まず。
こいつを抱えて風呂に入り。
洗ってやって、湯船に入れて。
おれは身体を洗うことは同時にできないな・・・。
てことは。
こいつを一回上げて。
服を着せてから・・・目の届く所に置いておかないと・・・。
斯波は頭の中でシュミレーションをした。
いつも自分が帰宅する前に萌香が風呂に入れてしまっていたので、全くやり方がわからない。
生まれたてのころに使っていたクーファンがあった。
そっか。
服を着せた後に、ここに入れて。
風呂の脱衣所のところに置いておけばいいんだ。
そのためにはこいつの服も何もかもを全部用意して。
素早く着せないと、おれが風邪を引いてしまう・・・・。
翔をハダカにしてからそんなことを考えていたので、そのうち彼は思いっきりオシッコをしてしまった。
「わっ!!!!」
そこにあった洗濯物で慌てて抑えた。
「カンベンしろよ・・・も~~~~、」
それでも赤ん坊を風呂に入れることがこんなに難しいとは思わなかった。
湯船に入れると気持ちいいのかご機嫌だったが、頭を洗う段階になって
ものすごく抵抗をし始めた。
「こら、ジッとしろ! セッケンが目に入るって!」
言ってもムダなのだが、やっぱり怒ってしまう。
翔はシャンプーがイヤでぎゃーぎゃー泣き出した。
それに負けずに必死に洗う。
「は~~~~、」
斯波は翔を抱っこして風呂に浸かった。
ほんのちょっとのことなのに異常に疲れる・・・
湯船に入れてやるとケロっとして、おもちゃで遊び始めた。
そして
脱衣所に全てをスタンバイさせておいて、翔の身体を素早くタオルで拭いて、服を着せる。
まだ手も足もふにゃふにゃしていて服もうまく着せられない。
そのうち自分が寒くなって、くしゃみをした。
「と、とにかく。 今すぐ出るから。 これで遊んでろ、」
斯波は翔におもちゃを持たせて、自分は風呂に入ろうとしたが
何だかドアを閉めるのが不安で開けっ放しで風呂に入ることにした。
さぶ・・・・
非常に寒い風呂になってしまった。
ゆっくりと風呂にも入れずに、ストレスが溜まった。
ぜんっぜんあったまらなかった・・・・
翔をベビーベッドに寝かせて自分は頭を拭いた。
そして
自分の食事がまだなことに気づいた。
もう、めんどうだからいいか・・・
食事も面倒になっていた。
ベッドの端にぐったりとして座ると、翔が機嫌よく手足をバタバタと動かして
あー、だの
うー、だの
言葉を発していた。
そんな姿を見るとやっぱりふっと笑顔になってしまう。
いつもの厳しい顔でこんなことを考えている斯波ちゃんですが、赤ん坊は仕事のようにいきません・・
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