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2005年08月30日(火)

JA共祭 その6

テーマ:サイケデリック
今回は三大(男女混声)西海岸サンシャイン・ポップという感じのグループの紹介です。

Love Generation
サマー・オブ・ラヴ真っ只中の1967年夏にデビューした男4人・女2人のコーラスグループ(演奏はほとんどスタジオミュージシャンによる)。ママス&パパスをさらにピュア&イノセントにしたみたいな、絵に描いたようなサンシャイン・ポップです。

ともすると、コマーシャルでバブルガムポップ的な響きが、底が浅いような印象を与えるかもしれませんが、いかにも60sというフラワーな極上ポップスは、ママス&パパスやモンキーズ好きの私としてはかなりツボにハマります。一曲の中で、哀愁をたたえたメランコリックな曲調と、明るく爽快な曲調が自在に転調するような楽曲群が特に好きです。サイケ度は低いですが、コーラスハーモニーやオーケストラアレンジがとても美しくて麻酔的に気持ち良いので、ある意味トリップ感のようなものも味わえます。

なお、「ソフトロックAtoZ」の初期の版(最近の版は持ってないので不明ですが)に、「2枚目のアルバムを発表した後、ツアー・バスが事故を起こしバーラー兄弟を除く4人のメンバーが全員死亡してしまうというなんともショッキングな事件が起こり、彼らの3rd『Montage』は残った2人のメンバーだけで制作された。」との記述がありますが、バス事故云々の部分はまったくの作り話で、「Totoのバンド名の由来は日本のトイレ」というのと同じたぐいのデマだそうです。(「ソフトロックAtoZ」の初期の版にはこのような誤った記述が多いので注意が必要です。)

オリジナルアルバムは1967年から68年の間に3枚が出ていますが、CDは現在のところ2種類のコンピレーション(ベスト)のみのようです。


The Love Generation
Love and Sunshine: The Best of the Love Generation


The Love Generation
Let the Good Times In: The Best of the Love Generation


Sunshine Company
女性1人+男性4人の5人組。Love Generation同様、67年から68年の間に3枚のアルバムを出してます。(こちらもCDはコンピが2種類。)

MillenniumやBallroomのCurt Boettcher作品("I Just Want to Be Your Friend", "If You Only Knew")をはじめ、Roger Nicholsの"Just Beyond Your Smile"、Beatlesの"Rain"、Dino Valentiの"Let's Get Together"など、カバー曲が結構多いことと、アレンジを含めて全体的に地味な感じがすることで、いまひとつ明確な個性に欠けるような印象ですが、ほんわかとしたムードやナイーブな感じの男性ボーカルなど、私は結構気に入ってます。Les Baxter作の"It's Sunday"は名曲。


Sunshine Company
The Best of the Sunshine Company


The Sunshine Company
Sunshine Company


October Country
女性1人を含む6人組で、唯一のアルバム(1968)は、West Coast Pop Art Experimental BandのメンバーだったMichael Lloydのプロデュースとソングライティング(全曲)によるものです。こちらはメンバーが演奏しているようで、チープで薄っぺらい感じがサイケ的な雰囲気を出しています。

マイケル・ロイドは同年に、The Smokeというプロジェクトのアルバムも制作しており、October Countryのアルバムと"Cowboys and Indians"(ポップサイケの名曲!)および"October Country"の2曲が重複して収録されています。こちらのThe Smokeもソフト(ポップ)サイケの名盤として有名です。


October Country
October Country

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2005年08月28日(日)

JA共祭 その5

テーマ:サイケデリック
The Ballroom
もちろん、Millenniumの前身、Curt BoettcherのBallroomです。メンバーはカート・ベッチャー、ミシェル・オマリー、リー・マロリー、ジム・ベルの4人。1966年に録音された幻の未発表アルバムからの11曲と、デモやシングル等の同数のボーナストラックを収録したCDが、"Preparing for the Millennium"というタイトルで1998年に発売されました。

カートによると、ゲイリー・アッシャーがBallroomなどの音源にストリングスや他の楽器をかぶせてほとんどの部分を作り上げたのがSagittariusの"Present Tense"ということで、このコンピでも"Would You Like to Go", "Musty Dusty", "Another Time", "Keeper of the Games", "I'm Not Living Here"(後者3曲はデモ音源)といった、Sagittariusでお馴染みの曲を聴くことができます。

