ポルシェ356Aカレラ

★20世紀の自動車カタログ、鉄道車輛カタログ、玩具・模型カタログ、ビートルズ、ショパン、ヴィンテージ・ポルシェ、草軽電鉄 etc


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今日8月23日は二十四節気の処暑。暑さが峠を越えて後退し始める頃と言われるとおり、朝晩は少し過ごしやすくなってきた気がします。夏休みも残り1週間となって、関西では何とも痛ましい事件が起きていますが、こういう事件が起こると私は被害者の家族は勿論なのですが容疑者の親兄弟も気の毒に思えてしまいます。今回の容疑者には妹さんがいるようですが、今どんな気持ちでいるのか想像すると哀しいです。
さて、ここ2回は自動車カタログ以外の記事でしたが、今回は自動車カタログ棚からシリーズ第278回記事として戦後の日野ボンネット・トラックをピックアップします。



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★現在、トヨタグループ16社の1つである日野自動車のルーツは、1910年(明治43年)の東京瓦斯工業株式会社の設立にまで遡る。
東京瓦斯工業は1913年(大正2年)には東京瓦斯電気工業株式会社(通称:瓦斯電=ガスデン)と改称し、瓦斯電は明治末から大正にかけて社名の通りガス・電気器具を中心に生産し、1918年(大正7年)には黎明期の国産自動車(軍用四トントラック)も生産した。1928年(昭和3年)には初の国産航空エンジン「神風(しんぷう)」(空冷星型7シリンダーエンジン)の開発も行った。1930年代に入り、1937年(昭和12年)には瓦斯電の自動車部は自動車工業株式会社および共同国産自動車株式会社と合併し東京自動車工業株式会社となり軍事向けに大型車両生産能力を強化しようとする国策により大型車の生産を始めた。この東京自動車工業は太平洋戦争勃発の1941年(昭和16年)には、ヂーゼル自動車工業(現・いすゞ自動車)と改称され、更に翌1942年(昭和17年)にはヂーゼル自動車工業の中の日野製造所(旧瓦斯電自動車部)が分離されて「日野重工業株式会社」が設立され軍用車を中心に製造した。
このヂーゼル自動車から日野重工業に分離した時点が現在の日野自動車の直接のルーツとも言えるが、日野製造所は瓦斯電出身の技術者を中心としていたことから日野自動車では瓦斯電を自社のルーツとしている。何れにしても現在のいすゞ自動車と日野自動車の2社は同一の企業であった時期があり、歴史を遡ればそのルーツは同じと言える。


★戦後、1946年(昭和21年)には 日野重工業は日野産業に改称され、軍需から民需へ転換をしてディーゼルエンジンおよび終戦直後の日本の風物詩とも言えるトレーラー式の大型バス/トラックの生産を開始した。
1948(昭和23年)には、日野ヂーゼル工業株式会社に改称し、同時に販売部門を独立させ「日野ヂーゼル販売」を設立した。そして、終戦から5年目の1950年(昭和25年)3月に戦後の日野大型車のベストセラーとなった今回ご紹介するTH型ボンネットトラック(およびBH型ボンネットバス=本シリーズ第211回記事参照)を発売した。
5~6トン級が主流であった当時の大型トラック市場に一回り上の7~8トン級としてデビューし、戦後復興期の大量輸送需要に応え時代の波に乗る形で国産ボンネット型大型トラックの代表的な1台となった。そして、時代の主流がキャブオーバー車に移行する1960年代末までの凡そ20年に亘り生産された(BH型ボンネットバスは1964年に生産中止)。なお、日野のTH型を初めとするボンネット・トラックは東南アジアや欧州においても1960年代~1980年代にかけてライセンス生産されたため、ミャンマー等には2015年現在も尚実働する個体が存在する。

★日野TH型ボンネット・トラック(およびBH型ボンネットバス)は、ドイツのクルップ(Krupp)やアメリカのダイヤモンドTに影響されたと思われる個性的な剣道の面を彷彿とさせるフロントデザインにより多くの人々の記憶に残るトラックの1台となった(日野TH/BHデビューの5年後、1955年より日産/民生デイゼルの大型ボンネット車も日野TH/BHと非常に似たデザインを採用し、民生ではエンジンもクルップと同じ2サイクルを採用し正に和製クルップと言えた)。
日野の大型ボンネットトラックは、静粛なエンジン、運転の楽な軽いハンドルと軽いブレーキ、快適な乗り心地と荷痛みの少ない荷台を目標として全く新たに設計されたディーゼルエンジン、ウォームローラー式ステアリング、エアブレーキ、ロングスパンスプリング等を採用し、フロント回りのスタイリングも整備性が良く大型車市場で好評を博した。

