Power of love(17) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「・・・めっちゃ顔色悪いやん、」


萌香はただごとじゃないような気がしてそこに座った。



「・・何しに来たん。 ここには来ないほうがええって言うたやろ、」

母はぶっきらぼうにそう言った。


「おなかが痛いって・・病気ちゃうの? 病院へ行かないと。」


「もう病院なんて行きたない・・・」

ボサボサの髪をかきあげる。


「何を言うてるの。 ほんまに、そんなに顔色悪くてなんもないわけないやろ。 今から病院行こう。 タクシーで。」


「もうほっといて。 あんたいきなり何しに来てん、」

迷惑そうに言う母に


「お母さんのことが、急に気になって。 大阪に出張やったから。 その帰りに。」

萌香の言葉に母はハッとしたように彼女を見た。


「・・気になって・・?」


「なんやろ。 お母さんが具合悪いなんて知らなかったのに。 胸騒ぎがしたんやろか。」


「萌・・・」


「とにかく! 早く仕度して。」




母は案外素直に病院へついてきた。



かかった病院は個人の内科の医院だったが、

「・・これは婦人科の病気かもしれへん。 大きな病院で精密検査を受けたほうがいい。 紹介状書くから。」

医師は診察をしてから言った。



「婦人科・・?」



萌香は少し驚いた。


「たぶん・・・子宮に異常があると思う。 何かはようわからへんけど。どこの病院にかかる?」


「そ、そんなんわからへん、」

母はさすがに動揺していた。



萌香は少し考えた後、




「・・東京の病院でもいいですか?」




医師に言った。


「え、」

母は驚いた。


「私東京に住んでいるんです。 何かあったらこっちに来れへんかもしれませんから。」


「萌香、」

母は彼女をたしなめた。




「いいから。 私の言うことを聞いて。 ほんまに放っておいて大変なことになったらどないすんの!」



萌香は強い口調で母に言った。




萌香から

こんなにきっぱりと

上からモノを言われたのは初めてだった母は

何だか

何も言えなくなってしまった。





「え? お母さんが?」

斯波は萌香から電話を受けた。


「・・6時ころの新幹線に乗ります。 たぶん着くのは・・10時近くになると思いますけど。」


「そんなに悪いの?」


「ようわからへんのやけど。 とにかく精密検査を至急受けるようにって。」


横にいる母はもうぐったりとベンチに座っていて。

具合が悪いことが伺えた。



「わかった。 とにかく今晩はウチに泊めて。 部屋、好きに使っていいから。」

斯波はそう言った。


「すみません、」

他人行儀なことを言う彼女に


「萌のお母さんだろ。 遠慮するな。」

優しくそう言った。




二人がマンションに到着したのは10時半くらいになってしまった。



「おかえり。 だいじょぶか、」


斯波はもう帰宅していて二人を迎えた。

萌香の母・静香はのっそりと伏し目がちに入ってくる。




4年前。


彼女を追いかけて京都へ行き、濃い化粧を施していたけれど

萌香によく似た

若くて

ものすごくキレイな人、だと思った。




しかし

具合が悪いせいなのか

一気に老け込んでしまったようで、斯波はハッとした。


「・・どうぞ。 布団を用意してありますから。」

斯波は静香に言った。



「・・・・」


立ち止まってしまった母に


「お母さん。入って。 清四郎さんも今夜はここにって言ってくれたし。」

萌香がそっと腕を取る。



「・・あんたに世話になる・・筋合いもない、」




そして

あの時と同じように

ジロっと斯波を睨みつけて、悪態をついたが。

その声はとても弱々しいものだった。




「立っているのもつらそうですから。 どうぞ。 明日は萌に会社を休ませて病院につきそわせますから。」

斯波は落ち着いた表情でそう言った。



思いもかけない萌香の母の状態に斯波は驚き・・・

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