フラワーでポップなのにプログレッシブでサイケな響きがするというのも、ミレニウムの前身というのに恥じないところ。特にコーラスアレンジやそのエフェクトによるトリップ感が強力な鎮静作用を持っているので、ソフトロックファンだけでなく、ぜひサイケファンにも聴いてほしいと思います。なぜこんな素晴らしい内容のアルバムがボツになって発表されなかったのか、ロック界の七不思議に入れたいくらいです。

そうそう、忘れてましたが、未発表アルバムからのトラック"Would You Like to Go"や"Magic Time"等にメロトロンが使われているのでした。しかも、よく考えてみたらこれらが録音されたのは66年後半。ということは最初にメロトロンが使われたナンバーだと思っていたムーディブルースの「サテンの夜」よりも早いではないですか! さすがはカート・ベッチャー、やることがいちいち進んでます。しかし、未発表だったので「未公認参考記録」というところでしょうか。

CDは現在廃盤になっているようですが、オークションなどで結構よく見かけるので、入手はそれほど難しくないと思います。


The Ballroom
Preparing for the Millenium

なお、女性メンバーのミシェル・オマリーは、Micheleというクレジットで、カート・ベッチャーの全面協力による"Saturn Rings"(1969)というソロアルバムを出しています。基本はアシッドフォーク系SSW的作品で、静かに飛翔していくようなトリップ感や、バロックポップ風の風通しの良い室内楽器が気持ちいい、これも素晴らしい内容のソフトサイケ作品になってます。(特にフィドルとタブラをフィーチャーした東洋風アシッドフォーク曲が印象的。)

"Would You Like to Go", "Song to the Magic Frog", "Spinning, Spinning", "Musty Dusty"といったBallroom/Sagittarius作品が再録されていて、Ballroomでは控え目だった彼女のフラワーな歌声が堪能できます。CDはSagittariusのBlue Marbleとカップリングされたブート(?)が出ていますが、こちらのほうは入手が難しいかもしれません。(追記: 正規にCD再発されました。)




Eternity's Children
こちらもカート・ベッチャー関連の有名なグループで、彼のプロデュースとコーラスアレンジによる1st(1968)は、ほとんどカート・ベッチャー作品と言ってもいいようなメランコリックで浮遊感あふれるソフトサイケアルバムになっています。(SagittariusのBoettcher/Mallory作品"You Know I've Found a Way"がカバーされてたりで、余計にそのような印象が強い。)

不安感を喚起しながら痺れるような鎮静感をももたらす"Again Again"に始まり、ハイライトはソフトロックとサイケデリアの最高にヒップな融合の"Mrs. Bluebird"。そして、強烈なファズギターが複雑な展開を縫うように駆け巡るママス&パパス風サイケポップのラストナンバー"Sunshine Among Us"まで、目くるめくような魅力に溢れた佳品です。

2ndの"Timeless"(1968)はなぜかカナダのみでリリースされたのですが、カートと離れて、パッと霧を晴らしたように明るくポップな極上ソフトロック作品になっているのが面白いところ。(まるで別のバンドのようです。) ソフトロックファンからの人気は絶大のようですが、ファズギターやチープオルガンやトリップ感といったサイケ的な要素は皆無に近くなっているので、サイケファンには物足りないかもしれません。(純粋なソフトロックも好きですが、Curt Boettcher大好き人間なので、やはり個人的には1stの方がお気に入りです。)

なお、CDは1stと2ndにシングル曲のボーナストラックを追加した2on1が出ています。未聴ですが、今年2月にシングル曲を集めたCDが発売されました。


Eternity's Children
Eternity's Children


Eternity's Children
From Us Unto You: The Complete Singles
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2005年08月26日(金)

JA共祭 その4

テーマ:サイケデリック
Search Party
宗教サイケというとYahowa 13のようなカルト教団のものと、キリスト教関係のグループが布教したり資金集めのためにレコードを出したりするタイプとに大別されますが、このSearch Partyの唯一のアルバム"Montgomery Chapel"(1969)は、後者のようなクリスチャン・サイケ系の中では最も有名なタイトルではないかと思います。

I feel you in the mountains
I feel you in the sea
I feel you all around me, Lord
Oh Lord, speak to me

