本 2016/Sep. 084 | 天風うらら
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スタンフォードの自分を変える教室
ケリー・マクゴニガル
2015

THE WILLPOWER INSTINCT
by Kelly McGonigal, Ph.D.
2012

印象に残った文章

意志力のはつまり、この「やる力」「やらない力」「望む力」という3つの力を駆使して目標を達成する(そしてトラブルを回避する)力のことです。

一日分でもいいですから、その日に行った選択をふり返ってみてください。一日の終わりに、「自分がいつ目標を達成するための選択、あるいは妨げてしまう選択をしたのか」を分析してみましょう。そのように自分の選択をふり返って意識することで、いい加減な選択の数が 減っていきます。それにより、意志力は確実にアップします。

神経科学者の発見によれば、瞑想を行なうようになると、脳が瞑想に慣れるだけでなく、注意力、集中力、ストレス管理、衝動の抑制、自己認識といった自己コントロールのさまざまなスキルが向上します。

より高い次元の自己が力を持てるよう、私たちは自己認識と自己コントロールのシステムを強化する必要があります。そうすることによって、意志力や「望む力」が強まり、やるべきことをやれるようになるのです。

研究によれば、心拍変動の高い人は、気が散るものを無視したり、欲求の充足を遅らせたり、ストレスの多い状況に対処するのが上手であることがわかっています。

この本にはあまり手っ取り早い解決法は出てきませんが、意志力をてきめんに高める方法があります。それは、呼吸のペースを1分間に4回から6回までに抑えること。

最も重要なことは、自分が何をしようとしているかに気づき、実行するのがたやすいことより困難なほうを選択することです。

「望む力」をつくりだす
① このチャレンジに成功したら、あなたにはどんないいことがありますか?
② このチャレンジに成功したら、あなたの他に誰の利益になりますか?
③ このチャレンジは、たとえいまは大変に思えても、がんばって続けていくうちにだんだんラクになっていくと想像しましょう。

要するに、私たちは相反する欲求をもっている場合、よいことをすれば、ちょっとくらい悪いことをしてもいいだろうと思ってしまうわけです。

私たちは何かよいことをした気分になって---あるいはよいことをしようと思いついただけで---正しさに対する判断があまく曖昧になってしまうと、衝動に従ってもかまわないと思うようになります。

2001年、スタンフォード大学の神経科学者ブライアン・クヌットソンは、決定的な実験結果を論文として発表し、「ドーパミンには報酬を期待させる作用があるが、報酬を得たという実感はもたらせない」ことを明らかにしました。

欲望は、行動を起こすために脳が仕掛ける戦略です。

つまるところ、欲望じたいはよくも悪くもありません。大切なのは、欲望によって自分がどこへ向かおうとしているのか、そしてどういう場合なら欲望に従ってもよいかを見きわめられるかどうかなのです。

研究結果が示しているとおり、自分に対して思いやりをもつことで罪悪感が和らぎ、自分自身のことに対する責任感が増すのです---これは、意志力のチャレンジで失敗しても、気を取り直してがんばるには望ましいことです。

マシュマロを2個もらうために15分待てるかどうかということは、重要なことを示していたわけです。つまり、不愉快なことをいっとき我慢して、長期的な目標を達成することができるかどうかということ。

私たちの社会脳が意志力の問題における失敗をまねる3つのパターンが示されていました。
1つは、無意識にまねをすること。
2つめのパターンは、感情に感染すること。
3つめは、誰かが誘惑に負けるのを見ると、私たちの脳が誘惑に反応してしまうこと。

目標感染にはふたつのタイプがあります---自己コントロールが感染する場合もあれば、自分を甘やかそうとする誘惑が感染することもあります。

他の人たちの欲求に対する免疫反応を、強化するには、一日の始めに数分間、自分自身の目標についてあらためて考えるとともに、どんな誘惑にかられたら目標をおろそかにしてしまいそうかも、念のため考えておきましょう。

この「皮肉なリバウンド交換」に対し、ウェグナーは''皮肉な''解毒剤を提案しています。それは、あきらめること。好ましくない考えや感情をコントロールしようとするのをやめれば、そういった考えや感情に振り回されなくなります。

ある食べ物を制限すると、ますますそれが食べたくなることが実験でも明らかになっています。