何か特記事項があれば今後書いていきます!

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「私ですか?」

 

声をかけてきた箱主さんはどなたか……思い出そうとしました。

確か、以前お客さんとして行った一箱古本市で出店されていた箱主さんでした。屋号をみると、『本の砦』と書いてあります。

 

「この前の一箱古本市でお会いしましたよね。あれから尋ね人は見つかったんですか?」

「いえ、今回の一箱古本市にも出てはいないようで……」

 

以前砦さんの箱を見た際にフミトという人を探している話をしました。その時は覚えていないというお話でした。

 

「でね、あれから何か気になっちゃって調べたんだよね。勢力的に出ていて本の話ばかりする人……まぁ基本この界隈の人は本の話しかしないんだけど」

 

それは今日出店してみてわかりました。私も今日はほとんど本の話しかしていません。

 

「名前がフミトという人だったのかはわからないけど、おそらくエトセトラという屋号で出ていた人じゃないかな。この一箱古本市にも何回か前には出ていたからどうしても聞きたかったら主催の佐々木さんに聞いてみれば教えてくれるかも」

「エトセトラ……」

 

砦さんは携帯電話を取り出すと何やら調べ始めました。

 

「今日エトセトラさんは別の一箱古本市に出ているようだね。このあたりの地域ではここだけなんだけど、エトセトラさんは遠征してまで出るような人だから」

「出店の為に別の地域に行くんですか?」

「そうそう、一箱にはまりだすとそういう人もいる。旅行気分で遠方の一箱古本市に出るとか」

 

筋金入りの本好き、それがエトセトラという箱主さんなんだとわかっただけでも収穫でした。

というよりも同じ日の同じ時間に別の場所で一箱古本市をしている人たちがいる……なんだか不思議な感じがしました。全国各地に本が好きな人がいると思うと少し嬉しくなります。

 

「どんな本出してたっけな……あ、確か補充用に……」

 

そう言うと砦さんは一冊の本を取り出しました。

 

「これは以前エトセトラさんから買った本。自分でも読んで今回は売るように持ってきた」

 

見ると少し脱力するような、肩の力を抜いて読めるような本でした。

 

「買う? もし気になれば、だけど」

「買います」

 

そして今度エトセトラさんに会った時にこの本の話をしようと思います。

自分の箱に戻って今日の成果を葵さんに報告しました。

 

「ふーん、他の一箱古本市に出ているなんて、近いようで遠い距離感だね」

 

葵さんに店番を任せすぎたせいか、売り上げはいまいち……いえ、初めての出店にしては中々ではないでしょうか。

 

「でもエトセトラさんはどんな一箱なのかは聞かなかったの?」

「うん。気にはなったんだけど、実際に箱を見た時の印象が薄くなっちゃうかなって思って。楽しみにしておきたくて」

「あ、さっきイルカさんの本売れたから代わりにお釣り出しておいたから」

「えっ! どの本が売れたの?」

 

あたりは夕暮れとなり、ぼんやり幻想的な光景になってきました。

暗くなると終わるんだ、と考えると少し寂しくなりました。

でも人が動き始めると始まって、日が暮れると終わる。何だか健全な生活をしているような感じです。外に出て本を売る、というのはインドアなのかアウトドアなのか、そのあたりも曖昧で私はそこが好きになりました。

 

次は一箱古本市でどんな出会いが待っているのか、今から楽しみです。

 

続く

 

※ご意見ご感想等ありましたらあらゆる手段を使ってお伝えください。
※なお、現時点で思いつきでブログに書いていますので突然消える場合も無いとは言い切れません。その点ご了承ください

 

 

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どこかで会った気がする。

僕の行動範囲には基本的に本が絡んでいるので、おそらく本関係のイベントだろう。

女性は僕の顔を見て考えていたようだったが、

 

「いえ、気のせいではないですか?」

 

と言われた。

どこで会ったのだろう。いや、会っていなかったのかもしれない。写真か何かだろうか。

わからない、自分の箱に視線を落とし、考えているとその女性が僕の箱の前に立った。

 

「箱を見てもいいですか?」

「もちろんどうぞ、気になるものがあれば手に取って見てください」

 

女性の視線が箱の右端から左端へ流れていく。

そして左端から右端へと再び流れる。

 

その中から一冊を取り出す。

 

「この本すごいですね。本屋さんで見た事ない」

「僕はこういう本ばかり集めているんです」

「そうなんですか」

 

直接聞いても良いのかもしれないが、しつこいと不審な人と思われるかもしれない。女性が普通に接してくれている限りはこちらも深くは聞く事ができない。

 

「エトセトラさん? おすすめの本ってありますか?」

 

僕は得意のジャンルの中から個人的にツボの一冊を箱から引き抜く。

 

「これはグルメ、料理のエッセイなんですが……」

 

話ながらもなんとか思い出そうとする。

 

「えーっ面白いですね! 手元に置いて、ちょっとへこんだ時に読むと良いかも……これはいくらですか?」

「400円です」

「では買います」

「ありがとうございます」

 

会計を済ませ、女性は別の箱を見に行った。

 