という先頭の歌詞なんかはまさに「主よ、汝の御心のままに我はあらん」みたいな雰囲気なんですが、かといってクワイア系とかゴスペル系のフォークソングのようなノリを期待すると、みごとに裏切られます。クリスチャン系とはいえ、怪しげなカルトのようなものはいっぱいあるわけで、このグループがどのような活動を行っていたのかは不明ですが、その怪しさはハンパではありません。

ダウナー系の「どサイケ」ナンバーは言うに及ばず、子供が吹くピアニカのように不器用で心細いオルガンとか、危うい感じのハンドベル(?)とバッキングの女性の声がまるで70年代のB級オカルト映画のサントラのように響いたりとか、チープオルガンに乗った無辜で清澄な男女コーラスが急に狂気の一歩寸前のような不安定なメロディを歌い上げたりとか、バロック時代の教会カンタータみたいなクラシカルな曲が、突然、歪んだファズギターが鳴り響くへヴィサイケ曲(しかもその女性ボーカルのスタイルが尋常ではない)に続いたりとか、その変態度はC.A. Quintetの"Trip Thru Hell"をはるかに超えるほどです。

それらだけでもじゅうぶんサイケでアシッド感満々なんですが、なんといってもその真骨頂は、彼らは本当に森の中で精霊を見た(と信じている)のではないかと思わせるような、メンタリティそのものがサイケデリックであるところでしょう。しかも、彼ら自身は純真でイノセントであることが、独特の異様な世界を作り出しています。

私はもちろんドラッグ体験もないし、特定の宗教に帰依したこともありませんが、「普段は見えないもうひとつの世界」の存在を信じています。サイケデリックミュージックはそんな世界を垣間見させてくれる重要なメディアなのですが、本作はそのような「石の下に隠れているもの」に光を当ててくれるようなイマジネーションに充ちています。

このような美しくも怪しい音を記録することが出来た60年代というのは、やはりスゴい時代だと思います。どんなにオルタナやニューウェーブやパンクやアバンギャルドの人たちが過激な音を出そうとも、この天然のナマナマしさにはかなわないでしょう。全サイケ者必聴の名盤!

なお、CDは韓国のMerry-Go-Roundから紙ジャケ仕様のものが出ています。


Search Party
Montgomery Chapel


Serpent Power
シスコの詩人David Meltzerとその奥さんのTina Meltzerを中心とする七人編成のグループ。詩人がリーダーのサイケバンドというとEd SandersのFugsを連想しますが、こちらはFugsのようなアバンギャルドな感じではなく、とても聴きやすいフラワーなフォークロックになってます。

Davidが歌うBlonde on Blonde期のディラン風ナンバーも良いのですが、Tinaの歌うメランコリックな曲が特に印象的です。彼らを見出したのはC.J. & FishのマネージャーのEd Dentonで、ファズギターは聴けないものの、チープオルガンが入ってたり、最後の曲が13分強のラーガロック風ナンバーだったりで、サイケ度もなかなかのものです。

Serpent Power名義のアルバムは1967年の一作のみ(未発表だった2ndは1998年にリリース)ですが、翌68年にDavid and Tina Meltzer名義で"Poet Song"というアルバムを制作しています。こちらは前作以上にTinaの歌う曲が素晴らしく、日本人の心の琴線に触れるような叙情的なメロディが、管弦楽器入りのバロック・フォークロックといった趣きで奏でられます。言っては悪いですが、交互に入る旦那の詩の朗読チューンがなくて全編彼女の歌だけだったら・・・。いや、それがかえってアクセントになって彼女の歌を引き立てているのかもしれないので、これで正解なのかもしれません。


Serpent Power
The Serpent Power


Serpent Power/David & Tina...
Serpent Power/Poet Song


Grodeck Whipperjenny
James BrownのブレーンのDave Matthewsによるプロデュース(キーボード奏者としてもクレジット)の1970年アルバムで、James BrownのPeopleレーベルから発売されました。黒っぽい音で、スタイルをひとことで言うとプログレッシブ・アシッド・ファンクという感じでしょうか。しかし、エコーの効いた強力に歪むファズギターやエフェクトなんかが、とてもサイケデリックです。

