2005年09月29日(木)

JA共祭 その16

テーマ:サイケデリック
さて、そろそろ持ちネタも尽きてきたようなので、このへんでひとまずお開きにしたいと思います。たぶん、「あ、これ忘れてた」というのがありそうですが、それはまた思いついたときにアップすることにします。Fairport ConventionとかPentangleなどの英国トラッド系や、ソフトロック勢にまで手を伸ばすと収拾がつかなくなりそうなので、それらはまた別の機会に・・・。

以下は「JA共祭」の前に当ブログに載せた女性ボーカル入り(または男女混声)バンドの記事へのリンクです。(別ウィンドウで開きます。)

Jefferson Airplane

Big Brother & the Holding Company

Mamas & the Papas

Mojo Men, Vejtables

Peanut Butter Conspiracy

We Five

Music Emporium

Ultimate Spinach

Ill Wind

The United States of America


最後に、ソフトロック系の男女混声グループの愛聴盤をいくつか、amazonへのリンクのみで載せておきます。(これらに関する情報は多いと思うので、詳細は割愛します。)


ロジャー・ニコルズ & ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ
ロジャー・ニコルズ & ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ


ソルト・ウォーター・タフィー
ファインダーズ・キーパーズ


The 5th Dimension
The Age of Aquarius


フリー・デザイン
カイツ・アー・ファン


エイス・デイ
オン

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2005年09月27日(火)

JA共祭 その15

テーマ:サイケデリック
Rotary Connection
「ラヴィン・ユー」の故ミニー・リパートンが在籍していた男女混声グループ。ポップス、ソウル、ロック、ジャズ・・・といった幅広い形態にサイケデリックな味付けをしたスタイルがユニークです。ただ、リアルタイムでほとんど売れなかったのが先進的なフュージョン性にあったにしても、ミニーがメジャーになってからもあまり評判にならないようなのも、そのようなハイブリッドなスタイルが、バンドの長所であると共に、明確な方向性を弱めるという短所にもなっているからなのかもしれません。

シタールやファズギター、まったりとしたトリップ感などのサイケな要素も多いのですが、概して60年代ポップス的なアレンジが主体で、オーケストラアレンジもやや過剰気味だったりするのが、コアなサイケファンにはツラいところかもしれません。それでも私はけっこう手が伸びて聴いてしまいます。これはやはり素晴らしくキュートなミニーのボーカルの魅力によるものでしょう。最もフラワーな黒人女性ボーカリストのひとりであるということに異論はないと思います。

アルバムは67年から71年までに6枚ほど出ていますが、私はロックのスタンダードのカバーを多数含んだ、デビュー作および4枚目の"Songs"(1969)をよく聴きます。(2ndの"Aladdin"はほとんどがオリジナル曲。Fuzz, Acid & Flowersで、"...one of the very few examples of psychedelic Christmas songs. Imagine Silent Night with distorted guitars! "と評されている3rdの"Peace"は残念ながら未聴です。)


Rotary Connection
Rotary Connection


The Children
テキサス出身の男女混声バンド。ソフトロックからヘヴィサイケまで、さまざまに色合いを変えながら、緻密で複雑な展開をする前プログレ的な楽曲が最大の特徴です。しっかりしたアレンジのストリングスが入ってたりと、メジャー級のバンドにも劣らぬ丁寧なプロダクションのソフトサイケの佳作です。

Gear Fabから出ているCDは、唯一のアルバム"Rebirth"(1968)に加え、前半に前身バンドのStoics, Argyles, Mind's Eyeからの音源、後半にThe Childrenの未発表音源を収録したコンピレーションです。女性ボーカルが加わる前の前身バンドが、まったく色合いの異なるガレージパンク系の音なのが面白い。


The Children
Rebirth
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2005年09月25日(日)

JA共祭 その14

テーマ:サイケデリック
The Fool
ご存知、ビートルズのサイケ仲間、オランダのデザイナー集団のザ・フールです(*1)。でも、彼らの(唯一の)アルバム(1969)を聴いたことある人はそれほど多くないのではないでしょうか? 自分が最近まで聴いたことなかったので、そう思えるだけかもしれませんが・・・。

