2009年/2月

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     Popん?TANKA-413


ICUにさようなら Ⅰ

セピアまぶしい写真一葉額のなか いろづく秋の家族の落穂
ねぇパパ 今年は十三回忌だから思い出話するのも悪くはないか
おトイレで倒れたのパパ朝早く 語順の違うママからの電話
キカイダーになるみたいだねICUの硬いベッドにくくられたパパ
旗の台まで13分の道のり。キリスト教徒じゃないのよ、バカ
もうパパは息をしてない わかってる 深夜0時の中原街道
パパの心臓をうごかしつづける複数のドクターの手と腕と汗
ママがくるまで生きているって証明の心臓マッサージ ねぇドクター
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2009年新春題詠「東」

テーマ:

     Popん?TANKA-2070901
今年は「東」がお題でした。

提出歌は


ん、つかのま東雲橋をふりあおぐはがゆさはあなただ火よ昇れ

結果は、3点と振るいませんでしたが、みなさまは、どんな感想をお持ちになったでしょうか?
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たぶん夢のレプリカだから水滴のいっぱいついた刺草(いらくさ)を抱く

                                                 加藤治郎「マイ・ロマンサー」より

 「夢が叶う」「夢を追う」「夢の力」そんなイメージの歌を探してみた。でも、何故か、そう言う歌を見つけられなかった。恋の歌なら、夢をかなえたい的な歌は確にある。しかし、夢に向かってゆく、そう言う歌を見つけられなかった。
 夢落ちの短歌は、時々、いや結構見かける。なのに、夢に向かって進んでいるような歌は無いのかなぁ?
どちらかと言えば、夢を見るなんてこととは、無縁の世界観が短歌なのかしらん?そんな風に思ってしまうほど、短歌における夢は、儚すぎてむしろ悲しい。悲しいからこそ短歌たる所以なのか?
 他にも夢と言う文字の入った歌はある。しかし、眠っている時(妄想であっても)に見た夢の中の出来事が圧倒的に多い。この歌自体も夢に向かっていると言うよりは、その夢が現実ではない、レプリカであるからと言う、非常に屈折した構造になっている。それでも、この歌を選んでしまったのは、微かでも夢に対して前向きなものを感じたから。例えそれがレプリカであったとしても、どこか奥底で本物の存在を感じている気がする。夢現の境目を行き来するような感覚を刺激する為の水滴のいっぱいついた刺草。たぶんと言ってしまいながら、何処かで現実を求めているその可愛さみたいなものを感じた。単なる夢物語ではない切実さがこの一首には詰まっていると感じるのだが、それはあくまでも危うさの中でのみ成立する感情なのだ。明日を希求してやまない煮え滾る情熱ではない。そもそも、夢がレプリカだったらいくつでも作れてしまうではないか。いや、叶わない夢だからこそ、レプリカを作れてしまうのかも知れない。だから結果として危うさとしての微熱は感じても、マグマが爆発するような情熱は感じられない。
 う~ん・・・それが、短歌における「夢」の現実なのかなぁ?青臭くて照れくさくてバカじゃねぇのって思うけど、心をガシガシ掴んで離さない、そんな夢を追いかけているような一首は無いのかな・・・・・・この手で地球を、いや、宇宙を変えてやるよ!くらいに明日を目指す歌。その思想そのものがポエジーみたいな歌って無いのかなぁ~。
 どうしても、短歌ってマイナスイメージがないと秀歌と呼ばれない気がしていて・・・人の不幸は、何とかじゃないけれど、負の要素のある歌は人の心に何かを残してしまう。逆に、明るすぎる歌は、“あぁ、ソウネ“と通り過ぎてしまうことが多い。でも、でも、たまには明るすぎる歌があっても良いじゃないかな、とも思う。そんなわけで探してみだけれど、心にメガヒットする夢の歌を見つけられなかったのでした。
 あ、今の気持ちはこんな感じ。

 ゆめは夢を食らいつくしてうつつやみ兵どもの地平遥けき

(文法、合ってる?)
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2008/12月

テーマ:
      おじさんたち
愛すべきALFEE
      
54歳なにをやってもギャグになる同級生の♂3人
ゆうぐれの会場前はゆらゆらと居並ぶひとの着メロルルル

「オリンピック選手並みの大回転をする高見沢俊彦」
                                    クリスマス・イブ
疾走は全速力で ふりそそぐ黄色い声の福音聖夜

