2006年10月31日(火)

ヘヴィサイケ特集 その24

テーマ:サイケデリック
D.R. Hooker
コネチカットのサイケ職人ことD.R. Hooker(ギター、ボーカル)による"The Truth"(1972)は、70年代の自主制作モノを代表するような名盤。ジャケットからしてサイケ好きには衝動買い必至の様相ですが、内容も期待にたがわぬ「お約束」なアイテムとなっています。

自主制作とはいえ、ソングライティングから演奏、アレンジ、アルバム作品としての出来栄えまで、あらゆる面でハイレベルで、特に、大所帯のバンドによるシンセサイザーや管楽器、エフェクトを多用した多彩なアレンジが印象的です。そうかといって、シンセの音でさえ「手造り」な質感を持った、いい意味での自主制作的なアングラ感覚にも溢れています。

ドリーミーな浮遊感とツブツブとした実在感、神経症的な繊細さと確信犯的コテコテさが同居する楽曲。そして、クールな中にも、カリスマ的な説得力と、不確実で混沌とした「ゆらぎ」を秘めたようなボーカルが素晴らしい。

全編がヘヴィチューンというわけではなくて、ソフトサイケ的な曲も多いのですが、(録音技術的なものやCDの音質にもよるのでしょう、)音像の未舗装感というか、音の輪郭線が鉛筆でいうと2Bで描いた線のような感触なので、「ヘヴィサイケアルバム」という印象になっています。

ちなみに、Subliminal Sounds盤のCDにはボーナストラックとして、1979年発売(録音は1974年)の2nd、"Armageddon"からの6曲が収められています。こちらも"The Truth"に劣らぬ楽曲の質ですが、EL&P風フレーズやらメロトロンやらの英国プログレ風味の曲が混じってくるのが面白いところ。


Dr. Hooker
The Truth



Pulse
こちらもコネチカット出身の6人組。The Bram Rigg SetとThe Shags(もちろんWiggin三姉妹のShaggsとは別)のふたつのバンドの残党を中心に1967年ごろに結成されました。唯一のアルバム"Pulse"のCD(Black Rose盤)の著作権表示に1969とあったのだけを見て、ずっと1969年の作だと思っていたのですが、実はリリースは1972年とのことです。

音はわりと単純明快なブルースベースのヘヴィサイケ~ハードロックで、主にCreamとCanned Heatからの影響が見受けられます。ただ、リードボーカルがマッチョ系なのが、好き嫌いのわかれるところかもしれません。

CDは11月6日に新たにFalloutから再発されます。(↓のジャケ画はBlackRose盤のもの。)


Pulse
Pulse



Yesterday's Children
もひとつコネチカットの6人組(ひとりはLight&Soundのクレジットで、演奏は5人)。こちらは正真正銘、1969年にセイムタイトルのアルバムを一枚残しています。

面白いことに、音はPulseよりも70sハードロック的で、Steven Tylerを思わせる色っぽいボーカルなど、のちのAerosmithを連想させるようなメジャー感覚溢れる強力なヘヴィロックアルバムになっています。

ちなみに、Pebblesコンピなどに収録されている"Wanna Be With You"のYesterday's Childrenとは別のバンドです。


Yesterday's Children
Yesterday's Children
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2006年10月24日(火)

Terry Manning / Home Sweet Home 再発

テーマ:News

Terry Manning
Home Sweet Home

メンフィス・ソウルのスタックス系のエンジニアで、のちにIsaac HayesやZZ Topなどのエンジニア/プロデューサーとして活躍するTerry Manningが1970年にリリースした唯一のソロアルバム、"Home Sweet Home"がCD再発されます。(amazonでの発売予定は11月7日。)

発売元のSunbeamのページには"First time on CD"なんて書かれていますが、実は1997年に日本でCD化されています。しかし、日本盤は長らく廃盤状態だったようで、今回の再発には日本盤にはなかったボーナストラックも3曲収められています。

私はこれまでまったく聴いたことがなかったのですが、ジョージ・ハリスンの "Savoy Truffle"のfuzz-filledカバーだとか、あのBig StarChris Bellがギターで参加していて、これがレコードデビューだとか、「サイケファンもルーツロックファンもパンクファンもガレージファンもソウルファンも気に入るだろう」なんて評を見ると、黙って通り過ぎるわけにはいかなそうです。
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2006年10月19日(木)