内容は、びっくりするほど素晴らしいというものでもありませんが、予想以上に充実した佳品でした。サイケデリックというよりフラワーミュージックといった方がぴったりする、ジャケットをそのまま音にしたようなチャーミングなアルバムです。スタイルはIncredible String Bandをもっとフラワー&ポップにしたようなエスニック・フォークで、ウードやタブラといった東洋系の楽器にバグパイプが加わるという、怪しげでサイケなトラッド感覚が面白い。プロデュースはHollies~CS&NのGraham Nashで、CDは今年Rev-Olaから2曲のボーナストラック入りのものが出ました。


The Fool
The Fool

*1
60年代後半にオランダから英国に渡り、Beatles, Cream, Hollies, Incredible String Bandなどのアート制作に携わりました。最も有名なのはビートルズのアップル・ブティックの壁画やジョン・レノンのロールス・ロイスへのサイケなペイントでしょう。アルバムジャケットでは、The Moveの1st。Holliesの"Evolution"、ISBの"5000 Spirits or the Layers of the Onion"なども彼らの仕事です。ちなみに、アルバムのレコーディングメンバーは男2人+女2人の4人組。


Magic Carpet
これは完全に意表を突かれてしまいました。英国のバンドの1972年の作ということで、よくある女性入りのトラッドフォークかプログレ系だろうと高をくくっていたのですが、開けてびっくりの超コアなラーガ・サイケデリアでした。

ラーガロックが売りの60s米国サイケバンドでさえシタールを使ったような曲はアルバムに数曲ということが多いのですが、このバンドのメンバーにはシタール奏者とタブラ奏者がいて、最初から最後までビョ~ンビヨ~ンのシタールとポンポコスッポコのタブラのラーガサウンド攻め! 一点集中主義のピンポイント攻撃。ありそうで、なかなかなかった世界遺産級の逸品です。

しかも、その音に素晴らしくフラワーな女性ボーカルが乗っかるので、好きな人間にはたまらないものがあります。まったりとしたアシッド感覚なども60年代アメリカのサイケ&フラワーに近いもので、「英国サイケはちょっと・・・」という方も抵抗なく聴けると思います。オススメ!


Magic Carpet
Magic Carpet


Reign Ghost
カナダのトロントのグループで、カナディアンサイケでは有名どころのChristmasのリーダーのBob Brydenが、Christmas結成以前に率いていた男女混声バンドです。音はファズギター+チープオルガン+フラワーな女性ボーカルという、本場の米国産よりもホンモノっぽい、まったりとしたアシッド感覚あふれる王道サイケです。

クライマックスはラスト2曲で、(単に男女がハモるのではなく)自由にリードを歌い合うというJAスタイルのボーカルや、ギターとオルガンがユニゾンでテーマを奏でるといった(私好みの)ツボをしっかりと刺激してくれます。強烈な個性こそありませんが、ファンには安心して聴ける一枚で、私はChristmasよりもむしろこちらの方を愛聴しています。

アルバムはこの1969年のセイムタイトルと、(未聴ですが)もう一枚"Reign Ghost: Featuring Lynda Squires"というクレジットのセカンド(1970)が出ています。

追記:
その後セカンドも聴きましたが、前作に勝るとも劣らぬ内容で、とても70年の音とは思えない、音数の少ない隙間だらけの素晴らしいアシッドフォークロック作品でした。


Reign Ghost
Reign Ghost
(試聴はこちら。)


Reign Ghost
Reign Ghost Featuring Lynda Squires
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2005年09月20日(火)

JA共祭 その13

テーマ:サイケデリック
Shocking Blue
ご存知オランダのグループですが、これはちょっと意表をついたのではないでしょうか。最近もテレビCMに使われた世界的大ヒット曲の「ヴィーナス」(全米1位、日本2位)とか、特に日本でヒットした「悲しき鉄道員」(全米102位、日本2位)とかで、(バブルガム的)ポップス・グループのイメージが強いのではないかと思います。

でも、特に"At Home"(1969)などのアルバム作品を聴いてみると、その出来の良さというか充実感に驚かされます。ファズギターやチープオルガンやシタールが入ってたり、(米国)Nirvanaがカバーした"Love Buzz"のようなJA譲りの東洋風ナンバーなど、サイケデリック的にもじゅうぶん楽しめます。日本のグループサウンズの感覚にも近くて、私は大好きなバンドです。

