最近瀬川アマのプロ入り試験がいろいろなところで話題になっている。実のところ、私はこのことにあまり興味がなかった。何故なら、これは瀬川さん本人の実力が決める問題で、彼がプロ棋士になれてもなれなくても廻りが騒ぐようなことではないと思っていたからだ。ところがBIGLOBEストリームで米長会長曰く「祭りということで、大いに盛り上げて頂きたい」ということらしく、このプロ入り6番試験の意図は何なのか判ったような気がした。試験対局の相手が当初の発表と変わって、何故か2番目に神吉六段が出てくることなっている。しかも神吉曰く「立ち直れないくらいに叩きつぶします[*1]」と、これはまた過激な発言が飛び出ているし、俄然興味を持ってしまった。


既に1局目佐藤(天)三段戦が7月18日に行われ、当日のNHK総合のニュース7で報道された。夕食時全国レベルのニュース扱いになっていたのにはかなり驚いた。結果として、やはり現役奨励会員三段は強かったわけだが、ここで(アマに)負けるようでは(奨励会員の方が)プロになることを諦めなければならなくなってしまう。瀬川アマにとっては、奨励会員にプロ入りを認めさせる為に何があっても絶対勝たなければならない将棋だった筈で、そのプレッシャは想像を絶するものだったかもしれない。


余談だが、このニュース中「プロ棋士になるまでの順序」が簡単だが的確に解説された。知ってる者にとっては余計なレクチャだが、これが予め判ってないと何故に「プロ入り試験」が話題になってるのか、将棋界に興味のないものにはチンプンカンプンなので、あの短い時間の中で実に巧い解説を入れたものだなと感心した。


既にタイミングを逸してしまったネタのような気がするのだが、とりあえず謎電での解図結果をメモしておく。


左図は、飛車を取られた所。本譜は▲53桂▽42玉と進行するのだが、ここでは▲32歩成▽同玉(▽同銀は、▲34桂以下必至)▲23銀▽同玉▲35桂▽22玉(▽14玉は、▲26桂以下頓死)▲23金▽31玉▲43桂成までの9手必至がある。

しかしながら▲53桂からの「超安全な勝ち方」は、見習った方が良いのかもしれない。勝ち将棋鬼のごとし、とはこのことか。


左図は、▲33歩に▽43銀とかわしたところだ。ここから本譜は▲32金だが、▲22銀の方が速く、これで必至上がり。これだと▽53香すら指せず(▲41金の1手詰)投げるしかない。


謎電的に、この局面は「頓死・頓必至なし」として、瞬時に▲22銀と指すし、殆どの将棋プログラムがそう指すのではないだろうか。私の目には、この将棋は、あまりに大差が付いてしまっているように感じる。



[*1] ZAKZAK(05/07/07)からの引用。本当にそう言ったのか疑問に感じてはいるのだが、これも奥の深い宣言である。