カラスって賢いですよね


このブログでも何度かご紹介してきました


拙ブログ「やっぱりカラスは賢いという3つの話題」


拙ブログ「カラスは数も数えられる!」



この度、カラスは「視線」も感じられる、

という論文が発表されましたので、

ご紹介しますね


ワタリガラスを使った実験です



カラスには、

エサを見付けたらすぐに食べるのではなく、

後で食べるためにとっておく貯食という、

習性が知られています


今回ご紹介する論文の実験で使われた、

ワタリガラスは、貯食した場所を他者に

見られているかを把握していて、

状況によって場所を変えたりすることが

先行研究で分かっています


Bugbear T & Kotrschal (2002)
“Observational learning and the raiding of food caches in ravens, Corvus corax: is it ‘tactical’ deception?”
Animal Behaviour 64(2): 185–195.
doi:10.1006/anbe.2002.3056





今回の実験では、

自分が貯食をしているのを見る他者の姿が

目視で確認できずとも、

見られている可能性がある「視線」だけを

察した行動をするかどうかを調べています


実験では2つの鳥かごがくっつけられて、

それぞれにワタリガラスを入れます


そして、

下図のように3つの条件が用意されました

ワタリガラス

Nature のサイトより(閲覧自由の論文です)


a) 仕切り窓を通して隣のカラスから丸見え

b) 隣にいるカラスの音は聞こえるが、
  隣から全く見えず、見られる心配はない
 
c) 仕切り板に小さい覗き窓があり
  録音した音声でカラスがいるような
  雰囲気が醸し出されていて
  見られている可能性が高い


b) の条件では、気配は感じられますが、

全く見えないので、どこに貯食するかを

隣のカラスに見られる心配はありません


一方、c) の条件では、

隣に通ずる小さい覗き窓があって

自分からは相手が見えないものの、

相手からは見られている可能性はあります


要は「視線」が察せられる状況です



実験の結果は、どうだったでしょうか?


まず、貯食にかける時間ですが、

視線を察している状況 c) は、

a)の丸見えと同じくらい短い時間でした


視線を察して、

ぱぱっと短時間で隠したのですね


それから、

すでに貯食した場所をチェックする回数も、

視線を察している状況ではかなり少なかった

とこのと


やはり、視線を察して、何度もはチェックに

行かなかったわけです


つまり、

カラスは、相手の姿は見えなくても

視線を察して行動するという

かなり高度な行動ができるということが

実験で示されたことになります



視線を察するというのは、

他者の意図的な行動や精神状態を

推定する「心の理論」と関係があります


この「心の理論」は高度な心の機能で

これまで、ヒトやチンパンジーといった

霊長類しか持っていないだろうと

考えられていました


カラスが心の理論を持っているなんて。。


調べれば調べるほど賢いカラス


どこまで賢いのでしょうね



【原論文】


Bugbear T, et al. (2016)
“Ravens attribute visual access to unseen competitors”
Nature Communications 7: 10506
doi:10.1038/ncomms10506





(おしまい)




文:生塩研一




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