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「はなこ」
 

突入5秒前の教室 揺れる声はぼくら4月の合図
教室の窓から見える青空が欲しくて飛び降りたかった5月
君の声響く放課後見上げた空と6月の音楽教室
教室はサバンナだったねカラカラに乾いていた7月の終わり
朝練帰りに立ち寄る教室は不思議なくらい8月の味
だらけ過ぎた9月の身体引きずる教室は微妙な歓声だ
エイトフォーかおる校庭みおろして教室の窓10月はダルマ
ひそやかな音漏れ深く教室は眠れる森までの11月
おきまりのダジャレ飛び交うあかみどり 12月はしろい教室
とまらないぶるる、あけおめ1月は歌うポケットが走る教室
分数化された教室ただよう2月の空気は殺人遊戯
はえかわりゆく教室ためいきふかくはきだして3月のけじめ
蠢く目 塑像が哂うきんいろの美術室にはダリが踊るよ
鍵盤がさくらさくらとないているショパンと雨と音楽室に
制服の影 手ゆびさきゆらりゆら音楽室にほろほろ響き
ビスコの匂いなびかせ少女A保健室の白いドアをノック
3階の標本室をのぞいてたはなこが笑うじんたいもけい
アルコールランプコトコト科学室 はなこと分けるカレーは辛口
ささやきが囀りになる教室は音漏れシャカシャはなこがくるよ
ひそやかな春の教室すりぬけてはなこがならす放課後のかね
南ちゃんばかりあふれるきょうしつはあかるすぎます。はなこがいない
せいふくにはまものがすみついている きょうしつのすみにはだれかのいす
屋上はいつも雨ふり 窓つたうビー玉跳ねて教室はうみ
トイレへの入り口は教室のロッカーだって知った2年の夏休み
スチールにはりつけたほほあかく裂きタイガーバームのみこむきょうしつ
制服を着ただるまたち教室にむれなす空の影法師 あか
オーロラひめの呪いのように教室めぐる白い折り手紙みっつ
制服にひんやりしみるリノリウム 教室蒼くひかるみなぞこ
黒板をたたかないで 背中合わせの教室が怖がるのです
夕暮れ時と教室はランチセットお手ごろな想い出をおひとつ
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2005年/12月

テーマ:
342
「December」


ショーウィンドのトルソーが告げるクリスマスランタン揺れるケースの奥底
なりだしたなまりのおもちゃうかぶのはとてとてたったとわらうこえ 闇
笑う空ハレルヤハレルパラッパパラ裂ける咲けるぱっくりざっくり 君
ゆうぐれのまちのひだけがあかあかとあざやかすぎてしずみゆくカフェ
あかるいカフェにかざられたパステル画みたいなゆうぐれのゆううつ
降り積むる白い世界で眠ります 色を失くしたEveの夜イブ
照りつける朝陽はクリスマス休暇取り損ねたサンタの氾濫
夜明けの視線さまよえばモノクロの街は静寂すぎる太陽
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2005年/11月

テーマ:
341
「淡」

淡水の生き物のようテリトリー守って生きてくのですね 今も
霞んでく 瞳に映る輪郭をスキャットみたいに淡くのこして
淡い泡あわいあわあわあわわわわあわにまみれて淡くばうんど
ほろほろと剣菱揺れてくちびるに淡雪のごと君がとけゆく
淡々とながれのように淡々と淡く淡く淡海たゆとう
月輪の淡きひかりに包まれて 君の声聴く柔らかき時
淡々と広がる蒼を深くして心鎮める朝の淡海【あわうみ】
冷淡な瞳に浮かぶ赤い灯がかすめた冬に君を喪失
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