★ライセンス生産された日野ルノー(第153回記事参照)がPA55・PA56・PA57~と年式毎に改良を重ね型式名称を変えたのと同様に日野TH型ボンネットトラックも1950年(昭和25年)にデビューしたホイールベース4800mm・全長8000mmの最初のTH10型(新設計DS10型110psエンジン搭載)に始まり、1952年TH11型、1954年TH12型、1956年TH13型、1958年TH14型、1959年TH15型(及び8トン積みTH15K型)、1960年TH16型、1961年7月に最終型式となったTH17型へと変遷した。TH型は当初、全幅2300mmでデビューし、後に大型車枠一杯に近い全幅2470mmとなった。TH型デビューの翌1951年(昭和26年)には同一のキャブデザインでホイールベースを4200mmとした普及型SH10型が追加され、1952年SH11、1954年SH12、1956年SH13、1957年SH14、1958年TE10と進化し、1960年にはWB4000㎜の更なるショート仕様TE60型も追加された。また1956年にはWB4200㎜のダンプ等特装車専用シャシーがTA型の名称で追加された。搭載ディーゼル・エンジンも進化を重ね、当初のDS10型エンジン110psが最後のTH17型に搭載のDS50型エンジンでは160psまで出力を向上させた。

※註)日野のボンネット・トラックのカタログは型式別、年式別に多数発行されていますが、残念ながら手元の自動車カタログ棚にあるものはその極く一部です。


【主要スペック】 1950年 日野ヂーゼル ボンネットトラックTH10型 (1950 Hino Diesel Cargo Truck Typ. TH10)
全長8150mm・全幅2300mm・全高2350mm・ホイールベース4800mm・車重5550kg・DS10型ディーゼル水冷4サイクル6気筒7014cc(428cu.in)・最高出力110ps/2200rpm・最大トルク39kgm/1200rpm・変速機4速フロアMT・最大積載量8トン・乗車定員3名・電装系12V・最小回転半径8800㎜・推奨標準速度36km/h・最高速度69.2km/h



●1954年 羽田空港の日野TH10タンクローリー「ESSO」
撮影は自動車史研究の国内における第一人者であった五十嵐平達氏。カラーフィルム普及前の時代で白黒撮影だが何とも魅力的な写真。THの右はトヨペットSBベースの三菱石油1000L積みタンクローリー、左奥は全日空の前身「日本ヘリコプター」が運行していた英国製旅客機「デ・ハビランド DH.114 ヘロン」白鷺号。白鷺号は元々、日本航空が3機購入したうちの1機で乗員訓練に短期間使用したのみで営業運航につかないまま日本ヘリコプターに売却され「白鷺号」の愛称で運用されていた。
白鷺号TH



●日通の日野ボンネットトラック カラー写真
1957年日本通運発行「日通20年史」(非売品)より。富士山をバックにルーフに東京・甲府の表示を付けた濃い黄色の日通車両。
日通(1)

こちらはルーフに東京・名古屋の表示を付けた日通車両。バックの湖はどこでしょうか。
日通(2)



●1950年 日野ヂーゼル BH10型バス・TH10型トラック 共用カタログ (縦28×横19.5cm・3つ折6面)
日野BH型ボンネットバスの記事の際に既にご紹介したカタログですが、今回はTH型トラックの部分を掲載します。バス、トラック共に搭載エンジンはDS10型。このカタログが発行された最初期は105ps、すぐに110psに出力アップ。
50(1)表紙

【中面から】
50(2)TH10横

図面&スペック
50(3)図面&スペック



●1952年 日野ヂーゼル TH11型・SH11型トラック 専用カタログ (B5判・2つ折4面)
WB4200㎜のSH型を追加。搭載エンジンはDS11型110ps。
52(1)表紙

