口で伝える「寂しい」の言葉
テーマ:日記恥ずかしがりやのあの先生が
素直に「寂しい」なんていったのを言ったのは
あたしがしっている限りで初めてだったかもしれないo
「学年末が終わったら、もうあたしたち学校に来ないんだね」
残りわずかの高校生活。
あたしたちに残された時間はあとわずか。
テストという忌まわしい行事さえ終われば、もう卒業を待つのみ。
あれだけ鬱陶しかったテストだけど、早く終わってほしくないって思いにさえ駆られる。
そんな寂しさを抱えてあたしとまりなと先生は廊下で話していた。
「え?学校こないの?」
彼の表情が変わった。
「え?まぁ、文集の印刷とかしにくるだろうけど…」
あたしの気のせいだったのだろうか、
先生の目は潤んでいたような気がした。
「そ、そうなの…?」
言いたいことはずばずば言うのに、自分の気持ちとか表現するのが結構苦手な先生。恥ずかしがりやで、いつも肝心なところは直接口ではいわなくて、メールで言っていたo
まりなとあたしはきっと同じ思いだったと思う。
よし、先生に先生の口から「寂しい」って言わせて見よう。
だからわざとらしく聞いてみた。
「え?なんなん?何か問題あるん?」
彼の目がさらに潤んだ気がした。
「いや…毎年その時期は…文集とかで学校に来る子が多いからさ…」
「うん、だから印刷でくるかもしれないって…」
ふ~ん、なんてじらす先生。
何か言いたげなのはばればれなのに、苦笑いをするばかりで絶対言おうとしない。
「なんなん?何か言いたいのなら言えばいいじゃんw」
彼の目を覗き込むと、さっきよりさらに潤んでいた気がした。
そして彼は、ちょっと照れ笑いをして、「いや、寂しくなるな、と思って」
とつぶやいた。
「寂しい」って、あんなに彼の口から聞きたかった言葉なのに、いざと口にされてしまうと、なんだかリアルさが増した。あたしまで急に切なくなってしまったoだって、先生があんな顔するんだもん。
先生は開き直って、「ほんと寂しくなるって…」って何回かつぶやいた。
その度に、笑顔の影に悲しみが覗き込んだo
「心配しなくても、学校くるよ。ちゃんと。」
そういうと、彼は、
「本当、正直すごいつらくなると思うんだ」
それは、先生の本当の偽りのない言葉だったんだろう。
前から、卒業されていく側も、相当つらいって何度も繰り返していた。
先生なりに、自分の中でそれを乗り越えようとしているのがすごくわかる。
だから、あたしたちは先生が寂しいって思わないように、笑顔でいなきゃね。
去り際に、もう一度、
「先生、大丈夫。学校にはくるよ。文集作らなきゃいけないしね。」
って言った。
そしたら先生は潤んだ目で言った。
「僕はいつでもいるから。きてね。待ってるから。」
最後まで先生の目は潤んでた。
それから先生にメールした。
冗談っぽいつもりで送ったメールだったが、返ってきたメールはあたしをどきっとさせた。
そして、どうじに、先生がどんな思いでいるかが、痛いくらい伝わった。
「寂しい」
いままでどうってことない言葉だったけど、本当の「寂しい」ってことばは、こんなに重いんだって思った。







