新年、明けましておめでとうございます。 | サイバーエージェント 公式エンジニアブログ

 皆様、新年明けましておめでとうございます、佐藤真人です。

 本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。


 昨年はクリスマスや年末、賑わう時期に甚大な障害を発生させ、ユーザーの皆様には大変ご迷惑をおかけいたしました、申し訳ありません。

 エンジニアの飽くなき技術への追及とスキルアップ環境の場の提供、セキュリティ、品質の向上を同時に成長させていくことは困難ではありますが、引き続き、少なくとも日本一の『エンジニアが働きやすい職場』と『ネットサービスの開発』を目指して、精進していきたいと思っています。


 どこかの取材でもお伝えしたのですが、昨年は私の想定寿命のほぼ折り返し地点ということもあり、居住場所、時間の使い方、所持物、今後60才までの人生計画や実施すべき項目※などをすべて総さらいしました。同時に2-3ヶ月ぐらいかけて、アメーバやCADCのエンジニア/クリエイター組織の過去、現状を振り返り、今後のサイバーエージェントのエンジニア/クリエイター組織のあり方についても、じっくりと検討してきました。


※親孝行のための行動リスト作成とか。皆さんもご両親が健在のうちになされたほうがよいかと思います。


 そこから導かれたのは---おそらく、年末、年始に、ベンチャー企業の"あらゆる"社長や営業部長などが口に出している言葉かと思いますが---今年一年間の動きや変化が、会社の今後を占う上で非常に重要な一年となる、ということです。


 根拠のない精神論は好きではないので、述べられる範囲で論拠を記します。


1.弊社エンジニアが今年、500人規模の体制となる

 組織運営において100,500という数字は、多くの場合数字の『』として、語られています。アメーバでは100という数字は、壁と感じる前に突き抜けてしまいました。縦型の組織を作ることなく、大きな問題とならなかったのは、採用において、単なる技術レベルだけでなく「自主性」を重要視し、マネジメント層がいなくても組織、サービスのことを考える人間を集められた、ということだと考えています。ですが、500人規模の組織では全エンジニアが顔と名前、技術レベルなどを覚え、最適なコミュニケーションを自立的に図るといったことは実質、不可能なので、情報共有の(システム的な意味も含めた)仕組みや、新たな組織の枠組み、団体行動におけるリーダーシップのあり方などを抜本的に見直さなくては機能しません。
 歴史ある大企業や同業他社の多くは、この問題に対し「社訓にみられる(宗教的な)精神論の徹底」「厳格なルールをもとにした縦型組織の構築」を基軸として、経営層、執行役員の直属組織やタスクフォースを作るといった緩和策で対応していますが...あまりやりたくないところです。
 今年、組織に変化をもたらさなくては、現状から悪化することは目に見えています


2.エンジニア採用の二極化が進み、来年、さらに新卒の入社も本格化する

 実質、NCSA HTTPd/Mosaicから始まり、Apache/IISなどで一般にも浸透したThe Internetは、少なくとも日本のIT業界で働くエンジニアにとって、いい「飯のタネ」、バブルの時代だったと思います。大雑把に言ってしまえば「DBにデータを挿入して、参照する」という、頭のよい新人ならせいぜい3ヶ月、飲み込みの悪い人でも2年もすれば理解できる簡単な手続きをマスターするだけ(※1)で、転職市場では350-500万という、他業界と比べて非常に高い給与を得ることが出来ました。一年死ぬ気で勉強(※2)すれば、年収400万が保障されるような業種を私は他に知りません。


※1 もちろん、プログラミング技術やシステム設計の能力自体を低く見ているわけではありません。中途採用面接で高度なプログラミング試験を行う会社は稀であり、あくまで採用市場においてという意味です
※2日本では社会人経験年数を重視して、逆に技術スキルは面接では見ないような会社も多いので、勉強だけではなく、ポーズとして(ブラック)企業とかで働く必要はあるかもしれませんが。