ちなみに、こちらのサイトに90年代の(Mariska Veres嬢の)写真がありますが、夢を壊したくない人は見ない方がいいかもしれません。

ヴィーナス AT HOME+SCORPIO’S
ザ・ショッキング・ブルー
ヴィーナス AT HOME+SCORPIO’S


Os Mutantes
60年代ブラジルのトロピカリズモを代表するグループ。(70年代も音を変化させながら活動。) トロピカリズモというのは、いわばブラジル版フラワームーブメントで、当時の(不穏な)政治情勢と結びついた若者主体の文化運動です。のちにソロで活躍し、「ブラジル・ロック界の女王」と呼ばれるRita Leeが在籍していました。

彼らの1968年のデビュー作をはじめて聴いたとき、多かれ少なかれ衝撃を受けなかった人はいないのではないか、それくらい強烈なインパクトを持っています。私も(いくらかボッサ経験があったにもかかわらず)、聴き終わってほとんど茫然自失状態で、「目からウロコ」のカルチャーショックを受けました。

ごくごく単純化していえば「ボッサロック版サージェントペパーズ」なんですが、英米の数あるサージェントペパーズ・フォロワーのアルバムを軽く凌駕して、遥かな高みに到達してしまっています。「カーニバルの余興で遊び半分に吹き込んでみました」みたいな軽いノリとハプニング性が、先鋭的で変化と陰影に富んだ緻密なアルバム作品に結晶化しているという、ほとんど奇跡のような作品です。しかも、なにより明快にポップであるところがスゴい。そして、その圧倒的なメジャー感! 一連のビートルズ作品と並べて聴いても違和感がないくらい。アバンギャルドとアングラが結びつくことはあっても、これほどアバンギャルド性とメジャー感・ポップ感が一体になったアルバムは、数少ないのではないかと思います。サイケ感覚も極上!

Os Mutantes
Os Mutantes
Os Mutantes


Aguaturbia
「南米のジェファーソン・エアプレイン」と呼ばれたチリ産ヘヴィサイケバンド。デビュー作の"Psychedelic Drugstore"(1969)は"Somebody to Love"のカバーで始まるというわかりやすさです。女性ボーカルが色っぽくて、"Erotica"(これもわかりやすい)という曲なんか、かけてるところを人に聞かれると恥ずかしくなるような「エクスタシー・ナンバー」。

JAのカバーのほかにも、"Rollin' and Tumblin'"やGFRの"Heartbreaker"、
"Crimson and Clover"のアシッドロック風カバー(10分超)、モロにZep風の曲と、けっこう節操がないのですが、普通ならアマチュアっぽくなってしまうところが、彼らの場合は英米ロックへの純真な憧れに聞こえて好感が持てます。

訂正: "Psychedelic Drugstore"は1993年にリリースされたコンピレーションで、セルフタイトルのデビューアルバム"Aguaturbia"(1969)とセカンドの"Volume 2"(1970)からの楽曲を集めた編集盤でした。

Complete Tracks + 3
Aguaturbia
Complete Tracks + 3
2005年09月16日(金)

JA共祭 その12

テーマ:サイケデリック
Snow
クリーヴランド出身の、男性4人+女性1人の5人組。"Psychosis from the 13th Dimension"というヘヴィーサイケのコンピレーションに、"Songs of the Sirens"という曲が収録されていたのを先に聴いていて、その曲がかっこいいブリティッシュハードロック風のリフにママス&パパスみたいな男女コーラスという、ちょっと変わったスタイルだったのが強烈に印象に残っていました。

昨年(2004年)CD化された唯一のアルバム(1968)を聴いてみると、モロにハードロックな曲はそれ一曲だけで、全体はサンシャインポップ系ソフトサイケという雰囲気でした。イメージとしては5th Dimensionを少し風通し良くして、ややサイケ寄りにしたような感じ。

ときおり「ほんとに68年?」と思わせるようなエッジの立ったハードなギターが聞こえてきたり、SagittariusやMillenniumにも通じるような、(単なるサンシャインポップに終わらない)ひとひねりした先進的なソングライティングがユニークです。曲のクオリティもアレンジも、かなりハイレベル。たまに、「ん?どっかで聞いたことあるぞ」というフレーズが出てきたりするのはご愛嬌ですが・・・。


Snow
Snow


Stoned Circus
カンザスシティで結成された6人組。そのうち女性が2人で、ひとりはドラム担当という、ちょっと変わった編成です。(まぎらわしいですが、Stone Circusとは別のバンド。) 1970年に録音された唯一の作品は1994年にRockadelicから限定盤LPで発掘されるまで未発表で、昨年ドイツのWorld in Soundから"Revisited"のタイトルでCD化されました。