女性ボーカルの声はパワーがあってソウルフルなんですが、声質やちょっと音程が外れる感じなんかがグレース・スリックに似てるので、男女が絡むコーラスではJAっぽい雰囲気もあります。1970年という時代もあるのでしょう、インプロがサイケとプログレの過渡期のような展開をするのが興味深いところです。

まったく予備知識がなかったので、初めて聴いたときは予想外の素晴らしい内容に驚きました。特に、初期Funkadelicが好きな人なんかは気に入ると思います。


The Grodeck Whipperjenny
The Grodeck Whipperjenny
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2005年08月23日(火)

JA共祭 その3

テーマ:サイケデリック
The Yankee Dollar
西海岸出身の6人組で、"Let's Get Together"をカバーしてたりして、基本は男女混声の初期JA風フォークロックなんですが、最大のウリはCountry Joe & Fishの1stみたいな激チープオルガンが入ってること。先頭の"Sanctuary"なんか「JAミーツ"96 Tears"」という感じで、オルガンとギターのユニゾンのチープなリフが涙ものです。

時折入るファズギターも激しく強力で、ラストナンバーの"Johann Sebastian Cheetah"でのチープオルガンとの絡みは愛好者昇天必至の逸品。激チープオルガン+激歪ファズギター+女性ボーカルと三拍子揃ったお気に入りタイトル(1968)です。オススメ!


The Yankee Dollar
The Yankee Dollar


Birmingham Sunday
レココレのサイケ特集号の巻頭グラビア「究極のレア盤コレクション」に、大きくジャケ写真が載っていたので見覚えがあるかもしれません。バンドはネバダ出身の(女性ボーカル一人を含む)6人組で、プロデュースはStrawberry Alarm ClockのプロデューサーのBill Holmes。オリジナル盤はテストプレスされた数枚しか存在が確認されていないようです。

最大の個性は全編にメロトロンが入ってること。私が知る限り、最初にメロトロンを使用したロックアルバムは1967年のMoody Bluesの"Days of Future Passed"なので、67年末に制作された(発表は68年)この"A Message from Birmingham Sunday"は、もしかしたらアメリカで最初にメロトロンを使用したロックアルバムかもしれません。音のほうも、特に先頭の曲なんかMamas & PapasミーツMoody Bluesという感じになってます。いまひとつメリハリに欠けるきらいもありますが、音像の充実感は高く、全体的には良質なポップサイケアルバムといえる作品です。CDは1998年にAkarmaからアナログ起こしの(?)ものが出ています。

追記: Millenniumの前身のBllroomが1966年末の録音でメロトロンを使用していました。しかし、これは近年発掘されるまで未発表だったので先駆者とは言えないかもしれません。


Birmingham Sunday
A Message From


Insect Trust
このバンドも非常に個性が強くて、ひとことでは説明しにくいのですが、あえて言うならプログレッシブ・ルーツ・ロックという感じでしょうか。かなりナマな感じのルーツミュージックやトラッドフォークをベースにしているのですが、メンバーに管楽器(サックス)がいて、英国のカンタベリー系のプログレのようなジャズっぽいソロを展開したりするところが変わっています。女性ボーカル(Nancy Jeffries)は曲によってJoan Baezみたいに聞こえたりSandy Dennyみたいに聞こえたりする魅力的な声で、Fairport Conventionをアバンギャルドにしたような印象もあります。

デビューアルバムは1968年のリリースですが、とてもこの時代の作品とは思えないような斬新なイメージで、時代が早すぎたバンドと言えるかもしれません。1970年のセカンド("Hoboken Saturday Night")はグッドタイムミュージック志向が強くなり、前作より聴きやすくなった感もありますが、やはり凡百のバンドとは一線を画するような「冴え」を感じます。60sサイケファンよりむしろ70sロックファンに受けそうな音かもしれません。


Insect Trust
Insect Trust


The Insect Trust
Hoboken Saturday Night
2005年08月21日(日)

JA共祭 その2

テーマ:サイケデリック
Spike Drivers
このバンドは大好きで一時ハマりまくってたんですが、今見たらAmazonで売ってないみたいで、ちょっとショックです。準基本のアイテムだと思ってたもんで・・・。

音は一見、原初型のフォークロックで、女性ボーカルが入った初期Beau Brummelsといった雰囲気なんですが、どっこい、扉を開けてみたら地下に向かう階段が延々と続いていた・・・という趣きで、曲調は結構フラワーな感じなのに、ちょっとヤバいくらいにアシッド感が強いのが最大の特徴です。