ヘヴィサイケ特集 その23

テーマ:サイケデリック
今回からはしばらく、特にテーマを設けずに、思いつき順に取り上げていきたいと思います。


Morgen
ムンクの「叫び」ジャケで有名な1969年発売のヘヴィサイケ・クラシック。一般的にはSteve Morgen(G, Vo)率いるMorgenという(4人組の)バンドという認識ですが、実質的にはSteve Morgenのソロプロジェクトと言っていいでしょう。全編ズビズビ・ジンジンと響き渡るファズギターの嵐で、一部では"the best heavy psych album"と評されています。

普通に、まったりな60sヘヴィサイケとしても楽しめますが、私が好きなのは、いかにも出身地のNYらしい、退廃的・世紀末的なアングラ感覚とパンキッシュさにポップな感性が融合しているところです。スタイルそのものは異なりますがVelvet Underground(Lou Reed)からNew York Dolls、DictatorsやTelevisionなどに通ずるNYパンク/NYアンダーグラウンド独特の「におい」が漂っています。

ソングライティングや演奏が特に素晴らしいというわけではありませんが、退廃と詩情、アングラ感覚とポップさ、繊細さと無骨さが交錯する「まったりサイケパンク」な味わいは格別で、サイケデリックなものもガレージ/パンクなものも好きな私のような人間には、たまらない逸品となっています。

ところで、オリジナルはレア盤で、ローでアングラな感じの音やジャケットのイメージからして完全に自主制作モノかと思いきや、実はメジャー系のABC傘下のProbeから出ています。ProbeはSoft MachineのVol.1~2、The Litterの "Emerge"、Tommy Bolinが在籍したZephyrなどを出していたサイケ寄りのレーベル(1968~70)です。


Morgen
Morgen



Euclid
GaryとJayのLeavitt兄弟(元Cobras)を中心とするメイン州出身の4人組。メンバーのRalph Mazzotaはこのバンドの前にはLazy Smokeに在籍していました。アルバムは1970年の"Heavy Equipment"一枚のみで、オリジナルはジャズ系のFlying Dutchman(Cyrkleの"Minx"を出したレーベル)から発売されています。

音はリリースの1970年という年を象徴するような、60sと70sの橋渡しといった感じで、ファズギターとアシッドロック度の高いトリップ感・浮遊感に、ドライブする70sハードロック的なリフが混じり合った、いわば両時代のヘヴィネスの良いところを取ったような「おいしい」サウンドです。

それを集約しているのがアルバム先頭の約12分の組曲で、ハードロック好きには鳥肌モノのかっこいいリフに始まって、60sヘヴィサイケ/アシッドロック的なまったりとした展開になるところがたまりません。ところどころにヘンテコなエフェクトを用いた、個性的で美しいボーカルハーモニーや、The Whoへのリスペクトの部分なんかも印象的です。スタンダードの"Gimme Some Lovin'"と"It's All Over Now"以外は強力なオリジナルナンバーですが、その2曲のカバーのヘヴィサイケ/ハードロック・アレンジがこれまた素晴らしい。

CDは南アフリカのSkyf Zolから再発されています。


Euclid
Heavy Equipment (リンクはFreak Emporium)



The Wizards from Kansas
その名のとおり、カンサス出身の5人組。しかしながら、音はJefferson Airplane, QMS, Grateful Dead, Charlatansといったバンドからの影響が顕著な、「シスコサイケ・フロム・カンサス」といった趣きです。実際、Mercuryから発売された唯一のアルバム(1970)はサンフランシスコでレコーディングされたようです(Butterfield Blues Band~QMSのMark Naftalinがキーボードで参加している)。

ファズギターの効いたヘヴィサイケ系の曲だけでなく、アコースティックなアシッドフォークチューンやカントリーロック風ナンバーにも、引き込まれるような吸引力があります。オリジナル曲も、サイケ・スタンダードの"High Flying Bird"や "Codine"のカバーも、どの曲も素晴らしい。QMSの1stやKakなんかの名盤と並べて聴いても、まったく違和感のないような一級品のサイケデリックアルバムです。Kakなんかと同様、一見普通っぽいサウンドなんですが、好きな人には「聴けば判る」たぐいの音です。オススメ!

