タイガー&ドラゴン 第7回「猫の皿」 | 島ネコになりたくて - 沖縄シマジマ徒然記

タイガー&ドラゴン 第7回「猫の皿」

 タイガー&ドラゴンの第7回。

 いい人情話だった。特に、虎児の「もともと他人だから」発言に対してどん兵衛が叱咤する場面。オーディションで「猫の目」を演じている竜二をはらはらしながら見守り、スカウトの札をあげる場面。二人の「息子」に対する父親の愛情がにじみでており、ほろっとしてしまった。西田敏行はすごい役者だ。

 それと、気になるのが小しんという人だ。数年前、「子別れ」の教えを乞うた竜二に独演会の直前まで「猫の目」しか教えなかったのは、果たして意地悪からだけであったのだろうか

 小虎の先鋭的な落語スタイルを認めないような人だから(まあ最後は何だかんだ言いながら少し認めていたような表情をしていたが)、芸の基本に厳しいのだろう。だから、子しんは若くして天才落語家と騒がれていた竜二に落語家としての鍛錬や人生経験の不足を感じ、それがゆえに、竜二が何人もの兄弟子をごぼう抜きして真打ちとなることに反対し、またくる日も来る日も竜二に「猫の皿」の反復練習をさせた。そういう真意もあったのではないだろうか。

 事実、竜二が数年間落語の世界から離れていたのにも関わらず、とっさに「猫の皿」を「使い慣れたミシン」のように演じきれたのは、才能もさることながら、この反復練習があったからこそだろう。

 小しんが竜二に「今度『子別れ』を教えてやる」と言ったのは、たぶん、落語の世界から離れ人生経験を積んだ竜二を、真打ちに値する落語家として認めたことを意味するのであろう。


 さて、今回の復習。

 骨董の掘り出し物を安く買いたたき高く売ることを生業とする男がいた。ある日、男は旅の途中で茶店に入る。その茶店には猫が飼われていたが、よく見ると猫は「高麗の梅鉢」という300両は下らない皿で餌を食べている。

 それを見た男はこの店の主人がその皿の価値を知らないことを悟り、猫を3両で買うことを申し出る。そして、猫が慣れているその皿も持ち帰りたいと主人に告げる。

 すると主人はその皿が高価な代物であり渡すわけにはいかないと拒否する。主人が梅鉢のことを知っていることが分かり、男は悔しい気持ちを押さえながら、なぜ高価な皿で猫に餌をあげている理由を主人に訊ねる。
 
 主人はこう答える。
それが面白いものでして。この皿で餌をあげていると、時々猫が3両で売れるのですよ

 では現代版。落語芸能協会会長の子しん(小日向文世)は古き良き落語スタイルを重んじ、虎児のような若手落語家の先鋭的スタイルを認めようとしない。改革派の高田亭馬場彦(高田文夫)はこれに反抗しており、弟子のジャンプ亭ジャンプ(荒川良々)と共に、若手の素人芸人を集め、落語に限らず広く芸を競わせるコンテスト「素人お笑いスカウトキャラバン」を開催することを決める。
 
 一方、虎児(長瀬智也)は落語の話題になると目を輝かせて話をし始める竜二(岡田准一)をなんとか落語の世界に戻したいと考え始めていた。ある日、虎児と銀次郎(塚本高史)が街を歩いていると、店のショーウィンドウの前で佇むメグミ(伊東美咲)を見かける。その店では、通常68万円はするリーバイスのヴィンテージ(大戦モデル)が5,000円で売られていた。メグミはつい最近、竜二がそのGパンに「うらはらドラゴン」の刺繍をして売ることが夢あり、それが叶えば服屋をやめても良い、と話していたことを聞いていたので、直ちに竜二に連絡をとる。しかし、竜二が到着するまでにGパンは売れてしまっていた。

 竜二は店員の話からGパンを買ったのが子しんであることを知る(その直前に竜二は子しんと会い、自分もコンテストに出たいと申し出たが断られ、激高して子しんにお茶をひっかけていた)。

 ここで、メグミから竜二の夢の話を聞いていた虎児はある策をうつ。それはGパンを「素人お笑いスカウトキャラバン」の賞品にして、竜二をコンテストに参加させる、というものであった。コンテストの審査委員長を務めることになっていた子しんから、コンテストの賞品にするという名目でなんとかGパンを奪還した虎児は、竜二にコンテストへの参加を勧める。虎児やメグミからいろいろと煽られた挙げ句、竜二はしぶしぶコンテストに参加することに。

 当日、順番がきた竜二は勢い良く舞台に飛び出す。兄のどん太(阿部サダヲ)から特訓を受けた一発芸を披露しようとした矢先、竜二の目に映ったのは子しん、どん兵衛、馬場彦など、そうそうたる大御所が居並ぶ審査員の姿であった。

 虎児に謀られたことを知った竜二は腹をくくり、急遽「猫の皿」を話し始める。そして、竜二はブランクを感じさせないほど完璧に「猫の皿」を演じきる。息子の未だ失われていない才能への驚き、そして落語を演じてくれことへの嬉しさから、どん兵衛はスカウトの札を真っ先に上げる。他の審査員も竜二に賞賛の拍手を送る。竜二は優勝したのであった(目当てのGパンは3等賞であったため、1等賞の大島紬の反物をしぶしぶ受けとる)。

 いつものように、虎児とどん兵衛はスナックで授業料支払いと借金の返済をする。横にいた竜二がどん兵衛に「オレがあのGパンを欲しがっていたことを知っていたのか?」と問う。そんなの知るわけない、とどん兵衛。「じゃあ何であれが賞品になってるんだよ?」とつめよる竜二。
 
 するとどん兵衛が一言。

面白い物でしてね。あれを賞品にすると、たまに面白い素人が釣れるんですよ。


 蒼井優、ちょっとしか出て来ないけど、妙に存在感がある。先日、教育テレビの「トップランナー」に出ていた。今年5本の映画出演作が決まっている売れっ子も昔はオーディションに落ちまくっていたそうだ。岩井俊二監督の「花とアリス」で高い評価を受けたことがブレークにつながったらしい。
「ニライカナイからの手紙」ロードショーまであと1週間。