ノリも非常にアシッドロック的まったり感の強いもので、完全にあちらの世界にイッてしまってるようなトリッピーさとか、微妙に音程のズレるボーカルとか、耳に付いて離れない奇妙な中近東風メロディーとか、ベルベットアンダーグラウンドに通じるようなダウナー感覚とか、ハンパでないファズギターの強烈さとか、とにかくコアなサイケファンも涙なしでは聴けないようなツボが満載のお勧め盤です。

デトロイト出身で、Repriseからシングルを何枚か出したものの、バンド存命中にアルバムは出しておらず、"Folkrocking Psychedelic Innovation from the Motor City in the mid 60s"という長ったらしい題名の唯一の(?)タイトルは、1965年から1968年までの録音を収録したコンピレーションです。(下の画像リンクはFreak Emporiumへのもの。)




Ivory
プロデュースがJefferson AirplaneのプロデューサーのAl Schmittということで、「本家JAフォロワー」という感じでしょうか。メンバーは西海岸出身で、ギター+オルガン+女性ボーカルのトリオ編成です(ベースとドラムはスタジオ雇いでしょう)。アルバムは1968年に一枚のみを残しています。

女性ボーカルはシグネ時代のJAの"Chauffeur Blues"な感じ。それに良く鳴るオルガンと、かなり歪んだファズギターを足したようなサウンドが主流です。ジャズっぽい色合いとオルガンがハモンド系なこともあって、女性ボーカルを擁する英国プログレ系のオルガンロック的な響きもあります。なんとなくハイソできちんとしてて「上等」な印象で、それほど楽器の音数は多くないのですが、豊かでドラマティックな感じがします。しかし、全編に鳴り響く強力なファズギターがサイケ度を高くしている印象です。アルバムの出来もA級品!


Ivory
Ivory


Haymarket Square
こちらはシカゴ出身の、男性三人(ギター、ベース、ドラム)+女性ボーカルという編成のバンドで、同じく1968年に"Magic Lantern"という一作のみを残しています。しかし、音は前者とは対照的にスカスカでチープなもので、アルバムの曲数が全6曲ということからもわかるように、ほとんどが7~10分という長尺ナンバーです。

"Train Kept a Rolling"をカバーしていて、後期ヤードバーズとかクリームなどの英国プレ・ハードロックをかなり意識している模様です。かなりまったりとしたインプロとかドラムソロなんかが入っていて(しかも稚拙な感じ)、そのへんの大味でスカスカな演奏に素晴らしくフラワーな女性ボーカルが乗っかってくるのが変わっていて、ほかにはあまり無いような強烈な個性になっています。


Haymarket Square
Magic Lantern

2005年08月19日(金)

JA共祭 その1

テーマ:サイケデリック

先日の13日はJefferson Airplaneのデビュー40周年記念日(1965年8月13日の金曜日、シスコのMatrixのオープニング・ナイトが初ステージ)だったということで、JAデビュー40周年記念特別企画「JA共祭」を開催したいと思います。

どういう企画かというと、要するにJAフォロワーなバンドの特集をしようということでありまして、それだけだと(すでにいくつか紹介してるし)すぐにネタギレになりそうなので、以前「無人島サイケ」で連載したママス&パパスフォロワーの続編もかねて、単に「女性ボーカルが入っているグループ」というユルいくくりでやっていきたいと思います。

おそらく、千差万別・玉石混交なラインナップになると思いますが、フラワーな女性ボーカルが入ってるというだけで批判能力を失ってしまうタチなので、そのへんはご容赦ください。60s好きの人は、多かれ少なかれ同様の症状があるのではないかと勝手に思っているのですが・・・。

Neighb'rhood Childr'n
JAフォロワーといえば、まず思い浮かぶのがこのネイバーフッド・チルドレン。オレゴン出身のバンドですが、サマー・オブ・ラヴ全盛の1967年にシスコに出て、モロに当地のサイケデリックムーブメントの洗礼を受けたアルバム(1968)を制作します。特にJAからの影響は顕著で、"Long Years in Space"などはJA譲りの東洋風サイケの名曲。