1970年というと、ちょうどサイケデリアからハードロックへの過渡期の頃で、Zepなどのハードロックに影響を受けながらも、いまだに60年代をひきずっているような音のバンドがかなり存在した模様です。このStoned Circusはそのようなバンドの典型で、ハードロック的なリフとサイケ的なファズ&オルガンサウンドが渾然としているのが特徴的です。Zep版の"(Babe I'm) Gonna Leave You"をカバーしてたり、インスト曲の中に"Whole Lotta Love"のフレーズが出てきたりと、モロにLed Zeppelinからの影響が窺える一方、Iron Butterflyそっくりのコテコテのリフが飛び出したりするところが面白い。(ちなみに、男女ボーカルはJA風です。)




Sapphire Thinkers
西海岸のグループで、女性1人を含む5人組。1968年に"From Within"というアルバムを一枚残しています。ファジーなギターやチープ系のオルガン等サイケ色の強い演奏にママス&パパス的な男女のハーモニーが乗っかるという、Peanut Butter Conspiracyタイプのバンドで、曲も演奏もアルバムの出来も、かなり上等の部類です。

クールでモダンな感じやウェストコーストロック的な響きがする曲(フルートが入ってたりして、これもなかなか良い)が混じったりしますが、基本はIron Butterfly的なヘヴィなリフ+清澄で美しい男女コーラスという面白いサウンドで、個人的にはかなり好み系です。




Love Exchange
16歳の歌姫Bonnie Bluntのキュートな歌声とチープなオルガンが売りのLA産ポップサイケグループ。一部ソフトロックファンから、「ダサい」「下品だ」「バカっぽい」と散々に言われているようですが、お洒落でハイブラウなソフトロックファンの嫌う部分が、逆におサイケ的には美味しかったりします。

60年代初期の脳天気なガールポップと、60年代後半の流行りのサイケサウンドを無理矢理くっつけたようなチープなノリが素晴らしい。ただ、ジャケはどうにも触手が伸びないと思いますが・・・。プロデュースはNeighb'rhood Childr'nなどを手がけたLarry Goldberg。


The Love Exchange
Love Exchange

2005年09月13日(火)

JA共祭 その11

テーマ:サイケデリック
前回It's a Beautiful Dayの名前が出たのですが、そういえば「無人島サイケ」のシスコサイケ特集でも取り上げてなかったので、今回は「おっと忘れてた」シスコのバンドを二題。

It's a Beautiful Day
ユタ交響楽団のソリストだったDavid LaFlammeのバイオリン+ボーカルと、女性ボーカルのPattie Santos(1989年に自動車事故で逝去)を中心とする男女混声バンド。1969年のデビュー作はデッドの"Live/Dead"やQMSの"Happy Trails"など、一連のシスコクラシックスと並び称される名作です。

一般のロックファンにも、ユニークなバンド名と鮮烈な美ジャケ、そしてDeep Purpleの"Child in Time"のイントロの元ネタ(というかそのまんま)の"Bombay Calling"で、わりと有名ではないでしょうか。しかし、シスコサウンドに免疫のない人が、ジャケの爽やかなイメージと西海岸のグループという予備知識だけで買って、胃もたれ(重症の場合は胃痙攣)を起こしたような症例が多々あった模様です。なんといってもシスコサイケですから・・・。

内容は、特にLPでいうA面の密度が高く、バイオリンのピチカートのイントロから男女ボーカルがテーマをハモる導入部がゾクゾクする超名曲の"White Bird"から、哀愁まったりな"Hot Summer Day"、そして詞がちょっと怖い"Girl with No Eyes"へと至る展開が秀逸です。それに比べてドラムソロが入ったりするB面はやや退屈という評も見かけますが、デッドとかの(シスコサイケの)時間感覚にピタリとハマる人にはまったく問題ないでしょう。

この後も、ジェリー・ガルシアが参加した2ndの"Marrying Maiden"(1970)、3rdの"Choice Quality Stuff"(1971)、そして"Live at Carnegie Hall"(1972)・・・と作品を発表しますが、カントリーナンバー(1stはフィドル入りバンドなのにカントリー風味の曲がないことが画期的だったと思う)やグッドタイムミュージック、ロックンロールチューンなどを配合したためにアルバムの質が拡散してしまい、結局デビュー作を超える作品は生み出せませんでした。