ちなみにRockadelicから2003年に"Still in Kansas"という未発表曲集がアナログLPで発売されています。(CDはまだ出ていないようですが・・・。)


The Wizards from Kansas
The Wizards From Kansas

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2006年10月16日(月)

ソフトロック紙ジャケシリーズ第4弾

テーマ:News

ジェントル・ソウル
ジェントル・ソウル(紙ジャケット仕様)

こちらのNewsスレでは恒例となったソニーの「ソフトロック【紙ジャケット・完全生産限定盤】シリーズ」ですが、その第4弾が10月18日に発売されます。今回の目玉はあのGentle Soulの紙ジャケ化(国内初CD化)と、ボーカルのパメラ・ポランド嬢の1972年のソロ作(世界初CD化)でしょう。

Gentle Soulはボーナストラックを含め、Sundazed盤CDとまったく同じトラックリストになっていますが、別項に「パメラ・ポランドへのインタビュー・ボーナス・トラック収録 」と記載されているので、それ以外にエクストラトラックが収録されているのかもしれません。パメラのソロは、こちらで試聴する限りでは、Gentle Soulとはまったくイメージの違うスワンプ系SSWみたいな感じになってますが・・・。(Gentle Soulの過去記事はこちら。)


パメラ・ポランド
パメラ・ポランド(紙ジャケット仕様)

そのほかには・・・、

「太陽に歌って」のヒットで知られるゲイル・ガーネット嬢が男性4人組のGentle Reignを従えて1968年に制作した、「アン・オーディエンス・ウィズ・ザ・キング・オブ・ワンズ」と、「サンフランシスコ郊外のサウサリートをテーマにヒッピーのカウンター・カルチャー・ムーヴメントを音によって表現するという大胆なコンセプトのアルバム」というサイケデリックなセカンドアルバム、「サウサリート・ヘリポート」。


ゲイル・ガーネット&ザ・ジェントル・レイン
アン・オーディエンス・ウィズ・ザ・キング・オブ・ワンズ(紙ジャケット仕様)


ゲイル・ガーネット&ザ・ジェントル・レイン
サウサリート・ヘリポート(紙ジャケット仕様)


1984年に発表されたゲイリー・アッシャーのソロプロジェクトといえるCelestiumの「サンクチュアリー」は、「プログレッシヴなサウンドのなかにビーチ・ボーイズやミレニアムに通ずるコーラス・ワークがからんでとても夢幻的な雰囲気をかもし出したアルバム」だそうな。80年代のサジタリアスと呼べるのか?


セレスティアム
サンクチュアリー(紙ジャケット仕様)


ディーン・マーティンの息子のリッキー・マーティンが1977年にエピックに残したアルバム「ビーチト」(プロデュースはビーチボーイズのカール・ウィルソン。ヴァン・ダイク・パークスやシカゴのピーター・セテラ、ジェイムス・パンコウ、ウォルター・パラザイダーなどが参加)。


リッキー・マーティン
ビーチト(紙ジャケット仕様)


「オールド・ファションド・ラヴ・ソング」の作者のポール・ウィリアムスがポートレイト・レーベルに残した唯一のアルバム、「ア・リトル・オン・ザ・ウィンディ・サイド」。


ポール・ウィリアムス
ア・リトル・オン・ザ・ウィンディ・サイド(紙ジャケット仕様)

以上、全7タイトルで、Gentle Soul以外はいずれも世界初CD化となっています。(詳しくはSony Musicのページで。)
2006年10月11日(水)

サイケデリック番外地 その2

テーマ:YouTube
中近東編。


トルコのジミヘン?こと、Erkin Koray。無性にハマります。



南米サイケ同様、トルコ語も「空耳」の宝庫。響きにどこか
日本語に近いものがあります。「見る目あるな~ハジけな~♪」




最近の?ライブ。なんだかメタルも入ってますね。
「明日にゃな~、シャム住むよ~♪」




レコードジャケットギャラリー。トルコの
CDも日本みたいに「帯」があるのですな。




トルコのジョーン・バエズ?こと、Selda Bagcan(セルダ・バージャン)。
映像だけ見るとフラワーな感じなのに、音はコテコテの中近東なのが面白い。




最初観た時、目が点になりました。トルコ版「月光仮面」??
“PSYCHEDELIC TURKISH SUPERHERO!”と書いてありますが…。
スゴい、主題歌?がIron Butterflyのガダダヴィダだ!




