田舎よりお送りしています

かっこいい自分になるべく
かっこわるい日々を書き連ねていく


テーマ:
夏だ。
黄色いライフジャケットが流れた。


うちの親はアウトドア人間だった。
父は大学時代ワンゲル部で、わしわし山に登っては羊羹を食べていたらしいし
母は休みの度にあちこちの山で、植物や苔を探す日々だったらしい。

思えば小さいころから山に川にスキーによく連れだされた。
4歳でスキーを滑っていて足首をグリングリンに捻ったのが昨日のように思い出される。
足首が太もものようだった。兄はヒーヒー笑っていた。

私は小さい頃から海が嫌いだった。
ムショウに怖いのだ。
私の海の恐怖の対象は
海賊→海坊主→サメ→ガンガゼ→ゴンズイ
と変化していった。ちなみに今はイモガイが怖い。

という訳で夏はいつも川だった。
清流穴吹川までクルマで20分。
カーキ色のゴムカヌーが膨らむのが待てず、川に飛び込む私に
母は黄色いライフジャケットを着せた。
実は母はアグレッシブな赤子だった私を見失い、過去2回程プールの底に沈めているのだった。
川ではライフジャケットを着せれば大丈夫。頭のいい母。確かに沈まなかった。
しかし、アグレッシブな幼児と化していた私は、どこまでも下流に流された。

川でスイスイ潜る6歳上の兄が羨ましく、お風呂で修行を積んだ。
ただ黙って息を止める過程はなぜかすっ飛ばし、延々と回転していた。
縦に横に斜めに、バシャンバシャン回っては頭を打った。
その時から入浴剤は入れないようになった。あれは苦い。

また夏がきた。

私は嫌いだった、あのちいさな黄色いライフジャケットが。
潜れないし、動き辛い、クマのワッペンとか付いてるし。
バカにされている気分だった。

いつだったか、黄色いライフジャケットは流れていった。
モタモタだがなんとか泳ぐようになった私が、窮屈だと外して気が付くとなくなっていた。
遥か彼方に一瞬だけ黄色が見えた。
私はわざと無視をした。今叫べば兄なら追いつけるかもしれない。
けれど大人になりたかった。
ライフジャケットなんて付けなくてもスイスイ泳ぐ大人に。


私は20歳になった。
そして結構スイスイ泳ぐようになった。

ライフジャケットはダサくてイヤだと泣く子どもと
自分と周りの安全のためライフジャケットは脱がないと言った大人を見た夜
夢の中で黄色いライフジャケットが流れた。

私はまだライフジャケットを付けている。
これを付けたかっこいい大人にたくさん出会ってしまったからだ。
そしてこれから出会う子ども達に、これがなかなかどうしてかっこいいものだ
と知ってもらうためだ。
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鬱々しい文章を書くのは悪いクセです。
けどそれに共感してくれる人も多いし
なにしろスッキリします。
スッキリするってとこ、特に悪いクセです。

顎のニキビが気になったり
餅入りのどら焼きがお気に入りだったり
深夜に料理することが趣味だったり
三島由紀夫と穂村弘ばっかり読んでたり
腹筋を鍛えようと足掻いてたり
なんだか嫌な日は夜走って熱いお風呂に入って寝ます。

ジェームズ・ボンドはかっこいい
首元が詰まった服は嫌い
いくら丼はとんでもなくおいしい
ヤクルトは少し甘すぎる
古本屋にいると時間の間隔が狂う
用がなくても冷蔵庫を開けてしまう

自分だけの当然や当たり前を増やしていって
もっともっと付き合いづらい人間になってやるのが
とりあえずの目標です。
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他人に横顔を掴まれたことがありますか。

私はバスに乗って本を読んでいた。
前日に買ったミステリー小説だ。
面白いと聞いて期待して読み始めた割りに、なかなか入り込めず苦労していた作品。
バスの中で開くと、途端に集中出来た。
おもしろい、おもしろい、おもしろい。
ずっと読んでたい。バス走り続けろ、バス。

