Faith(19) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

出勤した萌香を見て

志藤は満足そうに頷いて


「よし! イメージどおりやん! んじゃ、行くぞ。」

と出かける支度をした。



「また来たのか? しつこいなあ。 もう二度と来なくていいって言っただろ! しかもアポなしで!」

伊橋はまたも現れた志藤にかなりイラついていた。


「30分で構いません。 お話を、」

志藤は食い下がる。


「何も話すことはない! 帰れ、もう!」

沸騰している伊橋の元に



「すみません、遅くなりまして。」



萌香が小走りでやって来た。



「車をなかなか停められなくて。」



彼女を見て

伊橋は

あからさまに表情を変えた。




「私の秘書の栗栖です。 今日はお仕事の話をさせていただきたくて、連れてきました。」

志藤はニッコリと笑う。


萌香はずいっと彼に近づき、



「ホクトエンターテイメントの栗栖と申します。 どうぞよろしくお願いいたします。」



萌香は丁寧にお辞儀をして名刺を彼に手渡した。


伊橋は

もう名刺なんか見ておらず、屈んだ彼女の胸元に視線が釘付けだった。



「・・お話、少しの時間でよろしいんですが。」

萌香はニッコリ微笑んだ。



そして

応接室に二人は通された。

その時点で志藤は心でガッツポーズをした。




ここまでは

計算どおりや・・・。




応接室のテーブルは低く、そこに置いた資料を指して説明するたびに向かいに座っている伊橋からは彼女の胸元がチラつく。



「・・・コンセプトはこんな感じで。 脚本も大御所にお願いしようと思っていますし。 音楽プロデューサーも、あの樋口篤朗氏にお願いしようと思っております。 どちらが主役とかそういうことではなく、ポスターにも両側に大きく椎名さんと北都マサヒロの名前を載せますし・・。 本当にいい作品にしたいので、ぜひ。」

志藤は押せ押せで攻めまくった。


「う~~~~ん、」

伊橋はツルツルの頭を撫でながらうなっていた。



昨日より

考えてくれてる!



志藤は確信した。

そんな彼の心の動きを見て、萌香はすかさず、


「どうか。 社長の広いお心で。 すごくいい舞台になると思いますので。 椎名さんはミュージカル界の大スターですし、」

ニッコリと微笑んだ。


志藤は伊橋の視線がもう萌香の胸ばかりにいっているのがおかしくて仕方がなかった。




萌香はなぜ志藤が自分をこの格好で連れてきたのかを

だんだんと自ら悟ってきた。



「すみません。 暑いので・・脱いでよろしいですか?」

萌香はいきなりスーツの上着を脱ぎだした。




う・・・




これには志藤までも一瞬、怯む。

フレンチ袖のぴったりとしたニットで、胸の大きさがモロにわかる。

伊橋の目はさらに釘付けになる。


「どうでしょう・・・。 こんなことを社長に申し上げるのもなんなんですけど。 この通り、志藤はまだまだ若くして取締役になって、仕事は本当にできる方なのに若いというだけで、なかなか信用がいただけなくて。 伊橋社長のような地位のある方に認めていただけたら・・・。」

萌香はさらにずいっと身を乗り出した。



伊橋が頭まで真っ赤にしているのがわかって、志藤は笑いを必死に堪えた。




おれが思った以上に

栗栖はおれの意図をわかってくれている・・・




志藤と萌香は昼過ぎに社に戻ってきた。

下のエレベーターホールでやはり外出帰りの斯波とバッタリ会ってしまう。


「おう、」

志藤はご機嫌だった。


「なんか・・いいことあったんスか?」

と聞かれて、



「あったも、あった! 聞いてくれって、」

志藤は、はしゃぎ気味に斯波に笑いかけた。



なにやら嵐の予感・・・??

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