It's a Beautiful Day
It's a Beautiful Day


Great Society
このバンドを忘れてたら叱られそうです。なんといってもJefferson Airplane参加前にGrace Slickが在籍していたバンドであり、JA定番のヒット曲"Somebody to Love"(原題は"Someone to Love")と"White Rabit"は元々Great Societyのオリジナル曲であったことは有名です。(後者はGrace作。前者はGraceの義弟のDarby Slick作。)

グループは(当時)Graceの夫だったJerry Slick(*1)(ドラム)と、その弟のDarby(ギター)を中心としたファミリーバンドのようなもので、はっきり言って曲も演奏もアマチュア並です。しかし、そういうことはこの際ほとんど関係なくて、その音源は65~66年当時のシスコサイケ黎明期のアンダーグラウンドの香りを伝えてくれる貴重なものです。

主なCDタイトルは、65年のスタジオ録音(デモ、シングル)を収録した"Born to Be Burned"と、66年のMatrixにおけるライヴを収録した"Collector's Item"が有名です。前者は1995年に新たに発売された発掘音源、後者はJAがメジャーになってGraceが有名になってから1968年に2枚のアルバムに分けてリリースされたものをまとめたものです。


Great Society
Born to Be Burned


Grace Slick & the Great Society
Collector's Item


*1
Fuzz, Acid & Flowersの記事にはDarbyがGraceの夫であるような記述がありますが、誤りでしょう。
2005年09月09日(金)

JA共祭 その10

テーマ:サイケデリック
Victoria
これはちょっとびっくりしました。1971年のリリース(オリジナルは200枚程度のデモプレス)ということで、それほど期待してなかったのですが、音はコアな60sサイケそのもので、全編というわけにはいきませんが、女性入り60sサイケデリアの理想に近いものでした。イメージとしては初期のMoby GrapeやQMSにフラワー度の高い女性ボーカルを入れて、もっとアングラにしたみたいな感じ。(アシッド感はこちらの方が濃いくらい。ちなみにバンドは東海岸のニュージャージー出身です。)

リーダーのGreg Rubanがベトナムに徴兵される直前に制作し、帰還後にデモ盤を持ってヨーロッパに渡ってバイクでプロモートの旅をしたという記事があるので、録音自体は60年代末なのかもしれません。67年のサマーオブラブ真っ盛りの頃のような、まったりとした時間感覚とトリップ感が素晴らしい。C.A. Quintetとまではいきませんが、時折どことなく現実離れしたような響きのホーンが入ってくるところなども個性的。オススメ!

CDは最近ドイツのShadoksから再発(1997年に前身レーベルのSeven Little Indiansから特製ジャケ限定盤が発売)されましたが、日本のAmazonでの発売は9月19日となっています。なお、同名バンドがいくつかあるようなのでご注意ください。


Victoria
Victoria
(試聴はこちら。)


Under Milkwood
西海岸のバンドで、CDのクレジットによると録音は1970年のサンフランシスコとのことですが、1969年制作説もあるようです。音はバイオリンを抜いてホーンを入れたIt's a Beautiful Dayといった趣きですが、ややモダンな感じで、70sロックの感覚に近い、前プログレ的な響きがするものです。シスコサイケ的なインプロが展開されたりしますが、アシッド感はあまり高くありません。(女性ボーカルの声はなかなか美しい。)

アルバムはA&Mから発売される予定でしたが、結局テストプレスのみでリリースされませんでした。プログレ風のジャケットは、デザイナーの二人の名前がイタリア人っぽいので、おそらくイタリアのAkarmaから再発されるときに新たに描かれたものでしょう。


Under Milkwood
Under Milkwood


High Treason
これも記事やクレジットによって発売が1969年と1970年にわかれているようです。どうでもいいことのようですが、1969年作と1970年作ではかなりイメージが違います。それだけこの時代の変化が激しかったということでしょう。

バンドはフィラデルフィア出身で録音はニューヨークということですが、JA風の男女ボーカルの掛け合いやチポリナ風のギターがシスコサウンドを連想させます。しかし、ハープシコードが入ってたり、曲の途中でツンタカ・ツンタカなコテコテのジャズに展開したりするところが変わってます。