 ですが、アメーバやサイバーエージェントのエンジニア採用、面接や合否の実態などに詳しい人間として意見を述べるなら、現在、明らかにエンジニア採用の二極化が進んでいます。簡単に言えば「地頭がよい人」「技術的に高度である人」のいずれかに採用の軸がシフトしており、中途半端にプログラムを触ったことがある程度の人は、皆、不合格になっています。弊社「エンジニアアカデミー」の取り組みに見られるように、未経験でも地頭がよく勉強さえ集中的にしてもらえれば、前述の「バブル組」程度のエンジニアにはすぐに追いつくので、会社としてはポテンシャルの高い彼らのような人間を重視するのはやむをえないところです。
 誤解のないように付け加えるなら、この種の人間の比率は、同業他社と比べてサイバーエージェントは著しく低いと考えています。280人中、多くとも5人前後というところでしょうか。6年前の過去から現在に至るまで、採用のレベルを落としたという事実は一度もありませんし、皆がアメーバやCAMPといった事業を責任感とプライドを持って育ててきました。
 ですが、年齢と能力の差は、必ず問題として顕著化していきます(会社としてもボトムラインをカバーするあまり、トップラインを伸ばさないという判断は出来ません)。
 本年4月には、100人を越すエンジニア/クリエイターが入社しますので、この「新人とベテラン」のジレンマは、今年対応しなくてはなりません。


3.OSSの多様化、Web,インターネットサービスの開発言語、手法におけるパラダイムシフトが発生している(と思われる)

 Apache,Perl(mod_perl),PHP,JavaServletとRDBMSの操作を覚えればWebサービスの構築が完結する時代は終わっています。『ピグライフ』を旧来型のエンジニアが作成することは出来ず、もはや時代は、同期系システムから非同期プログラミング、分散処理システムを構築する能力を求めています。旧来型Webサービスやプログラム言語がなくなるわけではありませんが、爆発的に増え続けるOSSの情報収集と、自分たちでのパッチ作り、安定化も含めた実用可否の判断を行うための、組織的な「集合知」を構築し、行動できる体制の構築が急務です。


4.前年からの『仕込み』

 現エンジニアの方はいくつか思い当たることがあるかもしれません。
 サイバーエージェントのグループで利用可能な大規模クラウドの構築とmyCloud化、RightScaleによるEC2利用サービスやNOAHクラウドサービスとの連携。グローバル化に対応した組織構築。『内部からのIT化』のための外注によらない高度な社内インフラ組織。これらの『仕込み』は、すべて前年に完了しており、本年、本格化します。

 付け加えると、今年の12月にはサイバーエージェントグループの全エンジニア/クリエーターを対象とした(招待券により部外者の参加も可能)、『CyberAgent Engineer & Creater's Day(仮称)』を実施する予定であり、すでに関係者の承認を得ています。われわれの持ち味を生かした、ある程度の規模のイベントとする予定ですので、どうぞご期待ください。


 去年の年始挨拶?にも書いた気がしますが、私個人の意見として、BtoCのネット業界、とくにサイバーエージェントで働く最大にして最高のメリットというのは、とにかく「飽きない」ことだと思います。毎年、新しい技術やサービスが生み出されますが、家電業界やゲーム業界ほどには分業体制が確立していない(しないようにもしてます)ために、改善にとどまらない、新たな視点でのイノベーションが生まれ続けています。
 その雰囲気を例えるなら、映画の黎明期に、サイバーエージェントという映画スタジオで、社員の皆と、いろいろな変化にとんだ映画を撮り続けているという感じでしょうか。


 社員の皆様、今年も忙しく、変化に富んだ一年になるかと思いますが、お互い『自らが変化を起こすイノベーター』という意識を持って、引き続き、仕事を楽しみつつ、自身も成長していきたいですね。


 それでは、また。