途中、「オズの魔法使い」の"Over the Rainbow"のカバーでズッコケそうになったり、全体的には演奏も曲もアルバム作品も、とてもA級とは言えない感じなんですが、時折抑圧されてない強烈なファズやオルガンが響き渡ったりして、かえってネイティブのシスコサウンドよりナマで純真なサイケ感覚が面白かったりします。

なお、下に挙げたCDは現在入手可能なコンピレーションで、オリジナル・アルバム全曲に、未収録だった多数のボーナストラックを追加したものです。(曲順は私の持ってるオリジナル盤?のCDとは異なりますが。)


The Neighb'rhood Childr'n
Long Years in Space


Bow Street Runners
ノース・カロライナのガレージ・サイケ・バンドで、1970年に発表した唯一のアナログ盤は激レアアイテムだとか。発表当時はほとんど話題にならなかったようですが、1970年の音とは思えないので、録音されたのは1968年ごろかもしれません。

このバンドも曲の質が不均一な感じで、練れてないブルースロック曲やブラス入りのR&Bナンバーなどが渾然としているのですが、最大の魅力はフラワー&イノセントなフォークロック調の曲から一転、ダウナーなサイケチューンで鳴り響く強力なファズギターやチープオルガンにあります。女性ボーカルの声のフラワー度も最高峰!


The Bow Street Runners
The Bow Street Runners


Growing Concern
このバンドは男性五人+女性ボーカル二人という編成で、どちらかというとママス&パパスに近いフラワーポップという趣きなんですが、曲調がメロウサイケ風のマイナーチューンが目立ったり、間奏でアシッドロックぽいインプロが展開されたりして、じゅうぶんサイケデリックと呼べる音です。(JAのカバーで有名なFred Neilの"Other Side of This Life"も入っています。)

ソフトロック風の曲も多く、サイケファン、ソフトロックファン、ポップスファンのいずれも楽しめるような「一粒で二度おいしい」アルバムです。全体に流れるムードや迷いのない溌剌とした演奏も素晴らしく、なによりも、最高にフラワーな女性ボーカルのハーモニーを聴けるだけでOK!でしょう。


Growing Concern
The Growing Concern
2005年08月17日(水)

Vassar Clements (1928-2005)

テーマ:News

昨日(8月16日)、フィドル・プレーヤーのヴァッサー・クレメンツが亡くなりました。享年77歳。ご冥福をお祈りします。(→オフィシャルサイト

ヴァッサーはブルーグラス界の人ですが、ナッシュビルのセッションミュージシャンとして数多くのロックグループやシンガーソングライターのアルバムに参加しているので、ロックファンでたくさんCD持ってる人は、知らないうちに聴いたことがあるというくらいの大御所の人です。サイケデリック関連ではグレイトフル・デッドのアルバムWake of the Floodなどでバイオリンを弾いているのもこの人です。

ヴァッサー関連のお勧めアルバムは、Jerry Garcia, David Grisman, Peter Rowan, John Kahn, Vassar ClementsというメンバーのOld & in the Wayというバンドで、スタイルはアコースティックな純然たるブルーグラスなんですが、普通のロックファンが聴いても違和感がないくらいノリはロックな感じです。デッド関係のメンツなので、Workingman's DeadAmerican Beautyの延長としても聴くことができます。


Old & in the Way
Old & in the Way (1975)


Old & In the Way, Jerry Garcia, David Grisman
Breakdown: Live Recordings 1973
2005年08月14日(日)

第33回 Silver Apples

テーマ:無人島サイケ

Silver Apples
Silver Apples/Contact

電子音楽サイケといえばこのユニット。各時代、さまざまなジャンルに巨大な影響を与え続けるパイオニア的存在で、アバンギャルドなのにポップでおバカ、最高にユニークで脳ミソ溶解なサイケデリックミュージックです。

編成はザ・シメオンという謎の電子楽器(オシレーター)を操るシメオン氏と、ドラム担当のダニー・テイラー氏の二人組で、基本的には二人の演奏に二人の歌+適当に散りばめられたサウンドコラージュというスカスカな音。しかし、本質は60sサイケそのもので、デジタルな電子音楽やテクノとは質感の異なる、線の太いアナログ感覚溢れるものです。