こちらもシスコサイケ的な要素はあってもアシッド感はあまり高くありません。これはやはり演奏する者のサイケ感覚によるものなのでしょう。歌も演奏も標準以上なのですが、その上手さが逆にサイケ感・アシッド感を減殺させているような印象もあります。


High Treason
High Treason
(試聴はこちら。)

2005年09月07日(水)

JA共祭 その9

テーマ:サイケデリック
Rose Garden
フラワーポップなヒット曲"Next Plane to London"(一度聴いただけで「ネクスト プレイン トゥ ロンドン、ホニャラララン~」と口ずさみたくなるようなチャーミングな曲)で有名な西海岸のグループ。しかし、アルバムの中ではこの曲はむしろ異質で、ほとんどは「ほんとに68年の録音?」と思うくらいにモロ初期バーズなフォークロックです。(1965年のバーズに女性ボーカルを入れたみたいな感じ。)

しっかり12弦(エレキ)ギターも入ってて、バーズのカバーこそないものの、Gene Clark作の2曲("Till Today", "Long Time")やディランの"She Belongs to Me"のバーズ風カバー、バーズもカバーしているトラディショナルの"(I Know You) Rider"(グレイトフルデッドのバージョンが有名)など、初期バーズへのリスペクトを素直に表出しているところが清々しい。押し出しの強さや強烈な個性はありませんが、それだけにファンには安心して聴ける一枚です。


Rose Garden
The Rose Garden


Earthen Vessel
ミシガン出身のクリスチャンサイケ系(例によって詞が"I've been walkin' with my lord, I've been talkin' with my lord"みたいな)バンド。1971年の作品とのことですが、こちらもとても71年物とは思えない「3年遅れて来ました」風60sサイケ丸出しの音です。

おそらく当時ハードロックが流行っていたからでしょう、タイトルに"Hard Rock:"と断り書き(のように見える)を入れて、ジャケットにも大書してあるところが強烈なB級感を醸し出しています。(B級SF映画の邦題にありがちな「SF!異次元よりの来襲」みたいな。)しかも、肝心の音の方はハードロックというより、もっさりとしたファズ効きまくりの60s風ライト級ヘヴィサイケなのが面白い。

最大の個性はゴスペルっぽく朗々と歌い上げる男女のコーラス(このバンド以前はゴスペルのコーラスグループにいたらしい)で、ヴァニラファッジみたいな濃いボーカルが苦手な人にはあまりお勧めできません。(ラストの"Get High"なんて、デラニー&ボニーかと思うくらいのゴスペル調南部スワンプロック。)個人的には結構ハマりましたが・・・。


Earthen Vessel
Hard Rock: Everlasting Life


Touch
セントルイスのローカルバンド(男性3人+女性1人)で、唯一のアルバム"Street Suite"(1969)のオリジナルは百枚くらいしかプレスされなかったそうです。しかし、B級っぽい感じはあまりなく、演奏もオリジナル曲もメジャー級で、JA風の"Rainbow"などは本家に引けを取らないくらいの表現能力に唸らされます。これは、Cream, Steppenwolf, Holding Company, Iron Butterfly, Hourglass(Allman Brothers)といった一流どころのオープニングをつとめた経験によるものでしょう。アルバムで主流のブルースロック的な曲も、なかなかパワーがあってカッコイイ。

ただ、このGear Fab盤のCDには問題があって、手違いか何かでオリジナルアルバムからの"Beginnings"(Track9)と"Get a Gun"(Track10)の2曲が抜け落ちてしまっていて、曲名のクレジットも9曲目以降がずれてしまっているようです。(裏ジャケットのクレジットは全17曲なのに収録曲は15曲。)


Touch
Street Suite
2005年09月05日(月)

JA共祭 その8

テーマ:サイケデリック
Chrysalis
レココレのサイケ特集号で、「・・・NY出身のバンドによる不思議な作品。ポップともフォークともブルースともつかない・・・まるで組み立て方を間違えた玩具のよう・・・紅一点のナンシーのはらはらと散る花のような歌声も印象的・・・一度体に進入すると中毒を引き起こす。注意されたし。・・・」といったソソられる評が書かれていて、ずっと聴きたいと思っていたChrysalisの"Definition"(1968)ですが、ようやく今年(2005年)英国Rev-OlaからCDが発売されました。(アナログは10年ほど前に再発されたようです。)