僕は箱主としては物覚えが悪いほうだと思っている。以前買ってくれたお客さんに「前も買いまして、面白かったのでまた来ました」と言われた時に頭の中でいつどこでどの本を買ってくれた人だろうと思い出そうとするものの、思い出せない事が多い。それほど多くの人が僕の箱から買っているというわけでもないのに……

「エトセトラさん、さっきの人、気になったんですか?」

大澤さんに言われるもそうじゃないんです、何か以前見た事あるような気がして……と言う説明に終始する。

 

声はどうか。人は案外顔を覚えていなくても喋り方で思い出す場合もある。いや、聞き覚えの無い声だった。という事はどこかで直接話した事があるわけではない。写真か何かで見た事があって、顔を見た時に……

 

視線を落として、自分で並べた箱を見て考えてみる。

 

「あっ」

 

その女性がまだ会場にいるか、あたりを見渡してみる。

その姿は見当たらない。おそらくもう帰ったのだろう。

 

思い出した。僕は携帯電話を取り出し、操作をしてその確認をする。

 

「そうか……なるほど」

 

今日一番の収穫には違いないけど、なぜもう少し早く気が付かなかったのかと少し自分を責めた。気づいたところで女性に話した方が良かったのかはわからない。

 

続きはこちらから

 

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「あの人は……」

 

キャリーカートを引いてやってきたのは以前他の一箱古本市に参加されていた雨ヨ堂さんでした。開始時間に間に合わなかったのでしょう、慌てた様子で運営の方と話しています。

 

箱の前には常にお客さんがいるわけではありませんが、時折足を止めて本を見る方もいます。大抵は箱の装飾を見て興味を持ち、そこから本を見るという流れです。

 

お客さんのいない時間を見計らって葵さんに店番を頼み、他の箱を見に行きます。

他の箱主さんはどんな本を持ってきているのでしょうか。この時は箱主ではなく、純粋に本好きとして見ていました。

 

これは……買いたい本が箱を見るたびに増えていきます。箱主さんへのあいさつのつもりでなんとなく本を見ているのですが、気が付けば手を伸ばしてしまいます。

 

VSブックスさんは手製の看板が目立っています。ご夫婦で一箱を使いその中で本を戦わせているそうです。毎回コンセプトを変えているそうで、今回は『子どもの本VS大人の本』正反対の本が並んでいますが、親子連れのお客さんがそれぞれ違う本を手に取っていて興味深く中身を見ています。

 

先程お話をしたツンドク三昧さんは手書きのおすすめポイントをそれぞれの本に付けています。「出されている本は全部積読本というわけではないんですか?」と聞いたところ、「内緒」と言っていました。ツンドクさんは中々アクの強い箱主さんのようです。

 

他にもたくさん一箱があります。それぞれに一箱の想いがあって、それを選んだ箱主さんがいる。……と気になる箱主さんの偵察から帰ってくる頃には5冊も本が増えていました。それを見た葵さんは一言。

 

「大収穫ですね」

「これじゃあ本を売りに来ているのか、買いに来ているのはわからないよ」

 

とりあえず本日の目標を買った本よりも多く……少なくとも5冊以上は売ろうという事にしました。

 

「あっ、お腹すいた」

 

葵さんがそのように言うのも納得です。時刻はお昼時、私も少しお腹がすいていました。

私は食事について全く考えていませんでした。周りを見ると箱主さんの中にはお弁当を取り出している人がいたり、交代でどこかに食べに行っている人もいるようでした。

どうしようかな、と考えていると葵さんがガサガサとレジ袋から菓子パンをいくつか取り出しました。

 

「この中で良かったらあげるけど……いる?」

 

葵さんは何と良い人なのでしょう。彼女は事前にパンを買っていたようです。

 

「いいの? 葵さんありがとう」

 

今度出店する事があればパンかおにぎりくらいは買って行こう、そう心に誓いました。

空腹もおさまったところで性懲りもなく、他の箱主さんのところへ偵察をしている時でした。

 

もうこれ以上は買わないと思っていたのですが、ある箱でどうしても気になる一冊があり、それを手に取って箱主さんと話をしている時でした。その隣の箱主さんから声をかけられたのです。

 

「すいません、どこかでお見かけしたような……」

 

続きはこちらから

 

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「エトセトラの山中さんですね、お待ちしていました」

 

出店料を払うと、一枚の紙を渡された。

 

「こちらに注意事項が書いてありますので一読ください。場所は……あのあたりが空いていますね」

 

運営スタッフはちょうど一箱分スペースのある場所を指した。

 

「ありがとうございます、よろしくお願いします」

 

両隣の箱主に軽く会釈してから用意を始める。

キャリーカートから箱を降ろし、ディスプレイを始めるかと箱を開けたところで声をかけられる。

声の主は左隣の箱主だ。

 

「エトセトラさんですか?」

「はい、そうです」

「やっぱりそうだ、以前エトセトラさんが参加されている一箱古本市に行った事があって、本を買ったんですよ! こんなところで会えるなんて!」

「そうでしたか、一箱の世界は広いようで狭いですね」

「その頃はまだ出店していなかったんですけど色々な所に顔を出すうちにやってみたくなって」

 