【中面から】
TH11型
52(2)TH11

普及型SH11型
52(3)SH11


●1958年 日野ヂーゼル TH15型7.5屯積/TH15K型 8屯積トラック 専用カタログ (A4判・8頁)
7.5屯積みTH15型、8屯積みTH15K型共にボディ寸法は同一。搭載エンジンは共にDS30型150psながら、車重及び最高速度はTH15K型5590kg・76km/h、TH15型5470kg・74km/hと若干異なる。
58TH横(1)表紙

【中頁から】
58TH横(2)赤

シャシー
58TH横(3)シャシー

運転席
58TH横(4)運転席



●1958年7月 日野ヂーゼル TA12型ダンプトラック 専用カタログ (縦30×横22.7cm・3つ折6面)
特装車用WB4200mmのTA型。搭載エンジンはDS12型125ps。
ダンプ(1)表紙

【中面から】
TA型シャシー
ダンプ(2)TAシャシー

ダンプ(3)ダンプ写真



●1958年 日野ヂーゼル SH15型トラック 専用カタログ (縦30×横22.7cm・3つ折6面)
WB4200㎜、6.5屯積み短尺車。
58SH(1)表紙

【中面から】
シャシー
58SH(2)シャシー



●1959年8月 日野ディーゼル TH15型7.5屯積/TH15K型 8屯積トラック 専用カタログ (縦30×横22.7cm・4つ折8面)
カタログNo.T101。1958年まで記載のなかったカタログNoと発行年月が裏面に印字されるようになった。
59黒(1)表紙

【中面から】
59黒(2)黄色

シャシー
59黒(3)シャシー

エアブレーキ、エアホーン、ストップライトスイッチの解説
59黒(4)エアブレーキ他



●1960年9月 日野ディーゼル TH16型トラック 専用カタログ (縦30×横22.7cm・4つ折8面)
カタログNo.T105。エンジンはDS50型155ps。8屯積みがTH16型として統一され7.5屯積みはカタログから消えた。
60TH(1)表紙

【中面から】
60TH(2)横

シャシー
60TH(3)シャシー



●1961年6月 日野ディーゼル TE10型/TE60型トラック 専用カタログ (縦30×横22.7cm・4つ折8面)
カタログNo.T108。WB4300㎜のTE10型と新たに追加されたWB4000㎜のTE60型。搭載エンジンはDS70型135ps。表紙下のTE60型はフロントデザインが異なり剣道の面ではない素朴なもの。
61TE(1)表紙

【中面から】
61TE(2)中面



●1966年8月 日野ディーゼル TH17型トラック 専用カタログ (縦30×横22.7cm・3つ折6面)
カタログNo.T226。日野ボンネット・トラック最終型。搭載エンジンはDS50型160ps。カタログNoが上掲の1961年のカタログの108から118番も飛んでいるのは、このカタログが発行された1966年8月までの約5年間に118種類のカタログが発行されているものと思われる。
66(1)表紙

【中面から】
66(2)中緑

最終のTH17型ではダッシュ周りがモダナイズされた。
66(3)モダナイズ運転席

DS50型160psエンジン
66(4)DS50型エンジン





★オマケ(その1): 日野特注 1/87スケール 日野TH15型トラック
全長9.5cm。ホワイトメタル製。八王子の日野オートプラザ・ミュージアムショップ限定品。乗用車はNorev製ルノー4CV。フロントエンドが綺麗な弧を描いているのが日野ボンネット車の特徴。
日野公式(1)

日野公式(2)

日野公式(3)



★オマケ(その2): 独メルクリン8009番 1/50スケール程度? クルップ大型トラック
全長14.2cm。ダイキャスト製。品番8012のトレーラーとセット販売された。シートも窓ガラスも付かない素朴な造りのビンテージ・ミニカー。日本の日野、ミンセイが参考にしたと思われるデザイン。
メルクリン(1)

メルクリン(2)

メルクリン(3)



★オマケ(その3): 独WIKING 480番 1/87スケール  クルップ幌付きフルトレーラー
全長21cm。プラ製。
バイキング(1)

バイキング(2)

オマケ1の日野THとの並び。同一スケールで並べてみるとクルップと日野は似たようなサイズの車両だったことが判ります。
バイキング(3)並び
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