で、聴いて最初に思ったのは、「これはAMGのレビュアーが好きそうだな・・・」でした。と思って見てみたら案の定、星4つ半の高評価。買う前に見たネットの記事でも、たいてい絶賛されていました。でも、正直言うと、最初に聴いたときはいまひとつハマるところまではいきませんでした。これはたぶん、期待が大きすぎたのと、自分が勝手に思い描いていたイメージとちょっと違ったことが原因ではないかと思います。

もっとプリミティブでルーツ志向のヘロヘロな感じの音を予想していたのですが、むしろ一般的な米国サイケよりも英国プログレやジェスロ・タルとかフランク・ザッパの作品に近い、かなり作り込まれた完成度の高い音という印象でした。"Dr Root's Garden"などはマザーズの曲と言っても疑われないかもしれません。(実際、ザッパは彼らのファンで、アルバムをプロデュースする寸前までいっていたそうで、のちにリーダーのJ Spider Barbourはザッパのレコーディングに参加しています。)

でも、人に紹介するためにあらためて聴き直してみると、前とはイメージが違って聞こえて、かなり積極的に好きになりつつあります(特にCountry JoeがStrawberry Fieldsを歌ったみたいなメランコリックな曲)。やはり名盤といわれるだけあって、曲も演奏も内容も素晴らしい。いいかげんなもんですね。天然モノばっかり聴いているうちに、耳が上等な音に不感症気味になってたのでしょうか。いかんいかん。(そういえば最近ザッパとか全然聴いてないな・・・。)

音盤紹介中心のブログやってて、こんなこと言うのもどうかと思いますが、特にサイケって聴く時々の状態とかメディアによって全然違う印象に聞こえたりするので、あまり他人の言うことは信用しない方がいいかもしれません。(「聖典」のFuzz, Acid and Flowersの評にも首肯しかねることが多いと感じる今日この頃・・・。)


Chrysalis
Definition
(試聴はこちら。)


Gentle Soul
こちらも、わりと最近(2003年)CD化されて、発売当時はけっこう話題になってました。厳密に言うとRich StanleyPamela Pollandの男女デュオなんでしょうが、男性3人+女性1人のグループとしてジャケ写真に写ってたりするので、この特集に入れさせてもらいます。

内容はもうほとんど語る必要ありません。これぞ60sフラワーミュージックの極致! ジャケットをそのまんま音にしたようなピュア&イノセントのパラダイス。驚異のワンダーランド! 男性ボーカルのナイーブさと女性ボーカルのフラワーさのコンビネーションでは史上最強ではないでしょうか。(グループ活動の3年間を通じて、二人の間にはまったく男女のロマンティックな関係がなかったとのことで、そのへんが異世界的ピュア&イノセントさの秘密になっているのかもしれません。)

先頭のバロック風室内楽を使った、もっさりとした"Overture"(序曲)からパラダイスムード全開! ブレイクなしでパメラ作の名曲"Marcus"につながる展開には、多くのフリークが涙したことでしょう。そのあとも怒濤のフラワー攻撃。夢見心地からハッと我に返って「オレはこんなものを聴いていて大丈夫なのか?アブナくないのか?」と自問したくなるような別世界異次元アナザーワールドにトリップできます。ある意味、そのへんのサイケサイケしたバンドよりも実はサイケデリックなのではないかと思ったりします。(スタイルそのものはバロック・フォーク・ロックという感じ。)

自主制作に毛が生えたような作品のように思われるかもしれませんが、その反対にプロダクションはメジャー級のもので、Terry Melcherのプロデュースのもと、参加ミュージシャンは、Ry Cooderのギター、Larry Knechtelのキーボード、Van Dyke Parksのハープシコード、Hal Blaineのドラム、Jack Nitzscheのストリングアレンジ・・・と超豪華。ということで、バックの演奏がしっかりしてる上にCDの音質も素晴らしい。思わず神棚に祀って拝みたくなるような、およそ60sフラワーな音楽が好きな人は絶対に持ってなきゃいけないような、必殺・即死アイテムです。

ちなみに、一時期、森の中で瞑想するため(マジです)行方不明になっていたリックの代役として、パメラの昔馴染みだったJackson BrowneがGentle Soulのメンバーとして参加していたことがあります。(ボーナストラックには彼が書いた未発表曲"Flying Thing"が収められています。)


Gentle Soul
Gentle Soul
(試聴はこちら。)