声をかけてくれた隣の屋号は大澤文庫といい、名前も大澤さんと言うらしい。

そうですかーと返事をしつつ手は休めない。前日に撮影しておいたおおよそのディスプレイイメージを見ながら並べていく。なぜこういう用意はしておいて値段付けは怠ったのか。

箱に並べられる冊数よりも少し多めに本は持ってきていた。売れた時に補充をしておきたいというのもあるけど、気分で入れ替えたい事が時々ある。野球の控え選手みたいなものだ。

徐々に箱に並べられる冊数が減っていき、最後一冊をどうしようと考える。

 

先日参加した読書会の課題本をストンと並べて初期ラインナップは完成した。

並べ終えると同時に短冊型に切った紙を取り出し値段を書き込んでいく。

 

会場を見渡したところ箱数は20くらいある。確か募集箱数は30となっていたはずだけど思ったより箱数は少ない印象だった。

 

とりあえず設置はできた。コンビニで買ったカフェオレを開け、一口飲む。

人通りは午前中よりは午後のほうが多いというのは僕が各所の一箱古本市に出てきた持論だ。客としては、やはり休日ゆっくり起きて、昼食を食べた後、昼下がりに本を選ぶというのが理想的な過ごし方と言えるだろう。午前中は掘り出し物目当ての古本ハンター……そういう人がいるのかはわからないが、それらしき人物が一つ一つの箱を注意深く見ている。

人によって掘り出し物の基準は違うけど、僕の並べている本の場合はそこまで古くて貴重な本はない。せいぜい10年か20年前くらいに出版された本が大半だ。

 

ポツポツ手に取ってみる人がいたり、隣の大澤さんの箱の流れで見る人がいたり……

 

気づけばスナック菓子の袋に手を伸ばしていた。

起きてから何も食べていないから、このあたりでお菓子でも食べておこう。

 

ふと、隣の大澤文庫さんの箱の前にいる女性が気になった。本を片手に大澤さんと何やら話している。この女性……以前どこかで会ったような気がする。僕はそれとなく声をかけてみた。

 

「すいません、どこかでお見かけしたような……」

 

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「それでは一箱古本市開始しまーす」

 

主催者である佐々木さんの声で一箱古本市は始まりました。

 

見たところ箱は20ほどあるようです。

私のように一人で参加している人もいますし、ご夫婦でしょうか、複数人で参加している人もいて……色々です。

最初にどんな人がくるんだろう。こちらから話しかけたら良いのかどうか、色々な疑問が次々と湧いてきます。

 

「すぐには来ないかな」

 

葵さんは肩の力が抜けているようです。

会場を見るとまだお客さんは数人。開始直後から熱心な人が大挙する事はなさそうです。

すると葵さんはブースから出て、私の箱の前に来ました。

 

「私がお客さんになります!」

 

第一号のお客さんは隣のブースの箱主さんとは……これはよくある事なのでしょうか。

 

「すごい箱が凝ってる。自分で作ったんですか?」

「えぇ、まぁ。この日の為に作りました」

 

お客さんのほうから見える箱の前側と側面にイルカと海のイラストを描いた箱は目を引くようです。

 

「箱のインパクトが強いね」

 

言われると確かに……箱を飾る事に熱中しすぎて本よりも目立っているかもしれません。

 

「箱でお客さんを引き寄せてっていうのは作戦としてアリなのかも」

 

そういうと葵さんは箱の中の本を見始めました。

 

「ほぉー、すごい。箱の中もうっすら青くて海の中みたい」

「全部海関連の本っていうわけでもないんだけどね」

「でも面白い。へぇークラゲの本?」

 

クラゲは我が家……というより私の父にとって天敵となっています。父が若い頃海でクラゲに刺されたそうで、家族の会話にでてくる事はありません。

 

「本当は飼いたいくらいなんだけど……いつかは飼いたくて今は本で我慢していて」

「水族館でクラゲコーナーがあるとぼーっと眺めちゃう。で、値段は間に挟んでいる紙を確認する、と」

 

葵さんは値段を確認しました。その瞬間クラゲというものに対する興味と値段を掛け合わせて欲しいかどうか判断している……のでしょうか。少し考えているようです。

 

「うーん、すごく悩むけど……これはこのまま置いていたら誰かが買いそうな気がする」

「そう、中はカラー写真も多くて良い本だと思う」

「イルカさん商売上手だよ! それでもう買うしかないって思っちゃった!」

 

そういうと葵さんは私のお客さん第一号になりました。

 

「なるほど、そうやってお客さんと会話しながら売ればいいんだ」

 

クラゲの本を手に取ると葵さんは自分のブースに入りました。

 

「そういえば、イルカさんはなぜ一箱古本市に出店を?」

「そう、ある人を探していて……」

 

私は葵さんにフミトさんという謎の箱主について話しました。

 

「へぇー人探しの為に参加はあんまりいないんじゃないかな? ここに参加している人なら何か知ってるんじゃない?」

「そうかも」

 

その時です。キャリーケースをガラガラと鳴らしながら誰かが会場へ入ってきました。

 

続きはこちらから。

 

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