Go together(9) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

夕陽が西の空に傾き始める。




斯波と萌香は二人ですぐそこの海岸を散歩した。



「タヒチの夕陽とはまたちょっと違う感じやね。 ほんまにキレイ、」

萌香はオレンジ色に染まり始めたその海を少しまぶしそうに見つめながら言った。


「ウン・・」

いつものように斯波は言葉少なだった。




「お義母さん、ホンマに幸せそうやん。 よかった、」

彼女がニッコリ笑いかける。




斯波はその言葉に答えることなく、彼女の背中に手をやってそっとキスをした。




海岸には誰もいなかったが

こんなに明るい屋外で

キスなんかされると

少しドキドキする。




「・・ごめんな、」




斯波はポツリと彼女にそう言った。


「え・・?」

萌香は彼を見つめる。




「おれが、はっきりしないばっかりに。」



「どないしてん・・いきなり、」




斯波はとても恥ずかしくて彼女が正視できなかった。




「・・結婚。 今、できるわけでもないけど。 どーしても、決心がつかなくて。 臆病な自分がイヤになるけど。 幸せにしたいと思うのは・・おまえだけだ。」




海を見ながら斯波はそう言った。



「・・清四郎さん・・」



萌香は少し呆然としながら彼の横顔を見た。



「萌香のことを。 幸せにしたい。 いつか・・・おれが結婚って決意をするときは。 その相手は萌香しかいないから。」

斯波はそっと彼女を見た。




身体が

震えた。




プロポーズってわけじゃないけど。

今の自分には

有り余るほどの

嬉しい言葉だった。




まだ呆然としている彼女に斯波はポケットから何やら小さな箱を取り出して彼女に差し出した。




「え・・・」



わけがわからずそれを手に取る。



「・・よく、わかんなかったんだけど。 おれ・・今まで萌にこーゆーのとか・・・あげたことなかったし。」



自分がどんどん赤面してきたことは

夕陽の赤さで少しごまかして、斯波は思い切ってそう言った。

萌香がその箱を開けると、




この海に負けないくらいの

深い

深い

蒼い

きらめく石が輝く指輪だった。




「これ・・」



萌香の目はもう涙がいっぱい溜まっていた。



「・・パライバトルマリンって言うんだって。 なんかすっげーキレイだなって。」

斯波はふっと笑った。




もう

何も言えなかった。

涙だけが

頬を伝わる。




「きれい・・・。 ほんまに、きれい。」




萌香はそれを大事に大事に

慈しむように胸に抱いた。



「サイズとか、適当だったから・・。 直してもらうし、」




もう

そんなことどうでもいい。


自分のことを真剣に考えてくれていると言葉にしてくれただけで

萌香は

何も言うことができないくらい

胸がいっぱいだった。




「ちゃんとした約束をしてやれなくって、ゴメン・・。 萌の気持ちとか、色々考えると・・おれってホント男としてダメだって思うけど。」

斯波は申し訳なさそうにうつむいた。


「ううん・・。 そんなの。」

萌香は涙をこぼして首を振った。


「・・萌とお母さんの関係を見たりして、おれなりに少しずつ何かを解決していけるんじゃないかって、思ったりしてる。 ああやってオフクロも幸せそうだし・・」




斯波の言葉は

明らかに父親を意識したものだということが

萌香にはわかっていた。




無口な彼からのプロポーズのプロポーズでした。 もうそれだけで幸せいっぱいの萌香です。(〃∇〃) 左矢印 お気に召しましたらポチっ!わんわん お願いします!