Spring has come(12) ~斯波&萌香番外編 | My sweet home ~恋のカタチ。

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「おれも。 栗栖から、ちょこっと前に言われてたんやけどな。 そんなん言うてくれるとは思ってへんかったから。 ちょっとびっくりして。 それで子供ができてしまったもんやから、本人も気にしてな。 もう秘書の仕事でけへんようになってしまうんやないかって。」


タバコの灰を灰皿に落とした。



「・・・・」



斯波は黙ってうつむいていた。



「栗栖はな。 おれにとっては大事な秘書やし、仕事であいつがいなくなったらどないしようってほんまに思う。 でも、それは事業部にとっても同じで。 お嬢がバイトで入っても、とっても栗栖の代わりなんかでけへん。 おまえにとっても彼女は大事な部下やしな。」



仕事じゃなくて・・



「おれの一存じゃあ決められへんしな。」



おれが

ショックだったのは

萌香が自分より

この人を選んだような気持ちがして。



斯波は何も言葉を発せなかった。



ゆうこはこころを寝室に連れて行ったあと、そっと二人の会話を聞いていた。



「あの、」



そして、たまらずに声をかけた。


「あたし・・幸太郎さんにも言ってなかったんですけど。 今日、栗栖さんに会いに行ったんです。」


「は? ほんま?」

志藤は驚いたが、斯波は


「・・わかっていました。 花が・・ありましたから。」

冷静に言った。



「彼女の身体が心配だったってこともありますが。 あたしもその話は聞いていたので。 余計なお世話かと思いましたけど、できれば事業部に残って仕事をして欲しいと頼みました。」

ゆうこはそっと腰掛けた。



「ゆうこ・・」



志藤は意外そうに彼女を見た。



「一番大事なのは家庭ですから。 秘書は大変な仕事です。 主人のためにつくして下さるのは嬉しいですが、赤ちゃんを産んで、育てながらするのは本当に大変です。 斯波さんたちは赤ちゃんを預かってくれるあてだってまだないのに・・。 あたしはその難しさをよくわかっています、」



斯波はゆうこが社長秘書をしていたことを思い出した。



「だけど。 栗栖さんはあたしが思っていたよりもずっと決心が固くて。 主人の秘書をしていきたいと言ってくださいました。」



斯波はハッとしたようにゆうこを見た。



「・・・彼女は仕事を第一に考えている人です。 もちろん斯波さんや生まれてくる赤ちゃんのことは大切ですが、同じように仕事を大事にしたいんだなァって。 彼女のように才能がある人を家庭に収めてしまうのも、いけない気もしますが、」



「・・・萌は。 志藤さんを尊敬していますから。 おれとつきあう前から・・・あなたには感謝をしてもしきれない気持ちでいっぱいだったと思います。 秘書の仕事をし始めてからは、彼女が志藤さんの仕事のサポートをするのが楽しくて仕方ないのも、わかってましたから。」

斯波は静かにそう言った。


「この人のわがままにつきあわせてしまって、斯波さんにも本当にご迷惑をかけたと思っています、」

ゆうこは必死に言った。


「いいえ。 萌は結局・・志藤さんを選ぶ。 おれがそれを反対しても・・・きっと気持ちは変わらない。」

諦めたような口調で言う斯波に



「そんな風に言うな。 おれだって栗栖の企画の力を事業部から失うのは痛いと思ってる、」

志藤は言った。


「これから・・子供ができて、ちゃんと何もかもできるんだろうかって。 もう色んなことで頭がいっぱいになってしまって、」

斯波は自分の戸惑いを口にした。



「あいつがおまえとの子供が欲しいって願っていた気持ちはほんまやん。」



「わかってますけど! だけど・・、」

斯波は困ったように額に手をあてた。


「あたしは、器用な人間じゃなかったので、仕事を辞めてよかったと思いますけど・・・。 世の中にはきちんと仕事も頑張って育児も頑張ってる女性はたくさんいます。 栗栖さんは、きっと両方頑張りたいって思ってると思うんです、」

ゆうこは斯波を元気付けるように言った。



「それに。 栗栖さんはこの人を選んだわけじゃなく、秘書という仕事を選んだだけです。 複雑な気持ちでしょうが、それはわかってあげてください、」



以前

志藤が仕掛けたことが元で、萌香と斯波が別れるというほどのケンカになったことがあった。


斯波としてはいつも彼についていく萌香のことが

心配で気になって仕方がないのだろう、と

ゆうこは感じていた。



「・・正直、あたしも幸太郎さんが栗栖さんと、泊りがけで出張なんか行ったりすると・・今でも心配してしまいます、」



ゆうこはいきなりそんなことを言い出し、



「はあ??」



志藤はびっくりしてゆうこを見た。




悩む斯波に志藤の妻・ゆうこは優しく諭します・・・


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