なお、パメラは70年代以降もソングライティングやソロ作などを発表していて、現在は(ハワイの)マウイ島に住んで音楽活動を続けています。彼女のオフィシャルサイトで試聴できます。70年代以降のパメラは別人みたいな歌声になってて驚きますが・・・。

追記:
誤解を招きそうなので書き加えておきます。リック・スタンレーはGentle Soul以前にベトナムに従軍した経験のある人で、いわば世間知らずのお嬢さん的な現実逃避ではなく、普通人が経験したことのないような過酷で矛盾に満ちた現実を経験したがゆえに、それを超越するような新たな(精神)世界を積極的に模索しようとしたのでした。これは60年代フラワー文化の本質でもありまして、本作が60sフラワーの精華のような響きがしたり、強力なトリップ感をもつのは、そういう基盤があるからではないかと思います。
2005年09月02日(金)

JA共祭 その7

テーマ:サイケデリック
この特集、8月いっぱいで一応打ち切るつもりでしたが、まだまだネタが尽きそうもないので、しばらく続けたいと思います。よろしくお付き合いください。(レビュー書くために音源を探して聴き直すのが楽しかったりするもんで・・・。)

Fifty Foot Hose
シスコのバンドで、グレイトフル・デッドのエンジニアだったダン・ヒーリーのプロデュースによるアルバム"Cauldron"を1967年に制作しています。音は電子楽器を使用した実験的な色合いの濃いもので、女性ボーカルの声がフラワーなところとか、実験的でありながらポップなところ、アルバム作品としての内容も素晴らしいところなど、The United States of Americaとかなり近い雰囲気があります(制作時期も同じ頃)。

むしろ楽曲自体の実験性・アバンギャルドさではこちらのほうに軍配を上げる人も多いかもしれません。ネオサイケの作品と並べて聴いても違和感がないようなモダンな響きもします。しかし、CD(全16曲入の盤)のボーナストラックではベタベタなシスコサイケをやってたりするのが面白いところ。("Bad Trip"という、タイトル「そのまんま」の曲もあります。)

遠くからヘリがしだいに近づいてくるようなオシレーションの2分に及ぶフェイドインから、現代音楽風のイントロに続いてフラワーな女性ボーカル(名前がNancy Blossom!)が登場する冒頭の展開は、数あるサイケアルバムの中でも最も印象的なもののひとつでしょう。

なお、リーダーのCork Marcheschiは1995年に新生Fifty Foot Hoseを立ち上げ、1997年に"Live & Unreleased"を、1999年にはスタジオ作の"Sing Like Scaffold"を発表しています。


Fifty Foot Hose
Fifty Foot Hose


Fifty Foot Hose
Sing Like Scaffold


Six Feet Under
ニュージャージー出身のガレージサイケバンド。グループ存命中にアルバムは発表されませんでしたが、8曲のスタジオテイクと5曲のホームレコーディングにライブとシングルとラジオスポットを加えたコンピCD"In Retrospect 1969-70"が1998年に発売されました。

アルバム作品となるはずだったスタジオテイクは、プレ・ハードロック風のリフを奏でるファズギターにハモンド系オルガンやフラワー度の高い女性ボーカルがからんだりする若々しい演奏がなかなか魅力的で、しっかりとしたプロデュースの元でアルバムが発表されていればと残念に思います。

ホームレコーディングの方はまだ女性メンバーが加入していない時のもので、典型的なティーン・ガレージ・サイケという趣きです。一年くらいの間に見違えるように進歩したことが良くわかります。(CCRバージョンの"Suzy Q"やアイアンバタフライの"In-A-Gadda-Da-Vida"のコピーが微笑ましい。)

ところで、このバンドの二代目のドラマーはのちにBon JoviのオリジナルメンバーとなるTico Torresで、バンドがレコード契約を目指しているときに「技量が足りない」(当時ティコは17歳くらいだった)という理由で辞めさせられたのですが、彼らの中で成功して名声を得たのはティコだけだった(彼は画家としても名を成している)というのは皮肉です。

ちなみに、ボンジョビのメンバーが在籍していたからといって、デスメタル系の同名バンドとはまったく無関係で、ほかにも"Six Feet Under"と題するドラマなんかを目にしますが、その意味は「土葬するときに棺を埋める深さ」です。


Six Feet Under
In Retrospect 1969-70

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