・ヴォイト、FBI捜査官にハーヴェイ・カイテル、最初にちょこっと出て来るお祖父さん役にクリストファー・プラマーと、渋いところと新鮮なところをうまく配しているのがニクい。

惜しむらくは「ザ・ロック」でコンビを組んだショーン・コネリーがお父さん役だったら、もっと大作感が出てたかもしれない。でも、それだと、まんま「インディー・ジョーンズ」になってしまうので(ほんとに、ラスト近くの洞窟での冒険の父子のやり取りなんてそっくり!)、これはジョン・ヴォイトで正解でしょう。ジョン・ヴォイト(*1)って昔の「真夜中のカーボーイ」とか見る限りでは息の長い役者になるとは思えない雰囲気なんだけど、いい感じに老けましたね。

まあ、けっこう宝探しの謎解きの部分とかで「そんなアホな」というツッコミどころも多いんですが、この手の映画でそれを指摘するのは野暮ってもんでしょう。ハッピーエンドでカタルシスを味わえて、良くも悪くもスッキリと後に引かない、家族で気軽に観れるようなディズニー映画らしい娯楽作品でした。

オフィシャル・サイト:
http://www.movies.co.jp/nationaltreasure/

*1
いまでは、「アンジェリーナ・ジョリーのお父さん」と言ったほうがわかりやすいのかな?
2005年03月20日(日)

ラスベガスをやっつけろ

テーマ:映画

タイトル: ラスベガスをやっつけろ

先月の今日、原作者のハンター・S・トンプソンが自殺したというニュースを聞いたときに、この映画について触れようと思ったのですが、もう一度観てから書こうと思ってるうちに、ちょうどひと月経ってしまいました。

この映画、カタギの人が予備知識なく観たら、わけのわからないB級コメディとしか思えないかもしれません。(カンヌ映画祭ではブーイングの嵐だったそうな。) ひとことでいうと、オヤジふたりが最初から最後までラリってるだけみたいな・・・。でも、これほどドラッグカルチャーの本質を突いた作品は、ほかにはないのではないかと思います。

ところどころに挿入される魅力的な60年代の音楽や映像(*1)とは対照的に、映画の中の今(フラワームーブメントが終焉した70年代初頭)の、ドラッグ文化の生ける屍(ゾンビ)のようなジャンキーの姿を徹底的に醜怪に描くことで、時代とドラッグの関係を鋭く浮き彫りにしています。

60年代のドラッグ文化が特別だったのは、その時代背景があったからこそ。泥沼のベトナム戦争や人種差別やらがあって、体制やそれを支える価値観は悪であり、それらを破壊し、これまではタブーであったことや新しい経験(LSDなど)をすることは正しいことでありパワーであるという、一種のお祭りのような精神的高揚が生んだものだったのでしょう。

しかし、ドラッグが人間の意識を拡大して、人類にあらたな精神的ビジョンを提供する、というような話はファンタジーに過ぎないことがわかってきます。60年代のドラッグ文化が魅力的なのは、特異な時代性(未熟な精神性等の負の要素も含む)によって、そのファンタジーがアートや音楽として奇跡的に具現化したからではないかと思います。本作は、そのような60年代ドラッグカルチャーへの強い哀惜の念を表しています。

原作者であり主人公のラウル自身であるハンター・S・トンプソンは、ゴンゾー・ジャーナリズムの先駆者とされている人です。ゴンゾー・ジャーナリズムとは、本来は客観的で公正中立のはずのジャーナリスト的立場を捨て、自ら取材対象の中に入り込んで同化し、主観的なドキュメンタリーとして記事を書くというスタイル。文学でいうと「私小説」みたいなものでしょうか。


主演のジョニー・デップは撮影前にハンター・S・トンプソン
の付き人をして役作りをし、頭を剃ってまでなりきろうとした。


JAの「ホワイトラビット」でバッドトリップ中のドクター・ゴンゾー
ベニチオ・デル・トロ)。彼もこの役のために20kg太った。


原作者の故ハンター・S・トンプソンもチラっと出ている。


*1
使われている音楽は、ジェファーソン・エアプレイン、ホールディング・カンパニー、ヤードバーズ、ヤングブラッズ、ボブ・ディラン、ブッカーT&the MG's、スリードッグナイト、などなど。60sファンは音楽だけでも楽しめるでしょう。特にラストに流れるニール・ヤング(バファロー・スプリングフィールド)の「エクスペクティング・トゥ・フライ」が美しい。


シスコのMatrixで「あなただけを」を演奏する
ジェファーソン・エアプレイン(のモック)。


こちらはホンモノのグレイトフル・デッドの演奏風景。



著者: Hunter S. Thompson
タイトル: ラスベガス・71 [原作]

関連記事:
(tuboyakiさん)
ラスベガスをやっつけろ/Fear and Loathing in Las Vegas
ハンター・S.トンプソンを偲ぶ集い

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