パッション・パティナージュより
http://www.passion-patinage.com/
フランスのフィギュアスケート・ファンサイトから先日のオータム・クラシックについて意見が交わされていましたので、結弦くんに関する主な感想をまとめてみました。
「アニュウは4Tを後半に組み込んだわ。去年の元々の構成ね。3AはGOEで+3。私はこのプログラムが大好き。去年のよりこっちの進化した振付の方が好きだわ。でも、私はギリギリのところでこらえるこのルッツがいつも心配よ。」
「ものすごく野心的なアニュウのフリー(今晩、ライストがある)を早くみたい。」
「アニュウのショパンはすごくいい。私にとってはちょっとクラシック過ぎるんだけど、見てみましょう!何というカリスマ。何と豪華なステップ・シークエンス。彼はこのショートで熟達した技術を本当に見せているわね。」
「93点、ミスを考えるとちょっと加点が多めだけど・・・でも、 チャンと比べれば、アニュウは生きたショパンを作り出すことに成功しているわね。スケーティングだけでなく、結論として私はアニュウの方が断然好き!」
「私はアニュウのこのショートが大好き。彼は、芸術的な表現力の面でもとても進化した。そして本当に、彼は自分のプログラムを解釈して、実践している。あなたがパトリック・チャンとする比較した意見に私も賛成よ。アニュウは音楽に抑揚をつけている。それはとても真摯なものだわ。それは、チャンと全く同じレベルのスケーティングという訳ではないけれど。」
「それにしてもとても良い音楽を選んでいる!」
「アニュウのこのプログラムは、とても美しい・・・。彼は成熟しているし、自信をつけたわ。彼はあらゆる動きに対してたっぷり時間をかけて、それこそが、私たちに彼がプログラムを生きていると言わせている。彼はもう遠いところへ行ってしまっている。氷の上で体が曲がって弱々しかった時代から・・・。私はまた振付師がとても良い仕事をしていると思う。」
「ええっと、非難する訳じゃないけど、ちょっとチャンを押すわけじゃないけど、つまりチャンの方が・・・優れているんじゃない?」
「う~ん、チャンはとても・・・見せるスケーティング。彼のスケーティングはなめらか。一方でアニュウはそうじゃない。SPで私たちに見せてくれるどのプログラムにおいても。アニュウには激しさとクレッシェンド(しだいに音の大きさが増す)があるけれど、チャンのそれは滑らかで冷たい。」
「アニュウは進化した。でも、彼はチャンのような体のコントロール、エッジの深さがない。トリプルアクセルと4回転の配置については戦略が成功なのかどうかわからない。彼は本当に簡単にトリプルアクセルを跳ぶ。ボーナスをたくさん稼ぐために、プログラム後半に、彼は簡単にトリプルアクセルを跳ぶ。」
「アニュウは感情をこめて滑り、恋する若い日本女性たちを喜ばせる。チャンは成熟した女性たちを喜ばせる。」
「アニュウの振付師は彼に質の高い音楽と結びついたプログラムを作った。そしてそれによって彼は自己を表現することが可能になる。」
「ジェフリー・バトルとシェイ=リーン・ボーン、カナダの最近の優れた振付師が使い古されたクラシックなものに新しいスタイルをもたらした。」
「チャンはまたデヴィッド・ウィルソン。とても似たような振付ばかり彼に施している。どれもこれも一緒にナフタリンで保管してたみたい。」
「バトルは特別何か加えている訳ではない。ヴォロノフの今シーズンのフリーがバトルと知った時はとても驚いたわ。」
「アニュウのフリーは素晴らし過ぎる。この創造的でオリジナリティあふれるテーマが気に入ったわ!彼は音楽の中に入っていて、彼は再びワールド・チャンピオンになるわね!」
「私は彼のフリーが好き。彼のショートはとてもクラシックだけど。」
「アニュウのフリーはとても美しくて、オリジナリティーに溢れている。」
「アニュウのフリーが待ちきれない。おお~っ、美しい。独創的で、振付もとてもいい。これは彼にうってつけのプログラム・・・シーズン中にクリーンなプログラムが見られることを期待するわ。彼はそれをやってみせるような感じがする。このフリーは歴史に残るようなものになり得る。)」
「アニュウのフリーは潜在的な可能性をたくさん秘めている。(振付に関しては先シーズンと何の関係もなくなっている)いくつかのパートは現在他のパートよりコントロールされている。プログラムの中盤での力強さを期待したい。それでもなお、幸先の良い出だし、テクニックはすでに備わっている。」
「アニュウのショートは観る価値のあるもの・・・私は新しいプログラムの方が好きだわ。ユヅルはこのプログラムに息を吹き込むことを学んだ。言うまでもなく見事な振付。私はもっと地味な衣装の方が好きだけど、でもまあ、それは彼の個性だから。」
「フリーは昨年よりずっとよくなった。美しく振付されているし、詩的で。どこからともなく跳びだすジャンプもあって。それに、彼の存在が感じられないような空虚感がある。私はテクニカルな面でもっと成功したこのプログラムを待ちたい。」
「アニュウのショートとフリーを見たわ。去年のショートを私はものすごく好きだった。去年の私のお気に入りのプログラムの一つだった。でも、今後もっと慣れてきて、もっとコントロールされて、今後もっともっとこの素晴らしい音楽に息を吹き込んでいくわね。技術的にも完璧に成功したプログラムを見るのが待ちきれない。彼がこのプログラムを2シーズン続けて演じてくれて嬉しく思う。彼のまた違った面を伸ばすプログラムよ!」
「フリーについては、潜在的なものがあってとても興味深い。私はこれが特に“オリジナルな”ものだとは思わないけど、とても感動したのは、ひとつひとつのステップの音における特徴が本当によく組み立てられているということ!このプログラムの技術的に成功したものを見るのが待ち切れないし、また一方で、技量や含蓄を含めたプログラム全体を通しての、より進化した均質性にも期待したい。」
フランスではアニュウ派とチャン派に分かれているようです。去年の「オペラ座の怪人」は辛口コメントが多かったのですが、今年の「SEIMEI」はとても期待されているのがわかります。
何度も出てくる「オリジナル」という言葉。レストランなどで料理を褒める時、「とってもオリジナルね。」と言うのが大変な褒め言葉であるというのを聞いたことがあります。
「オペラ座の怪人」より「SEIMEI」の評判がよいのは、やはり西洋の方々にとっては日本的なものがとても「オリジナル」なもので、「他とは違う」という意味で、逆にかえって受け入れられやすいのかもしれないですね。
しかし、「オリジナル」なものは同時に「分かりにくいもの」でもあると思います。そこで「オリジナルね」と評価を得るためには、やはり表現者の力量が重要ではないでしょうか。
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