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My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「十和田に納得してもらって別れたいんやて。 それで・・仕事も辞めて何とか会長についててやって。 きちんとしたかったんやと思う。 だけど・・先のことなんかあいつはたぶん考えられへんかったと思う。 ここにだってもう戻れないって覚悟したかもしれへん。 自由になっておまえのところに戻ることも考えてはいても、それは全て会長が死んだら、という仮定に基づいたことやから。 あんまり気持ちのいいことではない。 どういう経緯があったとしても、今の彼女があるのはあの男のおかげやし。」



志藤はタバコに火をつけながら冷静に言った。



斯波は言葉が出なかった・・・



「どうしていいかわからへんかったんやろな。 おれにも・・もちろんおまえにも黙って、出て行くしかないって。 無理やり・・彼女をここに残すことはできたかもしれへんけど、そうしたらたぶん彼女は一生重い重い十字架を背負わなくてはならないかもしれへんから。 ほんまに幸せになれるか、わからへんやんか。 栗栖は・・そういう律儀なところがある子やから。 ほんっま真面目やし。 自分の過去をごまかして生きていくのがつらくなったのかもしれへん、」



「・・彼女に・・会えませんか、」



斯波は言った。



「今はな・・栗栖はおまえに対して、もう申し訳ない気持ちでいっぱいやと思う。 どんな理由があるにせよ、まあ結局・・十和田のところに戻ったわけやから。 ほんまに苦しいと思うで。」



この先

彼女と再び会えることは

あるのだろうか・・




斯波はどうしようもない不安にかられた。




「これからのことを考えるとき。 やっぱり・・十和田会長の死を待つようなことを考えなくてはならないやろ? 今は、・・栗栖を信じて待っていてやれないか?」

志藤は優しく言った。




「・・・」




志藤の話を聞いて

彼女の想いは

伝わったが。


やっぱり

やりきれない気持ちと

彼女に会いたい気持ちでいっぱいになって。



「それでな。 事業部のみんなには・・栗栖と十和田会長のことを話そうと思って。」



志藤の言葉に



「え・・」

斯波は驚いて顔を上げた。



「どれだけ長く休むことになるか。 わからへんし。 総務には何とか理由つけて休職扱いはできるけど。 みんなには黙っていられへんやろ。 栗栖もそのことは話しても構わないって言うてたし・・」


「でも、」

斯波は戸惑った。



「大丈夫。 あいつは・・ようやく人を信頼し始めたんやから。 ここでみんなと一緒に仕事できて嬉しかったって言うてくれてたし。 そう思わせてくれたみんなには・・やっぱりホンマのこと言わないとアカンかなあと。」



「はい・・」



斯波はそれには少し頷いた。




つらいけど。

でも

この仲間たちには

ウソはつけないって

彼女は想った・・・。




斯波は萌香の気持ちを思った。





翌日。

志藤はだいたいいつも始業時間ギリギリにやってくるが、この日はいつもより早かった。


「あれ? ちょっと早くない? 会議だっけ?」

南は時計を見た。


「おれだってたまには早く来るって・・」

志藤は小さな声で言ったあと、


「みんな、ちょっとええか?」

と声を張った。




全員が何となく志藤の周りに集まる。




「・・栗栖のことなんやけど。 彼女、しばらく休むことになるかもしれへん、」


「え、」

南が思わず声を上げた。


「携帯に電話しても繋がらなかったんやけど・・。何かあったん?」


「まあ、まず・・どこから話していいのか。 栗栖は今、大阪におるねん。」


「大阪?」

玉田が言った。



「大阪の麗明会って向こうでは有名な病院をいくつも経営してる十和田って人物がいてな。 その男と栗栖は長い間愛人関係にあった。」




いきなりの話にみんな息を呑んだ。



「え・・でも・・畠山専務のことは、」

南が言う。



「まあ、それもホンマやけど。 でも・・それは栗栖が東京へ出てくるための伏線みたいなもんで。 その十和田って男から逃げたくて・・結果的にあいつが仕掛けた罠みたいなもんでな。 そんなに真剣やなかったらしい、」

志藤はポケットからタバコを取り出し火をつけた。




「それでな。 東京に出てくることになった栗栖を・・その男は追いかけてきて。 何度も会社を辞めて戻るように言ってたらしい。 元々、なんで栗栖がそいつの愛人になったかって言うと。 まあ・・家庭環境が複雑で。 学校もよう行かれへんかったみたいで。 そんな彼女に学校を出してやるって・・十和田が近づいて、そういう関係になったらしい。 あの子はホンマに今の自分の環境を変えたくて。 めっちゃ勉強してきたけど・・やっぱりお金がいるやんか? 悲しいけど・・そのためにそいつに囲われることになったって。」




「そんな、」



南はやりきれずに思わず声を上げた。




萌香の過去にみんな驚きを隠せませんが・・

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