異人たちとの夏 (新潮文庫)/新潮社

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皆さんこんばんはー(*´∀`*)
 
卒業シーズンですね。
もう学校とは無縁の世界に生きる管理人ですけども、
卒業式を悲しいとか寂しいと思ったことは一度もなかったです。
それよりも「やっと学校生活が終わった……」
とほっとしていました。
でも社会人になって気づくことは、やるべきことを明確に
与えてくれる学園生活はありがたいものだったのだなぁということ。
 
よもやうら若き学生の皆さんがこんなうらぶれたブログを
読んでいる訳はないと思いますが、短い学生人生
大いに楽しまれるといいと思います。
 
さて、本日一冊目は山田太一『異人たちとの夏』です。
ジェントルゴースト・ストーリーの代表作品らしいですね。
山田太一さんて真面目な話を書かれるイメージがあったので
多分一生読まないだろうなとも思っていたのですが
いやいやいや、手にしてよかった!
 
売れないシナリオライターの主人公は
12歳の時に両親を亡くし、つい先日妻子とも離婚した。
そして仲の良かった同僚にも裏切られ、自暴自棄になっていた。
そんな折、ふらりと踏んだ故郷の地で
死別したはずの両親と再会することになる……。
 
よくあるゴーストストーリーという感じです。
見せ方が流石にうまいなぁと思います。
「これは本当に両親か?他人の空似か?」と
いぶかる主人公が彼らに苗字を聞くところとかね。
確信を得ると同時にゾッとしてしまうエピソード。
 
過ごせなかった少年時代を取り戻す三人ですが、
もちろん何もないというわけではなく
異人と過ごした主人公はどんどん体を蝕まれていきます。
あと同じマンションの女ともロマンスがあったりね。
正直この女の人は……うん……。
 
いよいよ別れを告げなければならない、
すき焼き屋のシーンは涙なしでは読めませんね。
でも、同時に彼の「二人が生きていたらこんなに孝行はしていなかった」
みたいな言葉にもハッとさせられるんですよね。
まさにそのとおり、私は両親が健在ですが、
母にはこんなに情愛を向けてはいないし、
父親に至っては女作ってでてったきり会っていません。
 
この小説に書かれているのは、本当の両親じゃないんだと思います。
自分が心のどこかに作り上げている両親の偶像、理想像。
誰もが持っている、だけどどこにも存在しない郷愁。
だから両親がいる人も自分の両親を差し置いて涙を流すんじゃないかな。
そう考えるとなんだか一気に冷めてしまいました。
現実ってこんなに綺麗じゃないよね。