しかしバスは止まる。順調に人を乗せては降ろし。
私が降りる場所まではまだまだ。
おもしろい、おもしろい、おもしろい。

そのとき、突然横顔を掴まれた。
鷲掴みである。ムギ、と。
はっと顔を上げる。
知らない男性。申し訳なさそうな顔。無言。白い杖。
そうか、視覚障害の人だったのか。
席を探しているうちに、存在感のない他人の横顔を掴んでしまう。
その怯えたような、申し訳なさそうな顔を見る限り、彼の方が被害者だ。


高校生のとき、浜松町の駅を歩いていたときのこと。
視界の端に白い杖の女性。
立っている。1人。
駅構内ってみんながみんな動いているから止まっていると目立つ。
白い杖、さらに目立つ。
困っているのかな、不安になる。
しかし彼女の表情は涼しげだ。
彼女と向かい合う形で反対側の壁に身を寄せる。
なにをしてるんだろう、困っているのかな。悪趣味なようだけどもう少し様子を見よう。

すぐに謎は解けた。
右側からもう一本の白い杖。
ゆっくりだが確実に彼女に近づく。
手を差し伸べる。そして触れた。
笑う彼女。笑う彼。
少し言葉を交わし群衆に紛れ、すぐ見えなくなった。

見えていたのか、彼には、彼女が。
手を差し伸べる、触れる。
なぜ出来たのか。
こんなにも人が溢れる世界で。

なぜ出来ないのか。
足りている筈の私は、君は。


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『週末キャンプ行ってた?』

朝の挨拶も済まさぬうちに隣に座った大学の友人が口を開きました。
はて、なぜ気付かれたかなと考えます。
寝不足で半開きの目?日に焼けて赤くなった頬?
友人の決め手は別のところでした。

『ほんのり焚き火の匂いがしたから』

キャンプから帰るとまずすることはお風呂です。
シャンプーをすると自分の煙臭さがわかります。
タバコの匂いとは違い、シャンプーの香りと意外に調和します。
言うなればオリエンタルなかほり。お香のイメージです。
その日は2度シャンプーしました。
焚き火にあたっている時間の長い冬のキャンプほど、よりスモーキーでオリエンタルです。

『焚き火の匂いをさせてる女の子がいたら、惚れちゃうわ俺。』
いつか川の友人が言いました。
確かにこの発言をした彼は変わった人ですが、これもひとつのギャップでしょうか。
女の子はみんながみんなお花やフルーツやかわいい香りに包まれてる、素敵です。
しかしマザーグースも言ったようにスパイスが必要です。
日常生活の中に焚き火の匂いをさせた人が混ざってるだけで、なんだか想像が膨らみます。
キャンプが近いです。
キャンプに行きたくなります。

『落ち葉を“ゴミ”という子にだけは、育てたくない。』
は、ガールスカウトのキャッチコピーですが
煙の匂いを不潔な匂いと感じる人は無粋です。

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いろいろ首を突っ込みながら秋が終わった。
なんだかスーツを着る機会が多々あり。
真っ黒のと、涼しいのと、ママンのお下がりのと
3着はクリーニングとクローゼットを行ったり来たりだ。すまんね、忙しいだろうね。
新品のストッキングが常にストックされているのも最近になってからだ。
やつの寿命はいやに短く、伝線しているのを見つけて溜め息をつくのが社会人女性の義務のようだ。


秋といえば
地域のお祭りに数年ぶりに顔を出した。
子ども達がお相撲をしたりおばあちゃん達がビンゴ大会で歓声を上げる。
田舎はどこも少子高齢化が著しく、うちの地元も例外ではない。
50歳そこそこのうちの父親は若い奴で、使いっ走りである。
いつも偉そうな父親が買い出しや景品配りにヒイヒイ言っているのを愉快に眺める。
スニーカーなんて履いちゃってさ。使いっ走りに革靴は似合わない。
『さき、砂が舞うからウチまで走ってホース取って来なさい』
撤回。やはり1番の使いっ走りは私だった。
わーきゃーお相撲をとる子ども達から末端の使いっ走りになるのは何歳のタイミングなのか。
冷たい空気を吸い込み鼻の奥がキンとなる。
久しぶりに見た近所の犬が年を取って小屋にこもっている。
ウチまでの道を急ぐ。
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