ここ、どこだろう?って、なるよね。
季節が変わると。
だって、この木はいつの間に
こんなにみっちり、葉を茂らせていたんだろう。
あんなに裸で寒そうだった幹も枝も
しっとりと緑を滴らせ、ざわざわと歌い続けてる。
上空を吹く風は、遊び相手が増えたせいで
さっきからずいぶん、はしゃいでる。
地面を歩くわたしは、風に相手にされたくて
少し小走りになったりしてる。
生きてるって、いいよ。
生きてるだけで、こんな素敵と出会えるよ。
まいにちまいにち残高の減る命の時間は
輝く記憶に両替されて、わたしの持ち物になる。
だからさ。
焦らなくても、いいんだと思う。
慌てなくても、いいんだと思う。
どんな時間もみんな、必ず
金いろの光に変わるから。
いまがどんなでも、どこにいても
春の風がもう、吹き寄せてるから。