「美声は今も櫻井賢」

怪獣も友達にするその声にあさき夢みし35年

買い込んだスィーツを消費しつくすには足りななすぎる、マラソンはイヤ

35年ALFEEとして存在すおじさんたちと不思議な暮らし
目の前の還暦よりももっと先 八十八夜の夢ドーム公演

「ギターを抱えていないと落ち着かない坂崎幸之助」
もう、すでにからだの一部やくそくのゆうやけのようあなたの音色


     Popん?TANKA

2008/11月

テーマ:

354

霜月に

月みればつきの香りしここちしてゆくえもしれぬ秋をあゆみき
風まちの秋はすぎゆき霜月のこころころころ凍れる月よ
忍び音のまなかの月の金と銀さよさよもえる小麦のはたけ
ありありとさみし晩秋 月夜長 ねむりねこさえ起きいずるそら
くもまより逢瀬をうつすいじわるな月はささない もう、霜月
あと少しあとすこしだけこのままで 風待ち月のふきぬけるまで
背の高いかげが夜空へのびてゆくひとりあそびの帰りみちくさ
くるまった毛布のさきに湯気のたつホットココアに秋は降りきし

2008/10月

テーマ:

416
大運動会


残された運動会は春の日のあかしろ帽の顔なし名無し

トラックからはみだし転ぶゆめをみるからだ巡り茶のみほす夜に

寝坊した朝の太陽ごろごろと転がされてく大玉のよう
            とんぼ
あきらかな秋色たかく数発の空砲ひびく秋茜のうえに

じゃばじゃばと魔法瓶からそそがれるたそがれいろのからだ巡り茶

もうすでに勝負は決まり走ってもはしってももうとどかない朝

一等にもブービーさえもなれなくて影がゆらめく3階の窓

盛大な運動会は体育の日だった昔むかしのはなし

2008/9月

テーマ:

441

あずさ2号

夏の朝の匂いひろがる午前5時 華やいだよるぬいで新宿

あおぞらはひろがる雲をまといつつ夏をあおいで入道と呼ぶ

渋滞の列に並べばなつやすみ海まで続くカーラジオの声

ひまわり咲いてひまわりむすめ向日葵の畑にねむるひまわり娘

きんいろのおかのうえにはいっぽんのかれたひまわりせいたかのっぽ

夏はいつでも不思議の国のアリスたち 目覚めてもまだ眠ったままで

きらきらのなつのうさぎはがらすいろはかなくとけるよるのうみべに

あぶらぜみの声たからかにファンファーレ鉛の兵隊 なつの行進

2008/8月

テーマ:

431
夏の扉

ゆうぐれにわたくしということばあり せみのぬけがらじりじりこがし
しまわれた紅い蛇口のましたから獣の吐息したたりおちる
ころころと流れる河にさからえばせきこむ胸に黒々と闇
猫目石ゆうひともえて焙じ茶のほそきはしらにたつ香ばしき
こうしゃうらはよびだされるせっていのそんざいかちだあぁせいしゅん!
朝陽 海 ぞわぞわはねる 夕陽 うみ 15の夜はくりかえされて
あっさりと波にくずるる砂山のしろさにくらむゆうぐれの朱
なやむならじゅうねんごでもかまわないレモン水はじけるごごの夏

2008/7月

テーマ:



Odyssey

インナーは赤 原始の海へかえりゆくいのちつなぎし卵胞いだき

時を越えメトロポリスのメトロイド刻みつづけるメトロノーム

くりかえされるアジテーションきみからの(ガガガ)きみから(ガガ)オートマトン

乾杯のその夜の夜にすべりこむレジスタンスたちのフリーダム

よどみなくよせてはかえずなみおとにクククとわらう浜木綿の群れ

質問ばかりくりかえす鸚鵡たち極彩色の現の中で

きのうきょう未来へつなぐルララルラDNA(螺旋)の命 激しかれよと

いのちの重さはかれる機械くださいな ひゃくえんひとつ握りしめた手