今年5月に亡くなったエジプト生まれの世界的ウード奏者。
トルコ勢が濃すぎたので、なんだかホッとする。


2006年10月05日(木)

第44回 Maitreya Kali

テーマ:無人島サイケ

Maitreya Kali
Apache/Inca (試聴可)

ひさびさの無人島ネタです。

Maitreya Kaliというのはアメリカ人青年の変名で、オリジナルは1971~72年に発売された"Apache"と"Inca"の二作。同時期に個別のタイトルと、ふたつ併せた2枚組のLPが少数プレスされました。CDは後者の体裁で、2001年にShadoksから2枚組が出ています。ショップでは「ヒッピー・アシッド・フォークサイケ大名盤」なんてキャッチフレーズで売られている、そのスジの基本アイテムです。

ヒッピー・アシッド・フォークサイケ」という文句はイメージをうまく伝えていると思いますが、さらに詳しくいうと、大別して「ヒッピー・アシッド・フォーク」な部分と「ポップ/ソフトサイケ~フォークロック」な部分のふたつの側面が混ざり合っていて、それがこの2枚のアルバムの最大の特徴になっています。

前者の側面はアシッドフォークの代表作であるDino Valenteのソロ作(1968)やAlexander 'Skip' Spenceの"Oar"(1969)などの系統のもので、ほとんどがアコギによる弾き語り。後者はStrawberry Alarm ClockやWest Coast Pop Art Experimental Bandなどを連想させるポップ/ソフトサイケから、Byrds~Buffalo Springfieldのようなカントリー風味のフォークロックまでの、60年代後半のバンドサウンドです。

不思議な(と最近まで思われていた)のは、アシッドフォークの部分が、ドリーミーで虚無的で世捨人的で宗教的で、どこかサトリを開いたような穏やかさを保ちながらも、一歩踏み外すとヤバいような危うさ、狂気の一歩手前のような不気味さを湛えているのに対して、バンドによる楽曲は、耳について離れないような親しみやすいメロディを持ったポップさやメジャー感覚を備えていて、サイケはサイケでも両者はかなり異質な響きがすることです。

その謎がほぼ完全に解明されたのはつい2年ほど前のことで、2004年にSundazedから"Not the Freeze"というタイトルでCD化された、Penny Arkadeというバンドのアンリリースド・アルバムの「大発見」によるものでした。

もともと、Maitreya Kaliというのは60年代後半にモンキーズやグレン・キャンベルらに曲を提供(*1)していたCraig Smithという人物で、バンドによる楽曲群は1965~67年ぐらいに録音されたものらしい、と推測されていました。"Not the Freeze"で明らかになったのは、Penny ArkadeというのはそのCraig Smithが在籍していたバンドで、1967~68年にモンキーズのMike Nesmithのプロデュースによる楽曲群を録音していて、Maitreya Kaliのアルバムの約半分のトラックは、この未発表音源をそのまま自分のソロとして流用していたものだったということです。

"Not the Freeze"の最初の7曲(約30分)はMaitreya Kaliに使われたもので、 "Color Fantasy", "Voodoo Spell", "Swim"の3曲は"Apache"に、"Lights of Dawn", "Country Girl", "Thesis", "Not the Freeze"(Maitreyaの表記は"Knot the Freize")の4曲は"Inca"に収録されています。というわけで、最初にPenny Arkadeを聴いたときは、「おお、Maitreya Kaliそのものではないか!」と思われることでしょう。Maitreyaのポップさ、メジャー感、カントリー風味といった一面は、マイク・ネスミスがプロデュースしていたということでうなずけるような気がします。

さすがにMaitreyaが自作に選んだトラックは頭ひとつ抜けて素晴らしいのですが、それらに倍する他の楽曲群も、彼のファンとしては、そのバックグラウンドを知る上でとても興味深いものになっています。このPenny Arkadeのことは、新版の"Fuzz, Acid and Flowers"にもまったく載っていないので、サイケデリック考古学的にはかなりの大発見だったのではないでしょうか。(Sundazedのページではツタンカーメン王の墓の発見に例えて自画自賛しています。)


The Penny Arkade
Not the Freeze

*1
"Apache"に収録の"Salesman"は1967年のモンキーズのアルバム"Pisces, Aquarius, Capricorn & Jones Ltd."の先頭に収められていて、"Inca"収録の "Country Girl"はグレン・キャンベルが歌っています。(その他Andy Williamsなどにも曲を書いている。) そのおかげで、かなりの額の印税を手にしたようで、その金を元手に世界中を放浪する旅に出たのちにアルバムを発表しています。旅から戻った彼の様子は以前に増して風変わりになっていたそうで、1970年前後に録音されたと思われる「アシッドフォーク」な一面は、そのような状況で制作されています。

2006年10月02日(月)

"Fuzzy Floor" オープン

テーマ:News
このたび、当ブログ付属のウェブショップ、Fuzzy Floorを開店いたしました。サイケなお買い物に是非ご利用ください。

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