Go together(10) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

もし

彼が父親との確執を自ら解こうとしているのだとしたら、こんなに嬉しいことはない。




萌香は心からそう思った。



このままずっと相容れずに、お互い生きていくのではないか、と思っていたので


いつの日か

家族として共に笑って暮らせるようになれば・・





夜は西沢の診療所の庭でバーベキューをした。

おしゃべりな斯波の母を中心に久しぶりに賑やかな食事となった。


まだ5月なのに

もうその風は夏のようで



萌香は時折、彼と顔を見合わせて幸せそうに微笑んだ。




これまで生きてきて

こんなに幸せな時間を過ごしたことはなかった。




彼の子供が欲しくて

結婚を望むようなことを考えてしまったが


今は

きっと勇気を振り絞って

『プロポーズのプロポーズ』をしてくれた

斯波の気持ちが

死ぬほど嬉しい。



きっといつか。

私たちは家族になれる。

誰も憎んでいない

憎み合ったりしない家族になれる・・・。




満天の星空だった。




「すみません。 3日もお休みしてしまって。」

萌香はお土産のお菓子を志藤に差し出した。


「そんなんいいのに。 おまえらほんまに仕事しすぎやからさあ。 たまには。 どう? 斯波のオフクロさんの様子は。」

志藤はにこやかに言う。


「とても元気そうでした。 すっかり島の人に馴染んでいて。 ご主人もとてもいい方だったので。 よくしてくださいました、」

萌香はいつにも増して笑顔が輝いて、透きとおるような美しさだった。


「そっかあ・・」

と志藤は頷いたあと、彼女の左手薬指に指輪が光っているのが見えた。



「ん・・・??」

思わず身を乗り出してそれを凝視してしまった。


「え、なにか・・」

萌香は思わず後ずさりをした。


「・・・・」

志藤は何も言わずに、



「・・あ、早速で悪いけど、これ。 まとめておいて。 午後から会議やから。」

と資料を彼女に手渡した。




頭の回転が

素晴らしく速い志藤はその指輪を見て、全てを悟ってしまった。

彼女は今までに左手薬指に指輪をしているのは見たことがなかった。




たぶん。

すこ~~しづつやけど。

二人は

前に進んでるんやろな・・・。




そう思ったらホッとして笑みがこぼれた。




萌香がその晩、帰宅すると


「あ、おっかえりなさ~~い!」

夏希がいたので驚いた。


「加瀬さん??」


「今ね! 栗栖さんのお母さんとゴハンしてたんですう~~。」

彼女は満面の笑みで言う。


「お母さんと??」


「ほら、今日あたし午後から休ませてもらったんで~~。 お母さん、もんじゃを食べたことがないってゆーから! あたし、自分トコからホットプレート持って来て、もんじゃを作ってあげたんですよ!」

夏希は鼻息荒く、自慢げにそう言った。


「なんっか・・けったいなモン食べさせられて・・」

萌香の母は苦笑いをしていた。


「も、もんじゃ??」

萌香はリビングのテーブルを見た。




なにやら

ホットプレートに茶色い物体がプスプスと音を立てている。


「ほんまにこれ、食べ物なん?」

母はまだ疑っていた。


「だからね! ほら! こーやって食べるんですよ!」

夏希はフライ返しにその物体をくっつけて口に運んでいた。


「そんなもんで食べてるし、」

萌香の母が疑うと、


「だって、もんじゃ用の小さいヘラがないから~~~。」



二人のやりとりに萌香は猛烈におかしくなって、思わず声を上げて笑ってしまった。


「栗栖さんも食べましょうよ! これ、いちおうめんたいチーズもんじゃなんですよ!」

夏希は笑顔でそう言った。



夏希の乱入でにぎやかになりました(*^o^*)

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