私が最も愛好するのは、ベタな歌メロや、チープなリコーダーやバンジョーなどが顔を覗かせる「60sサイケのお約束」的な部分で、実験的な精神とそのへんのおバカっぽいノリが天然に混じり合っているところが良いです。


先頭に挙げたCD(UK盤)は"Silver Apples"(1968)と"Contact"(1969)の全二作を完全収録した2on1で、音質も良好です。
2005年08月13日(土)

第32回 The United States of America

テーマ:無人島サイケ

The United States of America
The United States of America

このタイトルは基本中の基本ですね。サイケデリック・クラシックスみたいな特集では、必ず最初の方に名前が挙がるような名盤です。

リーダーのJoe Byrdは現代音楽を大学で教えてたりしたインテリな人で、このバンド(プロジェクト)の唯一のアルバムである本作(1968年)は、サイケデリックに電子音楽的な実験を盛り込んだ意欲作です。というと、眉をしかめて聴くような小難しい音を想像されるかもしれませんが、まったくそんなことはなくて、チャーミングな女性ボーカルがフロントなので、ジェファーソン・エアプレインみたいな感じで聴けます。

ピヨピヨな電子楽器や実験的なサウンドコラージュなども多用されていますが、あくまでも最大の魅力はDorothy Moskowitzの声と、わかりやすくて耳に残る印象的なメロディにあります。ビートの効いたロックナンバーや、60sサイケ特有の脱力チューンもしっかり収められていて、決して頭でっかちな感じはしません。

アルバム作品としての完成度も高く、明らかに意識していると思われるビートルズのサージェント・ペパーズとか、ザッパの出来のいいスタジオ作を聴いたときのような「傑作感」が漂っています。サイケの世界では、そういうのが必ずしも良いものの基準になるわけではありませんが、この作品に関しては素直に傑作と言えるような内容です。

試聴はこちら
2005年08月11日(木)

第31回 ? & the Mysterians

テーマ:無人島サイケ
最近ちょっとマニアックな方向に走りがちなので、反省して、「無人島サイケ」テーマでは「基本に帰ろう」ということでやっていきたいと思います。


さて、チープオルガンといえば、このバンドを忘れてはいけません。バンド名の"?"はQuestion Markと読みます。これはリーダーの芸名でありまして、Questionが名前、Markが苗字(またはその逆)です。

音はジャケットそのまんま、ほとんど説明不要な明快さで、60s好きには一曲目の数フレーズを試聴しただけで、「これこれ!」とレジに直行するようなたぐいのものです。66年に"96 Tears"(「96粒の涙」)が全米ナンバーワンの大ヒットを飛ばしているので、むしろポップスファンに有名かもしれません。

リズムギターならぬリズムオルガンの催眠的ビート。いかにもチカーノバンド*1)的な脳天気さ・いかがわしさ+ガレージパンクなチープ感。パンク(*2)といっても70sパンクのようなノリではなくて、あくまでも60sのもので、Seedsが「フラワーパンク」ならば、こちらはさしずめ「テキーラパンク」という感じのユルさが最高です。(Seedsが気に入ったら、こちらも絶対ハマると思います。)

セカンドアルバムの"Action"(1967)はデビュー作の"96 Tears"(1966)にくらべると評価は低いようですが、チープオルガンフェチにはむしろこちらの方をお勧めしたいくらい、これも強力なオルガンパンクアルバムです。

雰囲気(というか存在そのもの)はチープな印象なんですが、歌は艶っぽくて上手いし、演奏もしっかりしてるので、一般のポップスファンにも違和感なく馴染めるような親しみやすさも、このバンドの魅力のひとつでしょう。なお、バンドは再結成して、新譜の発売や公演ツアーと、現在も活動中です。(→オフィシャルサイト


? & the Mysterians
The Best of ? & the Mysterians: Cameo Parkway 1966-1967

上記CDのタイトルは"The Best of ~"となっていますが、"96 Tears"と"Action"を完全収録した2on1の末尾にボーナストラックを加えたものです。


*1
チカーノとは(一般に)メキシコ系アメリカ人のこと。最近でいうとロス・ロボスなんかが代表的なチカーノバンド。

*2
レココレ・サイケ特集号によると、「71年の『クリーム』誌におけるライヴ・レヴューで、デイヴ・マーシュが彼らを初めて「パンク・ロック」と形容した」そうです。
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